1日のアクティブユーザー数(DAU)が3000万人を超える人気外国語学習アプリ「Duolingo」がどうやってユーザーを維持しているのかについて、アメリカ経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が特集しています。

The Only App That Always Wins the Battle for Your Attention - WSJ

https://www.wsj.com/tech/personal-tech/duolingo-streaks-notifications-app-spanish-bc87d6e4



A Sleeping, Recovering Bandit Algorithm for Optimizing

(PDFファイル)https://research.duolingo.com/papers/yancey.kdd20.pdf

Duolingo & Its Cheeky Notification Marketing | by Adithya H Nair | Medium

https://medium.com/@adithyahnair123/duolingo-its-cheeky-notification-marketing-9589a162515d

How Duolingo Uses AI to Create Lessons Faster

https://blog.duolingo.com/large-language-model-duolingo-lessons/

人々を夢中にさせ、関心を維持させることはビジネスにおける究極の目標の1つです。Duolingoは1日のアクティブユーザー数(DAU)が3000万人を超える人気外国語学習アプリですが、DAUのうち70%以上は1週間連続でアクセスしており、さらに500万人は1年間以上連続でアクセスしているという関心の維持において非常に成功しているアプリとなっています。

WSJの記事を執筆したベン・コーエン氏はDuolingoに人々が引きつけられる理由として「連続記録」と「通知」という2つの要素を取り上げました。コーエン氏によると、人間には連続記録を探すという癖が存在しており、Duolingoは連続記録に対する人間の傾向を研究することでモチベーションを引き出すことに成功しているとのこと。

Duolingoの作戦はユーザーに対して「どれだけの連続学習記録を積み上げてきたか」を通知するという一見単純なものです。



この通知のメッセージや送信タイミングについて(PDFファイル)バンディットアルゴリズムを使用して多数のパターンをテストし、通知を開く人の数を最大化しています。人間は報酬よりも損失に大きく反応するため、メッセージは「あなたが積み上げてきた○○日の連続記録が失われるかも」という系統の内容になっているとのこと。

また、Duolingoの最高プロダクト責任者であるジェム・カンス氏は最も成功した通知の1つとして、1週間アクセスが無かった場合に送信される「リマインダーが機能していないようです。当面の間送信を停止します」という通知を紹介しています。





そのほか、Duolingoでは連続記録と通知を使用してユーザーをアプリに呼び戻すだけでなく、BirdbrainというAIモデルを開発し、学習内容がユーザーに最適な難易度になるように調整しているとのこと。



コーエン氏は「ユーザーを毎日アプリに呼び戻すのは想像以上に難しい」と述べた上で、Duolingoは徹底的なA/Bテストによるメッセージの最適化や、さまざまなゲーム化、AIによる学習内容の適切な調整などの要素によってDuolingoは毎日ユーザーにアプリを起動させることに成功していると分析しました。

なお、コーエン氏は「ホットハンド:連続の謎と科学(The Hot Hand: The Mystery and Science of Streaks)」という書籍を執筆しており、この本の中で人間がどれほど連続性を好んでいるかを解説しています。

Amazon | The Hot Hand: The Mystery and Science of Streaks | Cohen, Ben | Applied