アメリカはAI関連アプリケーションの開発に必要な高性能チップの中国への輸出を制限しています。2023年10月17日にアメリカ政府は輸出制限の強化を発表し、これまで中国への輸出が可能であったNVIDIA製チップなどが影響を受けることが明らかになりました。

Advanced Computing and Semiconductor Manufacturing Items Controls to PRC

https://www.bis.doc.gov/index.php/policy-guidance/advanced-computing-and-semiconductor-manufacturing-items-controls-to-prc



U.S. bans export of more AI chips, including Nvidia H800, to China

https://www.cnbc.com/2023/10/17/us-bans-export-of-more-ai-chips-including-nvidia-h800-to-china.html

アメリカは中国によるAI開発を軍事上の脅威と認識しており、一定の性能を超える高性能チップの中国への輸出制限を2022年に始めました。しかし、半導体企業は「既存の高性能チップの性能を制限以内に抑えたバージョン」を開発することで輸出制限を回避しており、NVIDIAが制限回避版の高性能チップ「A800」を中国向けに生産していることが明らかになっているほか、Intelが中国向けAIチップ「Habana Gaudi2」を開発したことも報じられています。

NVIDIAが中国で輸出規制を回避できる新チップ「A800」を生産していることが明らかに - GIGAZINE



そんな中、アメリカ政府は2023年10月17日に中国へのAIチップ輸出制限を強化し、新たな性能のしきい値を導入することを発表しました。ジーナ・レモンド商務長官は制限を強化した理由について「輸出制限の強化は(中国による)計算処理能力へのアクセスを制限するために特別に設計されました。(高度な計算処理能力は)軍事的な分野で活用される可能性があり、アメリカや同盟国を脅かす可能性があります」と説明しています。

NVIDIAが2023年10月17日にアメリカ証券取引委員会に提出した書類によると、規制強化によって同社の製造する「A100」「A800」「H100」「H800」「L40」「L40S」「RTX 4090」が新たに影響を受けるとのこと。ただし、NVIDIAは「当社の製品の世界的な需要の高さを考慮すると、制限強化が当社の短期的な財務状況に重大な影響を及ぼすとは考えられません」と述べています。



なお、レモンド氏は「実際のところ、中国は規制強化の後でもアメリカから数千億ドル(数十兆円)規模の半導体を輸入し続けるでしょう」と述べ、制限が限定的なものであることを認めています。