東京都の平均年収は日本国内で最も高いといわれています。全国平均と比べてどれくらい高いのでしょうか。厚生労働省の『令和4年(2022年)賃金構造基本統計調査』をもとに、東京都の平均年収について解説します。

また、同じ東京都内でも年齢や性別、働いている業界などによって差があります。この記事では、男女別や年代別、産業別の平均値もあわせて紹介するので参考にしてください。

2022年の東京都の平均年収は?

厚生労働省の『令和4年(2022年)賃金構造基本統計調査』によれば、東京都の平均賃金(月額)は37万5,500円となっています。全国平均は31万1,800円です。

ここでいう賃金とは「所定内給与額」、つまり、調査した年の6月分の現金支給額(きまって支給する現金給与額)から超過労働給与額(時間外勤務、深夜勤務、休日出勤などの手当分)を差し引いた、所得税などを控除する前の金額を指しています。

時間外勤務手当などを含む現金支給額(きまって支給する現金給与額)の平均は、東京都が40万5,000円、全国平均が34万100円です。

そこから年収を計算すると40万5,000円×12ヶ月+112万9,500円(年間賞与その他特別賞与額)=「598万9,500円」が東京の平均的な年収水準といえます。

対して全国平均は34万100円×12ヶ月+88万4,500円=「496万5,700円」なので、東京都の平均年収は全国平均に比べて100万円ほど高いということになります。

なお、同調査はアルバイトやパートなどの短時間労働者や臨時労働者の数字を含んでおらず、10人以上の労働者を常時雇用する民間企業を対象にしています。

以下のグラフは、平均賃金月額(全国平均)の推移です。

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)

昭和51年(1976年)以降、平成9年(1997年)ごろまでは上昇傾向にありましたが、その後は令和4年(2022年)まで大きな変動がなく同程度で推移しています。

【男女別】東京都の平均年収は?

平均年収は性別によっても差があります。続いて、東京都の平均年収を男女別に見ていきましょう。

男性の平均年収
まずは、男性の平均値です。

東京都の男性の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 41万2,800円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 44万6,300円
(3)年間賞与その他特別給与額 130万4,700円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 666万300円

平均年収は約666万円です。全国で最も平均年収が高い「東京都」で、女性より平均年収が高い傾向がある「男性」で、さらに「10人以上を常時雇用する企業」に勤務する「一般労働者(短時間や臨時の勤務ではない労働者)」に絞った結果なので、高めの数値となっています。

女性の平均年収
続いて、女性の平均値です。

東京都の女性の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 31万1,200円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 33万3,700円
(3)年間賞与その他特別給与額 82万7,200円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 483万1,600円

平均年収は約483万円です。男女合わせた全国平均より少し低いくらいの水準で、東京の男性の平均年収と比べると180万円ほど低くなります。

【年代別】東京都の平均年収は?

続いて、年代別の東京都の平均年収を紹介します。基本的には年齢が上がるほど平均年収が高くなる傾向があります。

30代以下の平均年収
東京都の30代以下の平均年収は、以下のとおりです。

男性 女性
~19歳 283万3,100円 248万7,600円
20歳~24歳 367万1,300円 334万9,800円
25歳~29歳 473万7,500円 410万8,700円
30歳~34歳 578万5,800円 469万5,600円
35歳~39歳 674万9,500円 512万8,000円

男女とも、35歳~39歳の時点で、全年代を合わせた東京都の男女別の平均年収(前述)をそれぞれ上回ります。男性は5年間で100万円ほどの年収増が継続していくイメージですが、女性は年齢が上がるにつれて上昇のペースが落ちているのがわかります。

40~50代の平均年収
続いて、東京都の40代~50代の平均年収です。

男性 女性
40歳~44歳 720万5,800円 541万5,200円
45歳~49歳 758万6,200円 548万8,800円
50歳~54歳 821万7,100円 550万8,700円
55歳~59歳 828万7,500円 568万3,600円

男女とも、全年代の中で「55歳~59歳」のときが最も平均年収が高いという結果でした。40代~50代は、特に収入の男女差が大きくなりやすい時期といえます。

60代以上の平均年収
続いて、東京都の60代以上の平均年収は以下のとおりです。

男性 女性
60歳~64歳 617万1,900円 428万2,700円
65歳~69歳 464万7,100円 369万5,900円
70歳~ 363万4,600円 317万300円

多くの人が定年退職を迎えるため、男女とも40代~50代の頃より平均年収が下がります。また、年齢を重ねるにつれて徐々に下落していく傾向にあり、男女差も縮まってきます。

【産業別】東京都の平均年収は?

