3月27日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、大竹メインディッシュのコーナーに戦史・紛争史研究家の山崎雅弘さんが出演。先月発売された著書『詭弁社会―日本を蝕む“怪物”の正体』にちなみ、詭弁とはどういうものなのか解説した。

大竹まこと「この御本(『詭弁社会―日本を蝕む“怪物”の正体』)は“日本社会で二匹の怪物がうろついている”というふうに始まっています。二匹の怪物とはなんですか?」

山崎雅弘「ウソと詭弁です。ウソというのは事実と違うことなので、割とすぐに気づくんです。でも詭弁というのは見抜かれにくい、あるいはそのままスルーされやすいんですね。なぜそうかというと、説明の内容が、一見もっともらしいんですよ。ただし実際にしていることは、聞かれたことに答えません、あるいは責任をとりません……」

壇蜜「はぐらかす」

山崎「はぐらかして、すごく悪質な、傲慢な態度をとっている。表面的な言葉だけだと丁寧なので、メディアも忠実に報道する。なかなか『詭弁だ、欺瞞だ』と指摘されにくい」

壇蜜「本の中で謝罪についてお話しされている箇所があって。『何々だったことは謝罪する』と。それで『誤解を与えたのならお詫びする』。よくよく聴いたら『自分、悪くない』」

山崎「そうなんですよ。ほとんど相手側の理解力に責任を転嫁する、あるいは自分はなんらかの考えがあってやっているんだ、そういうまやかしのムードをつくって、自分自身を反省していないし、撤回していない。欺瞞的な態度が増えています」

大竹「きょうの国会をうまく乗り切ればいいか、みたいな感じが伝わってきます」

山崎「本当にその場しのぎなんですよ」

大竹「詭弁というのは敵も策を弄しているわけですから、論理的に追及して、どこが詭弁なのかをはっきりさせないと、巻き込まれてしまいますね」

山崎「そうなんです。スポーツでテニスをイメージしていただくとわかりやすいと思います。ボールが飛んできたとき、反射的にすぐに対応しないとダメなんです。詭弁というのは一瞬、もっともらしいので受け止めてしまいがちなんですよ。でも即座に、反射的に見抜いて『それは詭弁じゃないか』と突っ込まないといけない。説明していないじゃないですか、と。たとえばよく使われるのが『説明は控えさせていただく』という言い方」

大竹「『お答えは控えさせていただきます』。よく言いますね」

山崎「言われた側は即座に『なぜですか?』と聞かないといけないんですよ。控える理由というのは、何かしらあるなら正当ですけど、ないなら単なる答弁拒否です」

大竹「『いま捜査中ですので……』と言うのは理由になっている?」

山崎「なっていません。『捜査中だからお答えは控えさせていただきます』と言うなら、捜査の対象の警察なり検察なりに話したことと同じ内容を説明してください、と迫れば問題ないはずなんです。警察や検察と国民向けで違ったことを説明しているなら問題ですけど、既に説明したことなら、国民相手にもできますから」

大竹「『捜査中だから』と言われると太刀打ちできないな……と思ってしまうんですけど」

山崎「でも『誰かと会いましたか?』ということなら事実関係だけなので、説明して大丈夫のはず。潔白を証明するため『会っていません』というなら、捜査中だろうとなんだろうと事実は変わらないので、はっきり言えるはずなんです」

壇蜜「捜査中だから控える、という決まりはないわけですね」

山崎「ないんです。細々とした点は、裁判になるから……ということはあるでしょうけど。本質的な『賄賂を受け取りましたか?』『会ってはいけない人と会いましたか?』というところに関しては、答えられる。答えないとおかしいんです」