古巣対戦を制した霜田監督は「失点に関しては、チームの仕組みの部分と個人の質を上げていきながら解決していかなければいけない」と反省。一方で「必ず複数得点ができる、J2の相手に対してシュートを22本も打っているということも含めればポジティブな面もある」と自信をのぞかせた。

 山口時代から主導権を握りながらの攻撃的スタイルを志向してきた指揮官にしてみれば、「1点取られても2点、3点を取って勝つチーム」が理想。就任2年目の今季はそこに近づいているという手応えがあるのかもしれない。

【PHOTO】長友・小川が復帰!W杯アジア二次予選、北朝鮮との連戦に挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介!
 確かに今季の山雅にはそれ相応のタレントがいる。J1のトップクラブである浦和レッズから赴いた馬渡も「山雅は個々の能力が高い。いろんなチームを経験してきた自分がそれを引き上げられるようにサポートしたり、チームをまとめられたらいい。『勝ち癖』を付ければいい集団、勝てる集団になっていく」と太鼓判を押していたほどだ。

 J3屈指のタレント力を昇格につなげるためには、今回の山口戦のような試合を繰り返してはいけない。昨季も4月のアスルクラロ沼津戦、5月の鹿児島ユナイテッドFC戦など終盤の大量失点で逆転負けした試合があったが、守備の綻びが積み重なれば致命傷になりかねない。強固な守備組織の構築と失点減は、彼らの最重要テーマと言っていい。

「クロス対応に関しては、マークにつく意識を昨年よりも高めているけど、それが120分できたかというとそうではない。もっともっと修正しないと失点数も減らないと思いますし、それがシーズン最後の結果につながってしまう。優勝するチームというのは失点が絶対的に少ない。そこは真摯に向き合わなければいけない」と守備リーダーの常田克人は危機感を募らせた。
 
 そこに取り組みつつ、得点力を上げられれば、山雅はJ2昇格争いをリードできるはず。昨季に奈良クラブで16ゴールを挙げているエースFW浅川も「チームを勝たせるのは自分の責任。僕が決めるか決めないかで勝敗が決まってくると思う。Y.S.C.C.横浜戦(3節、1-1)でようやく初ゴールが取れたので、ここから得点を増やしたい。そうすれば自ずとチームも上に行けると思います」と力を込めていた。

 少なくとも彼には、昨季J3得点王の小松蓮(現・ブラウブリッツ秋田)が奪った19点を上回る結果が求められるところ。他の得点源を作ることも重要だ。現時点では“リスタートからの野々村”というのが1つのパターンになっているが、他のアタッカー陣も決定力を引き上げるしかない。

 いずれにせよ、良い面と悪い面の両方が出た今回の山口戦を今後に活かすことが肝要だ。「しぶとく泥臭く勝ち切る」というクラブの流儀を取り戻すべく、彼らにはここから隙のない戦いを具現化してほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)