粗品

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 2017年7月、スポーツ報知電子版は「『霜降り明星』がABCお笑いグランプリ優勝!次はM-1目標『霜降り肉は和牛に負けられん』」との記事を配信した。タイトル通り、お笑いコンビ「霜降り明星」がM-1を制する前の報道なのだが、この中に「粗品」という芸名の由来は《「『つまらないものですが…』と謙虚な姿勢で」との意味を込めた》と紹介されている。

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 粗品は1993年1月生まれの31歳。中学から大学まで同志社に通い、中退してピン芸人になったという“高学歴芸人”でもある。だが、最近の彼から謙虚な姿勢や知性を感じるのは難しいだろう。担当記者が言う。

粗品

「ご自身のYouTubeチャンネルなどで、とにかく芸能人に噛みついて物議を醸しています。標的に選ばれたのは元雨上がり決死隊の宮迫博之さん、木村拓哉さん、講談師の神田伯山さん、FUJIWARAの藤本敏史さんという顔ぶれで、掟破りの暴言に明石家さんまさんは『俺が言うなら言うで』と“説教役”を引き受ける考えを示しました。西川のりおさんも『売れている時の宮迫に言ったなら評価するが、今の宮迫に言うのはフェアではない』という主旨の批判をしました」

 当初からネット上では粗品を批判する声が多かった。そして6月17日に粗品がYouTubeチャンネルに新しい動画をアップすると、いわゆる“炎上”に近い状態になった。

粗品さんは宮迫さんに対する攻撃的な発言を、『全部コントなんで』と説明したのです。『何回言わすの、これ。これ僕の意見ないですからね。1人でどっちの意見も言ってみるコーナーで、コントやで』と念を押しました。さらに『ネットニュースもそうですけど、それを見て鵜呑みにしている情弱の皆さん』が、コントの発言を鵜呑みにしていると指摘。視聴者にも毒づいた格好となったのです」(同・記者)

プロレスとコント

 念のために説明すれば、《情弱》とは情報弱者の略称で、情報に疎い人を揶揄する蔑称だ。要するに「お前らのようなアホは、俺のお笑いを分かっていない」と言っていることになる。かなり挑発的な発言であることは間違いなく、たちまちXには批判が殺到した。その一部をご紹介しよう。

《言い訳がダサい!面白くない上にダサすぎる!》
粗品の1人賛否あくまでコントでネタとか言われてもここまで執拗に宮迫ディスりまくってたら誰が信じるのよ》
《全部自分の意見ではない、コントですからねって説明した時点でお笑いとしては伝わってないんだから》

 だが民放のディレクターは「確かにネット上では批判が圧倒的に多いようですが、テレビ業界では『さすが粗品』と評価する声も少なくないのです」と言う。

「ポイントは“コント”と“プロレス”の違いです。これまで宮迫さんと粗品さんのやり取りは、プロレスと表現されることが目立ちました。プロレスという言葉は『実は台本がある』、『本当は演技』、『やらせ』、『嘘』といったニュアンスを含んでいます。実は最近、お笑いの世界では“プロレス=やらせ”という表現は、プロレス業界やプロレスラーに失礼ではないかという意見も出ており、粗品さんはそうした意見も踏まえた上で、“コント”という言葉を使ったのではないでしょうか。そして重要なのは、プロレスとコントでは意味が全く違うということです」

「急なフォロー」は間違い?

 プロレスには嘘というニュアンスがあるのは先に触れた通りだが、コントのほうはお笑い芸人にとって“ガチ”を意味する。

「SNSを見ると粗品さんがコントという言葉を使ったにもかかわらず、間違ってプロレス的なニュアンスに解釈してしまい、『今になって嘘でしたという弁解はカッコ悪い』と批判している投稿がかなりあります。この批判は率直に言って、我々から見れば間違っています。粗品さんは『これまで様々な芸能人にケンカトークを仕掛けてきたが、それは全て“ガチのコント”であり、きちんとネタにしてエンタメに昇華しているのだ』と胸を張ったのです。そのためにテレビ業界では『すごいな粗品』、『斬新』、『やっぱり面白い』と評価する声が多いのです」(同・ディレクター)

 一部のメディアは「急なフォロー」を粗品が行ったと報じたが、これでは攻撃的な言説を粗品が撤回したことになってしまう。実際は逆で、粗品は「本気のコントだ。文句あるのか」と宣言したに等しい。むしろ批判するなら“居直り”と指摘すべきだろう。

 もちろんXの投稿が全て間違っているというわけではない。粗品の真意を理解した上で、なおかつ反論も行ったポストを最後にご紹介しよう。

《えーと粗品大先生は宮迫をイジるのが面白いと思ってあのコントをしたわけですよね。で、コントだと理解できない人がマジになって炎上させてると。自分の動画を見返した事がないのかなー。あのイジりで面白いところありましたか? 粗品大先生の笑いを理解できる高尚な人なら笑えるんでしょうね》(註:改行を省略し、句読点を補うなどの変更を行った)

デイリー新潮編集部