続いて、働いている業界ごとの平均年収の違いを見ていきましょう。統計上は多数の産業区分に分かれていますが、数が多いため、ここでは以下の7業界をピックアップして紹介します。

・建設業
・製造業
・卸売業&小売業
・金融業&保険業
・宿泊業&飲食サービス業
・教育・学習支援業
・医療・福祉

産業別の東京都の平均年収は、次のとおりです。

建設業の平均年収
まずは、建設業界です。

東京都の建設業の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 39万4,500円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 43万100円
(3)年間賞与その他特別給与額 112万600円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 628万1,800円

東京都の建設業の平均年収は約628万円です。東京都全体の平均が約599万円なので、それを上回っています。

製造業の平均年収
続いて、製造業界です。

東京都の製造業の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 38万2,100円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 41万700円
(3)年間賞与その他特別給与額 130万9,700円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 623万8,100円

東京都の製造業の平均年収は約624万円です。前述の建設業とほぼ同じくらいですが、内訳を見ると、製造業は賞与の占める割合がより高くなっています。

卸売業・小売業の平均年収
続いて、卸売業界と小売業界です。

東京都の卸売業・小売業の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 37万7,400円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 39万7,600円
(3)年間賞与その他特別給与額 126万6,000円

(2)と(3)から計算した【平均年収】 603万7,200円

東京都の卸売業・小売業の平均年収は約604万円です。前述の2業界に比べると低いものの、まだ東京都全体の平均年収よりは高い水準です。ちなみに、小売業より卸売業の方が高いという結果でした。

金融業・保険業の平均年収
続いて、金融業界と保険業界です。

東京都の金融業・保険業の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 43万7,600円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 48万600円
(3)年間賞与その他特別給与額 188万7,100円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 765万4,300円

東京都の金融業・保険業の平均年収は約765万円です。この記事で紹介する7業界の中で最も高い水準でした。

宿泊業・飲食サービス業の平均年収
続いて、宿泊業界と飲食サービス業界です。

東京都の宿泊業・飲食サービス業の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 33万2,000円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 35万4,000円
(3)年間賞与その他特別給与額 74万4,900円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 499万2,900円

東京都の宿泊業・飲食サービス業の平均年収は約499万円です。東京都全体の平均年収(約599万円)に比べて低く、全国平均(約497万円)と同程度でした。

教育・学習支援業の平均年収
続いて、教育・学習支援業界です。

東京都の教育・学習支援業の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 43万8,200円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 45万6,500円
(3)年間賞与その他特別給与額 143万8,900円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 691万6,900円

東京都の教育・学習支援業の平均年収は約692万円です。この記事で紹介する7業界の中では、金融業・保険業に次いで高い水準でした。

医療・福祉の平均年収
続いて、医療・福祉業界です。

東京都の医療・福祉の平均収入】
(1)平均賃金月額(所定内給与額) 33万6,900円
(2)上記に超過勤務手当等を含めた金額(きまって支給する現金給与額) 36万2,000円
(3)年間賞与その他特別給与額 101万6,800円
(2)と(3)から計算した【平均年収】 536万800円

東京都の医療・福祉の平均年収は約536万円です。東京都全体の平均年収(約599万円)よりも低い結果でした。ちなみに、医療業に絞って見ると約592万円となっています。

東京都の平均年収が高い理由は?

東京都の平均年収は、日本国内で最も高い水準となっています。その理由として、たとえば以下のような点が挙げられます。

・物価(おもに住居費)が高い
・東京には大手企業の本社が多い
・求人数が多い

東京は地価が高く、家賃や住居費が高額になりがちです。企業によっては、東京に配属になった人に対して、地方配属より高い住居手当を支給するところもあります。

また、日本を代表する大手企業や多額の利益を上げる会社などの本社が集結しているため、高い給料で働く人が集まりやすい傾向があります。さらに求人数も多く、最低賃金も全国トップの高さです。

まとめ

2022年の東京都の平均年収は、598万円9,500円でした。全国トップの高さで、全国平均に比べて100万円ほど高い水準となっています。ボーナスや超過勤務手当などを除いた場合、所定内給与額(平均賃金月額)37万5,500円×12ヶ月=約450万円となります。

東京都の平均年収が高いのは、物価の高さや求人数の多さ、大企業の多さなどが関係していると考えられます。平均年収は性別、年齢、業界によっても異なるので、この記事で紹介したさまざまな平均値を参考にしてください。