ルーキー・オブ・ザ・イヤー優秀賞を受賞した飯山エミリ。Vリーグ入りではなく大学進学を選んだ理由を明かした【写真:大学スポーツ協会提供】

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「UNIVAS AWARDS 2023-24」でルーキー・オブ・ザ・イヤー優秀賞を受賞

 一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)が、3月11日に年間表彰式「UNIVAS AWARDS 2023-24」を開催した。他の規範となる活動を行った新入生を表彰する「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」優秀賞の1人に選ばれたのが飯山エミリ(東海大学・女子バレーボール部)だ。

 飯山は中学生の頃から注目を集める存在だった。バレーボール界の強豪校の1つに数えられる東九州龍谷高校時代は3年間レギュラーとして活躍、3年時は主将を務め、全国大会でも脚光を浴びた。

 早くから将来を嘱望される存在となっていた飯山は、進路としてVリーグのチームではなく、大学を選んだ。

 その理由をこう語る。

「高校3年の夏の頃、大学に進もうと思いました。バレーボールだけでこれから生きていくというわけではないと考えた時に、在学中に資格を取ったり、大学を卒業することで選択肢を増やしたかったというのが大きかったですね」

 進学した東海大学での1年間をこう振り返る。

「授業と課題もある中で、練習も遅くなったりしてすごく大変ではありますが、全員寮生活を送っていて、お互いに協力し合いながら生活しています。バレーボール以外でも一緒に頑張れる、そういう面がいいなと思います」

 学生生活全般で、一緒に頑張る環境に身を置いてきた中で、バレーボールにおいても高校時代とは異なる取り組みを行っている。

「大学は自分たちでメニューとかも考えて、お互いに教え合って練習を立てていくことが多いです。先輩からも『大学の中で人に教えたりすることで自分もレベルアップできるから、そういうところを大事にしたほうがいい』と言われたので、そこを意識しています」

 何よりも大学に進んで学生生活を送ってきた中で感じている良さを、このように語る。

「プロのほうに進んだ友だちと話をする中で、人との関わりが少ないと聞いたので、大学に来て、いろいろなスポーツに触れたり、いろいろな人と関わる中で多様な意見も知ることができるというのがすごくいいなと思います」

 バレーボールの選手としても、成長を実感している。

「高校の時と比べて自分にできるプレーが増えたと思います。高校生の頃は単調な攻撃やオープンだったんですけれど、複雑な攻撃であったり、さらに深くバレーボールを学んだり、バレーを考えることがこの1年は多かったです」

 昨夏にはU21世界選手権にも日本代表として出場。「監督さんに『エミリの笑顔が周りを笑顔にしている』と言われて、それがすごく心に残ったので、常に周りを笑顔にできるようにと考えるようになりました」。それも選手として、人として、1つの大きな財産になっただろう。

「スポーツっていいな」とUNIVAS表彰式で改めて実感

 今回、「UNIVAS AWARDS 2023-24」のルーキー・オブ・ザ・イヤー優秀賞を受賞し表彰式に参加したことも刺激となった。

「今回はいろいろな競技の方の姿を見て、スポーツっていいなという気持ちと、自分自身ももっと頑張らないとな、という気持ちになりました」

 表彰式の最後には、さまざまな競技に打ち込む学生の姿が映像で流れた。そこには勝利した後、あるいは敗れた後、選手を応援する光景などスポーツを巡る喜怒哀楽が映し出された。その映像も心に残ったという。

「スポーツは感情を出せるというか、喜びとか悔しさとかもお互いに出し合って高め合える。すごく素晴らしいことだなと思いました」

 多くの経験を重ねたこの1年を振り返りつつ、これから進路を考える高校生へ向けて、こうアドバイスを送る。

「自分がやりたいように進むのが一番ですが、大学でバレーボールをすることで、バレーだけではなくて社会に出た時に必要なことも学べるので、学生をしながらバレーをするのは貴重な経験になると思います」

 様々な学びを得る日々の核にあるのがバレーボールだ。

「辛いことがあった時もバレーボールをしていたら忘れることが多いし、体がしんどくてもバレーで元気になれるし、夢中になれるスポーツです」

 今、思い描いている目標は「大学を卒業した後にVリーグに行って活躍できる選手になることで、目標であるオリンピックに出場して、メダルを獲れるような選手になるため頑張りたいです」。将来を思い描き、大学生活を過ごしていこうと考えている。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

松原 孝臣
1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材している。