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障害を理由とする差別の解消を目指す「障害者差別解消法」の改正に基づき、4月1日から『事業者による障害のある人への合理的配慮の提供』が義務化されます。例えば店で車いすの利用者が「車いすのまま着席したい」と申し出があった場合、店はスペースを確保するなど一定の要件の範囲で対応することが求められます。こうしたサービス提供をするソフト面と、バリアフリーに関するハード面はどこまで整備されているのか取材しました。

【写真を見る】車いす利用者も快適に 飲食店やフェリーでバリアフリー「障害者への合理的配慮」4月から義務化

マスターが作る多彩なカクテルに落ち着いた大人の雰囲気の店内。大分市にあるバー「Babymoon」。落ち着いた大人の雰囲気の店内で、マスターが作る多彩なカクテルを味わえます。店の扉を開けると入口からバリアフリー。全て段差がなく、カウンターも車いすの利用者が座りやすい高さになっています。

マスターの関元健二さんは事故で片足を失った祖父との思い出がきっかけとなり、店のバリアフリー化を進めました。

20年以上続く店は関元さんが車いすの利用者から意見を求め、こだわりぬいて設計されています。そうした関元さんの思いと店の魅力が徐々に評判を呼び、今では車いすで訪れる常連客もできたと言います。

(関元健二さん)「車いすの方でも健常者の方でも変わりはないので酒場では皆さん平等なので心のバリアフリーも含めて自分ができることはやろうかなと思う」

一方、交通機関でも整備が進んでいます。関西と九州を結ぶフェリー「さんふらわあ」は当事者の意見を取り入れて、船内とターミナルに年齢や障害の有無に関係なく利用できるユニバーサルデザインを取り入れました。

ターミナルでは知的障害や精神障害などがある人が気持ちを落ち着かせる「カームダウン・クールダウン」スペースを設置。 また、小さな子ども連れなど誰でも無理なく利用できるように、おむつを替えるスペースや授乳室などの専用ルームを整備しました。

(三井商船さんふらわ別府支店・楢崎均支店長)「各障害の種類に分けてどのように対応するかを検討した結果、非常に使いやすいターミナルと船になった」

車いす利用者の立場で、フェリーのバリアフリー化の整備に携わった若杉竜也さんです。船内の点字取り付けや客室内で移動できやすいようなベッドの配置など様々な意見を伝えました。

このほか、船の広間では人同士がぶつからないよう十分なスペースを確保し、段差もなくしました。洗面台や風呂などの高さにも配慮しています。

(別府・大分バリアフリーツアーセンター若杉竜也さん)「どうしても改修には予算がかかるし、全部認識したからするというものではない。心のバリアフリー、気持ちの面も向上しているので、今からもっともっと良くなっていくのではないかと思う」

4月1日から『障害のある人への合理的配慮の提供』が義務化され、事業者が法に反する行為を繰り返するなどした場合には、国の行政機関から報告を求められたり、助言や指導、さらには勧告を受けたりする場合があります。

社会の様々な壁を取り除くため、事業者と障害のある人との間で対話を重ねていくことが重要です。