アイルランドのPRアンドリュー・ポーター(右)につかみかかる南アフリカ、No.8のヤスパー・ビセ【写真:イワモトアキト】

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ラグビーW杯フランス大会 カメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラム

 連日熱戦が繰り広げられているラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会。「THE ANSWER」は開幕戦から決勝戦まで現地取材するカメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラムを随時掲載する。今回は23日(日本時間24日)に行われた世界ランキング1位・アイルランドと同2位・南アフリカの試合から。

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 世界ランキング1位と前回大会王者、まさに「北」と「南」の両横綱ががっぷり四つに組み合うような、そんな重厚な試合だった。23日夜、プールBのアイルランド対南アフリカの一戦が行われたパリのスタッド・ド・フランスは、熱狂と興奮のるつぼと化した。

 シヤ・コリシがパワーで、チェズリン・コルビがスピードで何度も突破を試みた。ファフ・デクラーク、ピータースタフ・デュトイ、クワッガ・スミスなど日本でプレーする選手たちもピッチを駆けた。世界最高峰と言われる選手たちが幾度となくぶつかっては、跳ね返された。アイルランドの緑の壁は分厚く、高く、南アフリカの前に立ちはだかった。

 一人ひとりに派手さはないかもしれない。ただ恐ろしいほどに精度の高い個々のプレーが、一つひとつ積み重なっていくことで、アイルランドはタフネスなチームに変貌する。主将のジョニー・セクストン率いるこの日のアイルランドは、まさに攻守にわたって一枚岩のように堅かった。

 ゴール前まで攻め込むも、あと一歩及ばず。南アフリカ、No.8のヤスパー・ビセが、アイルランドのPRアンドリュー・ポーターにつかみかかる。無駄な時間を費やす暇はないはずだ。焦る南アフリカ、自信みなぎるアイルランド、2人の表情はこの日の試合を象徴するかのように明暗が分かれていた。

 アイルランドファンの大声援が響くスタジアム。勝利の瞬間は、まさに絶叫に近い歓声があがった。13?8、最強対決の第一幕はアイルランドに軍配が上がった。ただこれはW杯の序戦に過ぎない。スタジアムを出ると、両チームのファンがあちこちで決勝トーナメントでの「再戦」を誓いあっていた。

「次は勝つ」「次も勝つ」。両者の次なる戦いはもう始まっている。

■イワモト アキト / Akito Iwamoto

 フォトグラファー、ライター。名古屋市生まれ。明治大を経て2008年に中日新聞入社。記者として街ネタや事件事故、行政など幅広く取材。11年から同社写真部へ異動。18年サッカーW杯ロシア大会、19年ラグビーW杯日本大会を撮影。21年にフリーランスとなり、現在はラグビー日本代表、JAPAN RUGBY LEAGUE ONEオフィシャルフォトグラファーを務める。

(イワモトアキト / Akito Iwamoto)