いろいろな勉強法がありますが、もっとも効果的なのはアウトプット型の勉強法だといいます(写真:USSIE/PIXTA)

子どもをお持ちの親御さんなら、誰でも「勉強ができるようにしてあげたい」と思っていると思います。そして、そのニーズに応えるために世間ではいろいろな勉強法が提供されています。

それに関しては私も小学校の教師をしていた頃からいろいろと試行錯誤してきました。そして、1つの結論に至りました。それをひと言で言えば、アウトプット型の勉強法が一番効果的だということです。

大きく2種類ある勉強法

勉強法を大きく分けるとインプット型とアウトプット型の2種類があります。

インプット型とは、読んだり見たり聞いたりしておこなう受動的な勉強です。例えば、先生の話を聞く、読書する、動画を見る、実演を見るなどです。つまり、外からの情報や知識を受け身的に自分の中にインプットする勉強です。

アウトプット型は、話す・書く・練習する・体を使って表現する・体験する・人に教えるなどしながら行う能動的な勉強です。例えば、子どもが学校から帰ってきて、その日勉強したことをママやパパに話したり、妹や弟に教えてあげるだけでもよいアウトプット勉強になります。

実際にある女の子は、自分のぬいぐるみや可愛がっているペットに、勉強も含めてその日の出来事を話しているそうです。楽しそうに話しながら勉強のおさらいができて最高だと親御さんが言っていました。こうしたアウトプットをするとき勉強内容が思い出されて、記憶の定着につながります。

また、ある男の子は昆虫図鑑を見ながら昆虫の絵をカードに描くのを楽しみにしていました。そして、お母さんの提案でそれをもとにカルタを作ることにしました。絵のカードとは別のカードにそれぞれの昆虫の特徴を短くまとめて書き、それを読み札にしました。お母さんにその読み札を読んでもらって、お父さんと男の子がカルタを取るという遊びで盛り上がったそうです。

集中して理解し、記憶の定着が進むアウトプット型

また、私は、ユーチューブでアウトプットしている小学生男子の動画を見たことがあります。中田敦彦さんのユーチューブ大学のような感じで、ホワイトボードに要点を書き主に歴史について講義していました。

ホワイトボードに要点を書き出すためには、まず教科書や参考書をしっかり読んで理解し、それを自分の表現でまとめなければなりません。そのためにはかなりの集中力が必要ですし、それによって理解が進み記憶も定着します。さらに、それをカメラに向かって自分の言葉で話すわけで、そこでもまた記憶の定着が進みます。

また、アウトプットするときに、わかったつもりでいたことが実はよくわかっていなかったということに気づくこともよくあります。それによって再度集中してインプットし直し、またアウトプットに臨むということになります。こうした一連の過程が本当によい勉強になるのです。

さらに、アウトプット勉強法の特筆すべき長所は、自分の好きな形でアウトプットできるということです。ですから、子どもは心から楽しみながら熱中して勉強に取り組めます。その最中に、親御さんが「あなたは勉強が好きだね」「理科が好きだね」「すごい! 歴史博士だ」などの肯定的な言葉を贈ってあげれば、子どもは「自分は勉強が好きなんだ」と思えるようになります。

インプット型の勉強ですと、ぼんやりした気持ちで受け身的に勉強することが多くなります。これだと楽しさを感じることもできにくく、集中力も続かなくなりがちです。それでも時間だけは過ぎていくので、何となく勉強したような気分になってしまいます。また、理解と記憶がしっかりできているか自分ではわかりにくいため、何となくわかった気になってしまい実はよくわかっていなかったということも起こりえます。

このようなアウトプット型とインプット型の勉強効果の違いについては、アメリカ国立訓練研究所から出されたラーニングピラミッドという学習モデルでも明確に示されています。このモデルでは勉強法を7つの階層に分けて序列をつけています。

効果のある勉強法3番目までが、すべてアウトプット型

それによると、1番大きな効果があるのが「他の人に教える」で、2番目が「自分で体験する・練習する」、3番目が「それについて議論する」です。お気づきのように、これらの3つはすべてアウトプット型の勉強です。


そして、その3つに続いてようやくインプット型の勉強がランクインします。つまり、4番目が「実演を見る」、5番目が「視聴覚を使って学ぶ」、6番目が「読書」、7番目が「講義」という順番です。

要するに、耳で講義を聴いたり、目で読書したりするだけの受動的でインプットだけの勉強よりも、人に教えたり、自分で体験や練習、つまり体を使ってやってみたり、あるいは人と議論したりするほうが身につくということをアメリカ国立訓練研究所も認めているということです。

ですから、このアウトプット勉強法は本当にお薦めです。ぜひ、日頃から取り組んでください。そして、ぜひとも、子どもたちにもやらせてあげてください。


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(親野 智可等 : 教育評論家)