厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第22回:インクルージョン

 今年のGI日本ダービー(東京・芝2400m)を制したタスティエーラや、2015年にGI皐月賞(中山・芝2000m)とダービーの二冠を達成したドゥラメンテなど、多数の名馬を育て上げてきた美浦トレセンの堀宣行厩舎。今年も将来有望な2歳馬を数多く管理しているが、なかでも期待の高い1頭がまもなくデビューを迎える。

 インクルージョン(牡2歳/父ハーツクライ)である。


堀宣行厩舎期待のインクルージョン

 同馬の母は、現役時代にアメリカで活躍したインクルードベティ。3歳の4月にGIIIファンタジーS(アメリカ・ダート1700m)で重賞勝ちを決めると、同年6月にはGIマザーグースS(アメリカ・ダート1700m)を勝ってGIタイトルを手にした。

 さらに、続くGIのCCAオークス(アメリカ・ダート1800m)でも3着に健闘。この他にも、重賞やオープンレースで何度も上位争いを演じてきた。

 引退後は繁殖牝馬となり、しばらくして来日。ハーツクライとの配合で2021年に産んだのが、インクルージョンだ。

 現在、デビューに向けて調整を重ねているインクルージョン。厩舎スタッフの評価はどれほどのものなのか。関東の競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。

「インクルージョンについてスタッフは、『調教をする前は緩いところがあり、まだまだこれからの馬だと思っていたが、実際に走らせてみると重苦しさもなく、思った以上に動けた』と話していました。続けて、馬体は未完成ながら『この状態でここまで動けるなら、今後が楽しみ』とにんまり。成長すればさらに化けそう、といったニュアンスでした」

 実際、陣営はこの馬のさらなるレベルアップに手応えを感じているという。先述のトラックマンが続ける。

「調教を重ねるごと、その動きは確実に良化しているようで、11月9日の追い切りでもジョアン・モレイラ騎手を背にして軽く仕掛けただけで、併せた相手を突き放したとか。『これからも、この成長曲線が続くはず』とスタッフも目を細めていました。初陣では、勝ち負け必至でしょう」

 アメリカのGI馬を母に持ち、名門・堀厩舎で鍛錬を積むインクルージョン。デビュー戦でどんな走りを見せてくるのか、楽しみでならない。