さまざまなクラウドサービスを使っている場合、それぞれのシステムに応じたファイルの転送手段を準備するのは面倒なもの。「Rclone」は70種類以上のストレージサービスに対応しており1つのアプリでほぼ全てのストレージサービスとファイルのやりとりをできるとのことなので、実際に使ってみました。

Rclone

https://rclone.org/

RcloneはUNIXコマンドで言うところの「rsync(同期)」「cp(コピー)」「mv(移動)」「mount(マウント)」「ls(ファイル一覧表示)」「ncdu(ディスク使用量確認)」「tree(ディレクトリ構造をツリー表示)」「rm(削除)」「cat(ファイルの中身表示)」の動作が行えるとのこと。

また、「--dry-run」に対応しており事前にコマンドの結果をプレビューすることで重要なファイルを削除してしまうというミスを減らすことが可能となっています。

インストールは実行ファイルをダウンロードするだけと非常に単純ですが、パスを通すのが面倒という人向けにWindowsでは「Windowsパッケージマネージャー」を使用したインストール方法が用意されています。スタートメニューを開き、「powershell」と検索すると出てくる「Windows PowerShell」をクリック。



そして下記のコマンドを入力します。

winget install Rclone.Rclone

初めて「winget」コマンドを実行する際には下記の確認を求められるので、「Y」と入力してエンターキーを押します。



その後は特に問題無くスムーズにインストールが完了しました。環境変数の変更を反映するため、PowerShellを再起動します。



PowerShellを再起動できたら下記のコマンドを入力して設定を開始。

rclone config

続いて「n」と入力して新規設定を開始し、設定の名前を付けます。今回は「GoogleDrive」としました。すると下部に接続可能なストレージサービスの一覧が出現します。



今回は「Googleドライブ」に接続してみます。Googleドライブは18番にあり、2行目に「(drive)」とIDが表記してありました。



ということで、「18」と入力します。ここは数字で指定するほか、「drive」とIDで指定してもOKとのこと。



続いてGoogleドライブへの接続についての設定を行います。「client_id」および「client_secret」は空欄で良いとのことなので空欄にしました。



権限は「フルアクセス」を選択するため「1」と入力。



アカウントの認証情報欄を空欄にし、追加の設定を「n」で拒否します。ウェブブラウザでの認証を行うかという質問には「y」と入力しました。



ブラウザが自動で起動し、Googleへのログインを求められます。Rcloneからアクセスしたいアカウントをクリック。



「許可」をクリックします。



「Success!」と表示されました。



接続後、「共有ドライブとして設定する?」と聞かれるので「n」と入力。



設定内容の確認画面が表示されます。問題無いか確認して「y」と入力しました。



「Current remotes」欄に「GoogleDrive」が追加されました。「q」と入力して設定を終了します。



接続が成功しているかを確認するため、下記のコマンドを入力してみます。

rclone ls GoogleDrive

下図の通り、GoogleDriveに保存している全てのファイルが一覧で表示されました。ムービー形式のファイルなど、ファイル形式によってはファイルサイズも表示されています。



続いて同期を試してみます。Googleドライブの直下に「記事」というフォルダを作成し、その中に「Rclone」というフォルダを作成するという二重構造にしてみました。Rcloneフォルダの中のドキュメントが同期されれば成功というわけです。



間違ってファイルを消してしまうなどの大惨事を防ぐため、まずは「--dry-run」を付けて実験してみます。

rclone sync --dry-run GoogleDrive:記事/Rclone C:\googledrive

実行してみると下記の通り1件の転送が行われることが表示されました。



問題なさそうなので下記のコマンドを実行します。

rclone sync GoogleDrive:記事/Rclone C:\googledrive

無事手元にファイルが同期されてきました。今回はストレージサービスとローカルの同期を行いましたが、ストレージサービス同士で同期することも可能とのこと。



そのほかのコマンドについてはRcloneのドキュメントにて詳細な使用方法が解説されているので確認してみてください。

なお、記事執筆時点で対応しているクラウドストレージ系サービスは以下の通りです。

1Fichier

Akamai Netstorage

Alibaba Cloud (Aliyun) Object Storage System (OSS)

Amazon Drive (See note)

Amazon S3

Backblaze B2

Box

Ceph

China Mobile Ecloud Elastic Object Storage (EOS)

Arvan Cloud Object Storage (AOS)

Citrix ShareFile

Cloudflare R2

DigitalOcean Spaces

Digi Storage

Dreamhost

Dropbox

Enterprise File Fabric

Fastmail Files

FTP

Google Cloud Storage

Google Drive

Google Photos

HDFS

Hetzner Storage Box

HiDrive

HTTP

ImageKit

Internet Archive

Jottacloud

IBM COS S3

IDrive e2

IONOS Cloud

Koofr

Leviia Object Storage

Liara Object Storage

Linkbox

Linode Object Storage

Mail.ru Cloud

Memset Memstore

Mega

Memory

Microsoft Azure Blob Storage

Microsoft Azure Files Storage

Microsoft OneDrive

Minio

Nextcloud

OVH

Blomp Cloud Storage

OpenDrive

OpenStack Swift

Oracle Cloud Storage Swift

Oracle Object Storage

ownCloud

pCloud

Petabox

PikPak

premiumize.me

put.io

Proton Drive

QingStor

Qiniu Cloud Object Storage (Kodo)

Quatrix by Maytech

Rackspace Cloud Files

rsync.net

Scaleway

Seafile

Seagate Lyve Cloud

SeaweedFS

SFTP

Sia

SMB / CIFS

StackPath

Storj

Synology

SugarSync

Tencent Cloud Object Storage (COS)

Uptobox

Wasabi

WebDAV

Yandex Disk

Zoho WorkDrive

The local filesystem