保険料が高すぎるので整理したい。生命保険・医療保険・学資保険・自転車保険・火災保険のうち、どれなら解約してもよいでしょうか?

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保険は、人生の支出のなかでも大きなものといえます。種類も多く、生命保険・医療保険・火災保険・個人年金保険・学資保険などがあります。最近では、自転車保険を義務化する都道府県や政令市もあります。 大きな支出だからこそ、家計の節約を考えるときに、保険の節約を考える人も少なくないのではないでしょうか。 今回は、保険の整理を行うときのポイントについて、考えてみました。

保険について考えること

まず、保険がどんなときに必要か、考える必要があります。
一部の保険は特徴的な機能もあり、「満期や解約をしたときに払った保険料以上に増えて、戻ってくる可能性がある」という一面を持っています。
生命保険の終身保険や養老保険は、被保険者が死亡したときには「死亡保険金」が支払われますが、死亡ではなく途中で解約をしたときの「解約返戻金」や、養老保険における満期金が、支払った保険料よりも多くなるケースもあります。
保険加入者のなかには、この機能を目的とする人も見受けられます。しかし本来、保険は保障を準備するものなので、運用は別の金融商品で準備したほうがよいことも考えられます。
また、生命保険や学資保険は被保険者が死亡した場合、残された遺族に保険金が支払われますが、このときに必要以上の保障は必要ないと考えられます。加えて、学資保険は貯蓄を目的としていますが、保障と貯蓄があることで、コストも二重に払っていることになります。
学資保険と同様に、個人年金保険も、保障ではなく貯蓄を目的とした保険になります。「個人年金保険は所得税の保険料控除の対象となっているので、加入している」と聞くことがありますが、利殖性を考えると個人年金保険ではなく、資産運用で老後資金を準備するほうが、メリットが大きくなる可能性もあります。
さらに今は確定拠出年金制度も創設され、個人でも個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用することができます。
 

目的別に保険に加入する

前項までは、人に対する生命保険について記述しましたが、保険は生命保険だけではなく、物などに対する保険の「損害保険」もあります。火災保険や自転車保険は、損害保険の一種になります。
火災保険は、自分の家で出火した場合に保険の対象となります。加えて、隣の家などから火が広がった場合にも、自身が契約している火災保険を使わなくてはなりませんので、加入しておく必要があるといえます。
一方、冒頭で「義務化している自治体が広がっている」と紹介した自転車保険は、必ずしも入らなければいけないわけではなく、「損害を与えた相手に対する補償があればよい」とされています。
そのため、正確には「絶対に自転車保険に加入しなくてはならない」、というものではありません。例えば、火災保険や自動車保険などの特約にある「個人賠償責任保険」に加入していれば、問題ありません。
また損害保険は「実損てん補」になりますので、同じ補償が複数あったとしても、全て保険金が出るわけではなく、実際の損害を上限としたうえで保険金が支払われます。したがって、同じ補償がある場合には、それらをひとつにすることで、無駄な保険料を払わなくてもよくなります。
 

医療保険は必要?

「医療保険は必要ない」という意見を聞くこともあります。これは「日本では公的な医療保険制度があるので、民間の医療保険に加入する必要がない」ということです。しかし場合によっては、「公的な医療保険制度だけでは十分とはいえない」とも考えられます。
公的な医療保険には、病院などの医療機関にかかったときに窓口負担が軽減できる仕組みに加えて、けがや病気で仕事を休まなくてはならなくなった場合の収入の減少を少なくする仕組みもあります。
ただし「収入が全くなくなるわけではない」とはいっても、病気やけがで入院や手術を行うとなると、費用がかかります。この費用負担ができるくらいの資力(財力)があれば問題ないのでしょうが、なかには高額な手術を行うことで病気が治る可能性や、治療が長期化する可能性も考えられます。
そのようなときに、民間の医療保険に加入しておくことで、本来よりもさらに少ない負担で済むことも考えられます。
 

加入している年金制度や保険制度でも考えておきたい

会社員など厚生年金の第2号被保険者は、残された遺族に対しての保障が、自営業者など国民年金の第1号被保険者に比べて厚くなっていることもあります。自営業者などはその分、自分で不足している保障を準備しておく必要もあります。
 

まとめ

民間の保険は支払期間が長いものもあり、支払総額でみると高額になっていることもあります。
ただし、保険は万が一のときの経済的な損失を補うものであり、大きな損失を被った場合は保険金で補うことができます。半面、無駄な保障や重複している補償があれば、無駄な保険料を払っていると考えられます。したがって、節約を考える際は保険そのものの解約ではなく、減額や特約だけを解約するなどを検討しましょう。
まず、ご自身のライフプランにあった保障を考えることも大切です。
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー