Apple純正地図アプリ「マップ」では飲食店などの位置情報のほかに営業時間や口コミなどを確認することができますが、誤った情報が記載されている場合もあります。オーストラリアで飲食店を経営している夫妻は、Appleのマップに誤情報が記載されたことで1万2000オーストラリアドル(約117万円)に及ぶ損害を被ったと報告しています。

Apple Maps wrongly lists restaurant 'permanently closed' which owner says has cost him thousands - ABC News

https://www.abc.net.au/news/2024-01-23/apple-maps-error-costs-local-business-pums-kitchen/103364008

Apple純正マップの店舗情報表示の例はこんな感じ。マクドナルドのJR東京駅店の情報を表示させると、電話番号や住所とともに営業時間も表示されます。Apple純正マップを使えば、店舗の位置と営業時間を同時に確認できるというわけです。



しかし、マップに記載された情報がすべて正しいとは限らず、中には誤った営業情報が記されることもあります。オーストラリアのクイーンズランド州でタイ料理店「Pum's Kitchen」を経営するパイアット夫妻によると、「Pum's Kitchen」は営業を継続しているにもかかわらずApple純正マップに「permanently closed(閉業)」と記されてしまったとのこと。



パイアット夫妻はiPhoneやMacなどのApple製品を所持していなかったため、友人から「どうして閉業しちゃったの?」と尋ねられるまでApple純正マップに誤情報が記されていることに気付きませんでした。夫妻によると誤情報が掲載された時期は不明なものの、2023年11月末頃から客の数が急激に減少して収益が1万2000オーストラリアドル減少したとのこと。また、Apple純正マップでは店舗の位置も誤った情報が登録されていました。

夫妻は情報を訂正してもらうためにAppleに問い合わせましたが、「あなたたちはAppleの顧客ではないため、対応できない」と返答され、自分でオンラインツールを用いて修正するように案内されました。

夫妻は案内されたツールを用いて情報の訂正を依頼しましたが、数日が経過しても情報は訂正されませんでした。その後、オーストラリア放送協会が運営するABCニュースがAppleに当該事象について問い合わせた結果、2時間後に情報が訂正されたとのこと。

しかし、情報が訂正された直後は営業時間は正しい情報になったものの位置情報は間違ったままでした。パイアット夫妻は「Apple純正マップを頼りに店を目指したものの、店にたどり着けずに結局来店しなかった客」も存在することを報告しています。



なお、記事作成時点では「Pum's Kitchen」の位置情報は正しいものに訂正されています。



サンシャイン・コースト大学でコンピューターサイエンスについて研究するエリカ・ミーリ氏によると、インターネット上では数多くの経営者が店舗情報の誤りを報告しており、パイアット夫妻と同様にオンラインツールを用いてAppleに訂正を依頼したものの反映されない例も多発しているそうです。

Macに標準インストールされているマップのアプリ情報を確認すると、コミュニティ主導のマップサービス「OpenStreetMap」の情報を参照している旨が記されているほか、OpenStreetMapとその他のデータ提供者と記された部分をクリックすると参照情報一覧ページにアクセスできます。しかし、Appleが収集した情報をどのように処理しているのかは不明。ミーリ氏は「バックエンドで何らかの問題が発生している可能性があるが、Appleは(処理内容を)明らかにしていないため何が起きてるのかは分かりません」と述べ、Apple公式マップに誤情報が掲載される原因を突き止めることが困難であることを強調しています。