「収入低いから貯蓄できない」は大間違い…お金が貯まらない26歳女性の部屋に埋もれたヤバい量の"調味料2種"
※本稿は、黒田尚子、月野まる(マンガ)『お金に人生を振り回されたくないから超ビギナーが今いますぐやること教えてください』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。
■26歳一人暮らし女性の場合…お金が貯まらない人の特徴
■片付けと貯蓄は同じ原則…給与明細をきちんと見て、愕然
■支出を見てみると…カフェのドリンク代だけで月1万2000円超
■新NISAを始めるより家計見直しと貯蓄が先
■20代、30代の早いうちからお金について考えてみる
お金で困らない人生の準備を始めよう
お金について考えることは、人生を考えること
お金は生きていくために欠かせないものです。必要なものと交換でき、労働の対価や価値を査定する尺度にもなり、貯めておくことも増やすこともできる、人類史上トップクラスの発明品と言えるでしょう。
でも冷静に考えると、紙幣はただの印刷物。「日本銀行券」という価値が乗っかっているから、私たちは「欲しい」と思ったり「増やしたい」と思ったりするのですが、日本という国が破産してしまったらただの紙切れ。鼻もかめません。そう、お金は絶対的なものではないのです。
お金の価値や必要性だって、誰にとっても同じとは限りません。Aさんは年収1000万円ないと不安でも、Bさんは年収200万円で幸せに暮らせるかもしれません。一律に「子育ては1人1000万円必要」「老後には2000万円必要」とあおるのは、お門違いだと私は思うのです。
大事なことは、「私に必要なお金はいくらなのか」を考えることです。それは人生をどう生きるか考えることと同じだから。
人生での大きな出費例を示しましたが、あくまで参考資料。そのつど「この出費は自分にとって必要なのか」と考えたり、「なんでこんなにお金がかかるのだろう」と疑問を持ったりすることが、人生や社会を理解することにつながるのです。そしてそれこそが「お金で困らない人生」の出発点になるはずです。
■お金つかいの達人になってストレスフリーな人生を送る
「5つの力」でお金をコントロール
「ムダ使いを減らして貯蓄する」だけじゃ足りない
お金持ちになりたいですか? と聞いたら「もちろん!」という声が聞こえそうです。でも、お金さえあれば幸せかといったら、そんなことはありません。FPとしてさまざまなかたの相談を受けていますが、資産家には資産家なりの、高所得者には高所得者なりの悩みがあります。
理想は、お金に翻弄されずに生きることだと思います。お金について悩まない、お金がストレスにならない、そんな生活を送るためには「力」が必要です。貯める、使う、稼ぐ、増やす、守る、この5つの力です。
おそらく日本人がお金について幼いころに教わったのは、「ムダ使いしちゃダメ(節約)」と「貯金しなさい(貯蓄)」です。つまり「使う力」と「貯める力」。確かにこの2つは重要です。特に若い世代には。自分の生活を見直してムダな出費を控えるのは基本中の基本ですし、収入の一部を貯蓄に回し何かのときに備えることは大前提です。
でも、それだけでは足りません。どんなに貯めようと思っても、稼ぐ力が弱ければ十分な額を貯蓄できないし、貯蓄だけではインフレなどに対応できず、将来的には損してしまうこともあります。お金に関するトラブルも頻発する世の中ですからお金の守り方を知る必要があります。
■片づけと貯蓄、原則は同じ!
貯められない人の家はたいてい散らかっている
「節約しなくちゃ!」の前に部屋を片づけよう
以前、収納アドバイザーのかたに、「部屋が片づけられない人ほどお金が貯まらない。でも、部屋がきれいになるにつれ、お金が貯まるようになる」と聞きました。片づけとは、自分の持ち物を把握し(現状を知る)、不要なものを手放し(適正量を決める)、きちんと収納できる状態を維持・管理すること。新しいものを買ったら古いものを捨てるなど、モノの動きを把握する必要があります。
貯蓄も同じです。自分の収入と支出を把握し(現状を知る)、不要な出費を削りながら目的に応じた貯蓄をし(適正額を決める)、毎月きちんと貯蓄できるように家計を維持・管理しなくてはいけません。
実際、モノとお金はダイレクトに結びついています。部屋がモノであふれているのは、多くのものを買っているからでしょう。お金を使うことは楽しいし、「どうせ使うんだから」と買ってしまう気持ちもわかります。
でも、結局あまり使わなかったり、賞味期限が切れてしまったり、ムダな出費であることが少なくないのです。しかも整理整頓ができていないと必要なものがいつまでたっても見つからず、結局「めんどうはお金で解決する!」とばかりに新しいものを買ってしまいます。これもムダ使いです。
片づけをしていると、モノを通じて自分のお金の使い方が浮き彫りになるものです。その気づきこそ、習慣を見直すきっかけになるはずです。
■「収入が少ないから貯蓄できない」わけじゃない
お金に無自覚な人は常に全額使いきる!
意識を高めるだけで、お金はちゃんと貯まります
このPartの最後に、お金にまつわる「あるある」の法則を紹介します。
イギリスの歴史家であり政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンは20世紀半ばに『パーキンソンの法則』という本を刊行しました。その中で2つの法則をあげています。
一つは時間について。仕事の場合、どんなに締め切りに余裕があっても、その仕事は期限いっぱいまでかかってしまうという法則です。時間があればあるほど、仕事は進まないものなのです。
もう一つはお金について。収入が増えて「これで家計に余裕ができる」と思っても、増えた分だけ支出も増えてしまうという法則です。収入が増えれば税金や社会保険料も増えますし、住居のグレードを上げるかもしれない。外食するお店や洋服のブランドも変わるでしょう。結果、増えた収入の分だけ支出が増えてしまう。これも「あるある」です。
ですから、「収入が少ないから貯蓄できない」「新NISAもできない」というのは詭弁でしかありません。貯蓄できない人は、収入が増えてもできません。逆に収入が少なくてもそれに応じた予算管理をしていけば、確実にお金は貯まります。そしてある程度貯まったら投資に回していけば、時間とともに財産が増えていきます。どれだけお金の出入りに自覚的でいられるかが勝負だということです。
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黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP認定者、1級FP技能士。一般社団法人「患者家計サポート協会」顧問、城西国際大学・経営情報学部非常勤講師もつとめる。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『親の介護は9割逃げよ 「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』など多数。
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月野 まる(つきの・まる)
マンガ家
2人の息子たちとの日常を描いた『かわいくないヤツら』で第1回Pixiv&MFコミックエッセイ新人賞大賞受賞。現在ライブドアブログやインスタにてアラフィフネタや日常マンガを更新中。著書『ナイフみたいにとがってら』が4 巻まで好評発売中。
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(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子、マンガ家 月野 まる)