体にいいけれど…

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 発酵食品の一つとして、日本では古くから用いられてきた「酢」。近年、改めて注目が集まっており、調味料としてだけでなく、「黒酢」や「フルーツビネガー」など、飲み物として商品化されているものもよく見かけるようになりました。一方で、酸っぱいイメージや「酸」という言葉から、「たくさん飲んだらダメなの?」と思ったことがある人もいるかもしれません。

 そこで、酢を摂取しすぎた場合のリスクについて、管理栄養士の桜井このさんに聞いてみました。

歯のエナメル質が溶けだし…

Q.まず、酢に含まれる栄養成分について教えてください。

桜井さん「酢は一般的に酸味のもととなっている『酢酸』が主原料になっています。この酢酸は脂肪の合成を抑制することから、ダイエット効果やホルモンバランスの調整などが期待できる成分です。

また、疲労回復効果のあるクエン酸、腸内活動の活性化が期待できるグルコン酸、抗酸化作用のあるビタミンB12なども多く含まれます」

Q.酢を摂取しすぎてしまうことによる体へのリスクはありますか。

桜井さん「酢には、酢酸をはじめとした酸性の成分が多く含まれていますが、この『酸』は歯の表面にあるエナメル質を溶かしてしまうことが分かっています。エナメル質が溶けだすと知覚過敏になったり、虫歯になりやすかったりするため、注意したいところです。もちろん、影響があるのは『取り過ぎた場合』なので、適量であれば歯に問題はありません。

また、胃腸の弱い人も酸の取り過ぎは避けたいですね。腹痛や体温の低下、胃腸の炎症などを引き起こすきっかけになる恐れがあります」

Q.1日における酢の摂取量の目安はどのくらいなのでしょうか。

桜井さん「絶対にこの量まで、という規定はありませんが、大さじ1〜2杯程度までがよいのではないでしょうか。ドリンクとして飲む場合は酢を希釈すると思いますが、その場合も大さじ2杯程度までにするとよいと思います」

* * *

 日本のみならず、世界中で健康食品として用いられる酢ですが、近年、健康食品として改めてその効果が注目を集めていますよね。手軽に取れる酢のドリンクなどもヒットしていますが、やはり飲み過ぎは禁物。適量を料理や飲み物に加えて、さっぱりとした酸味を味わってみてくださいね。