【バイタルエリアの仕事人】Vol.32 齋藤学|「ハリルに名前を覚えられてなかったので」日本代表での悔しさは今も胸に。川崎時代のライバル三笘薫は――
前編では仙台での現状やバイタルエリアでの意識などについて訊いた。後編ではまず、自身の代名詞であるドリブルを語ってもらった。
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プロ1年目か2年目ぐらいで、僕が悩んでいる時とかに山瀬功治さんに結構、話を聞いてもらったりしていて。ドリブラーの先輩というか、ドリブルをすごくしていた先輩なので。その際に言われたのが、「選択肢の1つに過ぎない」と。だから、何でもかんでもドリブルでいけば、プレーの選択として、判断として、正解かって言われるとそうじゃないって。
ドリブルへのこだわりは正直あんまりないです。ただ、優先順位が高いだけですから。「あっ、今ドリブルできるんだったら、ドリブルしとこう」って。ただ、フロンターレとかにいたら、サポートの質や量がすごくて、横に付く選手が多くなったので、あんまりドリブルしないで、パスやワンツーで崩していくみたいなシーンが増えました。
ドリブラーって言われること自体は嬉しいです。僕は身体が小さくて、(リオネル・)メッシとかを見て、すごく勇気づけられていますけど、あれだけ身体が小さいことが、ポジティブになるのは、子どもたちとかにも良い影響を与えられると思うので、ドリブラーと言われるのは全然嬉しいです。
“エヒメッシ”だったり“ハマのメッシ”の愛称は、言われていた時から「そんなに受け入れてない」って言っていたんですけど。反町(康治/当時湘南ベルマーレ監督)さんがね、「愛媛のメッシ」って言ってくれてから、勝手に出てきちゃって。いや、嬉しいことですよ、そうやって言われるのは。ただ、もっともっと活躍しなきゃなっていうのは思っています。
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ドリブラーでいえば、川崎フロンターレ時代にポジションを争った三笘薫(現ブライトン)が、プレミアリーグや日本代表で大活躍中だ。今をときめく後輩の印象を、ヴァイッド・ハリルホジッチ体制下の2016年以来、7年遠ざかる日本代表への想いとともに尋ねた。
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薫はタイミングを取ると、姿勢の初速が速いので、相手からしたらびっくりするんじゃないですかね。あとは本当に、ブライトンのサッカーが合っているのは、より薫を成長させる要素に、1つ加わってるかなと思います。
フロンターレ時代はポジションを争っていて、どんどん羽ばたいていきましたね。すごく良い選手だと思うし、同じポジションでしたけど、お互いに健闘し合うじゃないですけど、どっちかがスタメンの時はサブのどっちかに向かって、「今回はちょっと頑張ってみます」みたいなことを言い合える仲でした。
この前の日本代表の試合は、夜中だったのでドイツ戦はまだ見れてないんですけど、トルコ戦は見ました。久保(建英)君がすごいなと思って。今、ベガルタはポゼッションの仕方や、どこで中盤で優位性を持つか、どうやって前に進められるかが課題で、すごく考えているところなんですけど、そういう目線でプレーを見た時に、間で受けるのがとても上手い。
このリズムで、この間で受けられれば、前進できるし、他の選手が輝くのかっていうのを、よく見ていました。J2と比べると、トルコはもっとコンパクトじゃなかったのかなって気もしなくはないですけど。
でも久保君が間で受けて、タッチの数とか、あれだけ細かく触ってたら相手は嫌だろうなって。見ていてすごく良い選手だし、久保君でこんなに前に進めてる感じが、この選手がいるから今、このチームは上手く回っているんだなと強く感じましたね。
自分は…ワールドカップに選んでもらったし、正直、あそこでプレーできてれば、また世界は変わったかもしれないですけど。1試合も出られないで終わった悔しさをずっと持っていましたし、 悔しかったですけど、それも力不足で。16年に追加召集で代表に入った時も、僕はハリルに名前を覚えられてなかったので、「それは使われないや」「選ばれたけど使われないや」って、ちょっと思っちゃって。
悔しいですけど、あそこに何度か選んでもらえたのは、すごく光栄。もっと自分のプレーを、もっと自信を持って出せていれば…。結果を出したかったですね。それはまあ、ずっとありますけど。
ただ、それも1つの経験なので。その悔しさは今でも持ってプレーできていますし。日の丸を背負ってピッチに立ったのは、すごく自分にとっては糧になっています。
2年前のロンドン五輪から着実にステップアップを果たし、2014年のブラジル・ワールドカップメンバーに名を連ねるも、3試合で出場機会ゼロに終わった。
その悔しさを今も忘れずに持ち続け、前に進み続ける齋藤だが、仙台でプレーするにあたり、あえてこれまでを振り返ったようだ。
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自分のプレーはそんなに今までは見てこなかったんですけど、仙台に入って、久しぶりに日本でのサッカーで、感覚がやっぱり他の国とは違うので。
こう、なんだろうな…。今、仙台は守備に重きを置いているわけじゃないですけど、まずは失点しないで、みんなで頑張って守備をするのが1番強みというか、大事なことです。みんながそれをやっているなかで、攻撃になった時にドリブルする時間などを増やさなきゃいけない。
それで、フロンターレや名古屋でそういう時間があんまりなかったので、もう1回そういう時間を増やすために、マリノス時代の映像を見返して、自分のプレーがどうだったのかなって。
あの時のマリノスだと、結構ウイングが張ることが多かったので、参考になるかなと思って見てたら、あ、自分すっごい存在感あるじゃんって思って(笑)。
いつもは(ジャック・)グリーリッシュやメッシとか…薫の試合も見る時は見るし、結構ヨーロッパの試合を戦術的な感じで見たりはしているんですけど、今はそっちを見るよりは、ちょっと自分の良い時を思い出して、もっと仕掛けられるようになんなきゃなって。思い出すための作業で前の映像を見たりしています。
それでマリノスとレッズの試合(2017年のJ1開幕戦)を見て、おーっと思って。ああ存在感あるじゃんって(笑)。
※このシリーズ了
取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)
