仕事や学校で忙しい平日はどうしても睡眠時間が少なくなってしまう一方、次の日が休日だといつもより夜更かしをして、休日の朝は平日よりずっと遅い時間に起きるという人は多いはず。ところが、6000人以上の睡眠パターンについて分析した新たな研究では、平日と休日で一貫した睡眠パターンを持っている人の方が、そうでない人よりも生物学的な老化が遅いことが判明しました。

Day-to-day deviations in sleep parameters and biological aging: Findings from the NHANES 2011-2014 - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2352721823001687



Consistent sleep slows down aging at a cellular level • Earth.com

https://www.earth.com/news/consistent-sleep-slows-down-aging-at-a-cellular-level/

A good night's sleep can actually slow aging: new study

https://nypost.com/2023/09/27/a-good-nights-sleep-can-actually-slow-aging-new-study/

睡眠はさまざまな認知タスクやメンタルヘルスに加え、身体的な健康とも密接に関わっていることが知られているため、しっかりと睡眠時間を確保することを心がけている人は多いはず。それでも、忙しい平日は睡眠時間が短くなってしまいがちで、平日に眠れなかった分を休日に取り返す生活を送っているという人もいるかもしれません。

そこでアメリカ・オーガスタ大学の研究チームは、2011年〜2014年にかけてU.S. National Health and Nutrition Examination Survey(アメリカ国民健康栄養調査)が収集した6052人のデータを分析し、睡眠パターンと生物学的な老化についての関連性を調査しました。

アメリカ国民健康栄養調査では、平均年齢50歳の被験者らは睡眠トラッカーを4〜7日間にわたり装着し、睡眠時間や時間帯の変動、規則性などについてのデータが収集されました。また、被験者から採取した血液サンプルを分析し、肝臓や腎臓の病気の兆候、コレステロール値、糖尿病の予測因子など、生物学的老化を測定するために役立つさまざまなデータも収集されたとのこと。



データからは、被験者の65%が1日あたり7〜9時間の睡眠をとっており、16%が7時間未満、19%が9時間以上眠っていることが判明。また、被験者らは平均して週末に78分も多く眠っており、就寝時間は平均して60分ほど変動することもあったそうです。

睡眠時間や就寝時間の変動を生物学的老化のマーカーと組み合わせて分析すると、平日と休日における就寝時間や睡眠時間の違いが最も大きい人々は、生物学的年齢も高くなる傾向があることがわかりました。睡眠のパターンが最も変動的だった人々は一貫した睡眠パターンを持っている人と比較して、生物学的年齢が平均で約9カ月高かったと研究チームは報告しました。

今回の研究結果は、不規則な睡眠パターンが細胞の老化を加速させ、加齢性疾患や早死にのリスクを高める可能性を示唆するものです。研究チームは、睡眠パターンの変動によって体内時計に偏りが生じ、生物学的老化を調節するプロセスに影響が出るのかもしれないと考えています。

研究チームは、「睡眠における日々のズレは修正可能な行動因子です。そのため、睡眠パターンの規則性を高める介入が健康寿命を延ばす新たなアプローチになり得ることを、今回の研究結果は示唆しています」と述べました。