石丸伸二氏

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 都知事選で大健闘した、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が、民放各局で“テレビ出演行脚”を敢行した。選挙期間中に生まれた“石丸旋風”をバックにテレビ業界に殴り込みをかけた格好だが、民放キー局のプロデューサーは「石丸さんのトークは100点満点どころか120点です」と絶賛する。

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「結論から先に言いますと、石丸さんは都知事選の投開票日に抱かせた悪いイメージを払拭することに成功し、好感度は爆上がりしています。今後、テレビの売れっ子になるのは間違いないでしょう。メディアの利用術に長けており、“第二の橋下徹”として存在感を発揮するはずです。次の選挙は、どこから出馬しても当選すると思います。もし石丸さんが衆議院選挙で広島1区から出馬すれば、比例復活どころか、岸田文雄首相が落選する可能性もあるのではないでしょうか」

石丸伸二氏

 あまり話題にはならなかったが、石丸氏の“出演行脚”は7月12日深夜の「オールナイトフジコ」(フジテレビ)からスタートした。

「出演を依頼した番組プロデューサーも、承諾した石丸さんも、共にセンスがいいと思いました。メインMCは元テレビ東京のテレビプロデューサー佐久間宣行さんで、レギュラー出演者が村重杏奈さん。そこに石丸さんが加わったわけです。この組み合わせはテレビ的に最高でした。現役女子大生のユニット『フジコーズ』のメンバーから、石丸さんが嫌いそうな意識低めのステロタイプな質問をぶつけられましたが、これに笑顔でダメ出し。『都知事選出馬は売名と言われている』と自ら切り出すなど、的確なトークを披露しました。佐久間さんが『コメント、うめーじゃねーか』と驚く場面もあり、私も下手なお笑いタレントよりトークが素晴らしいと感心しました」(同・プロデューサー)

日テレ批判で湧かせる

 毎週日曜に放送されている「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)は、金曜の昼に収録が行われているという。時系列で言えば石丸氏は12日金曜に「言って委員会」の収録に参加し、翌13日土曜深夜に生放送の「フジコ」に出演したことになる。

「『言って委員会』の出演がいいリハーサルになり、『フジコ』の好演につながったのだと思います。その『委員会』ですが、まずは都知事選の開票特番で社会学者の古市憲寿さんや元乃木坂46の山崎怜奈さんに敵意を剥き出しにしたことに触れました。これに石丸さんは『全国の注目を集めるタイミングで、メディアへの不満を狙い澄まして打ち込んだ』と説明し、開票特番での質問を『視座が低いところで統一されている』と一蹴。『どことは言わないんですけど、東京の全国ネットで日テレってのがあるんですけど』と、系列局の読売テレビが製作している番組でキー局の日本テレビを批判したのです。この発言にスタジオは湧きました」(同・プロデューサー)

 石丸氏は京都大学を卒業し、三菱東京UFJ銀行に入行した。出演者の一人である脚本家の大野裕之氏が「知り合いの三菱UFJ銀行の人」から聞いたと明かした上で、「石丸さんはアナリストとして優秀で、外国為替のエキスパートの講師をされていた」とのエピソードを紹介した。

爆笑問題を翻弄する話術

「大野さんの発言でスタジオの空気は一変して友好的になりました。かつて都知事だった舛添要一さんと兵庫県の明石市長だった泉房穂さんも出演していましたが、地方自治という縁で2人とも石丸さんにシンパシーを感じているように見えました。舛添さんは石丸さんの街頭演説が効果的だったと評価しましたし、泉さんとは給食の無償化を巡って大舌戦が繰り広げられましたが、あれで番組が盛り上がったのは言うまでもありません。さらに人口減少の問題を巡っては、『一夫多妻制を導入するか、遺伝子的に子供を生み出す』と発言し、スタジオはどよめきました。SNSでは、この発言を切り取って炎上しかかりましたが、石丸さんの圧倒的な話術を印象づけることに成功し、『政治のエンタメ化が必要』との結論には頷く共演者が多かったように思いました」(同・プロデューサー)

 14日の日曜、石丸氏は午前10時から生放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系列)に出演した。

「印象に残ったのは、爆笑問題の印象について質問され、『子供の頃からずっと拝見していて、ウケているのかスベっているのか分からない絶妙なバランスが好き』と答えたことです。本当に上手な返しで、手練れの太田光さんも『それ愚問ですよ』と返すのが精一杯でした」(同・プロデューサー)

「今、最も出演を依頼したい男」

 出演者の一人だった岸博幸氏はXで《彼はしっかりした真っ当な人間と思った》と絶賛して話題を呼んだ。

「石丸さんの“テレビ行脚”を総括すると、京大卒らしい地頭のよさ、巧みな弁舌、そして『テレビのトークはプロレス』と理解した上での発言が視聴者に届き、好感度が急上昇したのだと思います。特に舛添さんと泉さんという東大卒の2人が石丸さんを評価したことは象徴的だったと言えます。テレビに出演し始めた頃の橋下徹さんを思いだしたのは、『行列のできる法律相談所』(日テレ)で北村晴男弁護士とのバトルが似たようなプロレスだったからでしょう」(同・プロデューサー)

 元乃木坂46の山崎もサンジャポの放送内容に反応。太田と石丸氏の会話に注目し、《太田さんの質問に対する答えは返ってきていないのでは》とXに投稿したのだが、反論が殺到して炎上してしまった。プロデューサー氏は「世論の風向きは急に変わるという怖さを見せつけました」と言う。

「民放キー局のプロデューサーは、今後の石丸さんの政治的な動向には、あまり関心がありません。一方、視聴率の取れるタレントとしては目の離せない存在になりました。今、最も出演を依頼したい男性と言っていいでしょう。テレビ的なトークが上手で、共演者や視聴者を引き込む力があります。簡単明瞭で回りくどくない。『言って委員会』で見せた泉さんとの応酬も、非常にテレビ的に見事でした。こうなると、やはり開票特番での態度は計算ずくだったのでしょう。好感度をアップさせるための布石だったと見ています」(同・プロデューサー)

デイリー新潮編集部