7月より都心価格の適用店舗再編が話題。マクドナルドの朝マック(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第40回となる今回、訪れたのは「マクドナルド」です。

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飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。朝の数時間だけ提供される限定メニューは、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

そのなかでも抜群の認知度を誇るのが、「マクドナルド」の朝限定メニュー「朝マック」です。ほとんどの方が食べたことがある、もしくは、利用したことがなくても存在は知っているのではないかと思います。

都心型店舗のマクドナルドで「朝マック」

昨年から値上げが続いていたマクドナルドですが、報道によると先月2023年7月19日からは、「都心型価格」を全国約3000店舗の約6%にあたる「184店舗」に適用。それまでの「40店舗」から、適用店舗が大きく増える形となりました。

ハンバーガーチェーンのなかで、ダントツのコスパを誇っていた「マクドナルド」。「朝マックは現在どれぐらいの価格なのかしら?」「バーガーキングやモスバーガーと比べると、どこが一番心ときめくかしら?」と、 都心型店舗を確認してきました。


マクドナルド都心店の朝マックメニュー表(筆者撮影)

マフィンとサンドの朝マックメニュー

朝マックの販売時間は、開店から午前10時30分までです(24時間店舗は5時から販売開始)。都心型店舗のメニューと販売価格は以下になります。

メインとSサイズドリンクを組み合わせた「コンビ」が5種類。

・ソーセージマフィンコンビ 税込270円
・チキンクリスプマフィンコンビ 税込280円
・エッグマックマフィンコンビ 税込340円
・ベーコンエッグマックサンドコンビ 税込350円
・ソーセージエッグマフィンコンビ 税込390円


ソーセージエッグマフィンバリューセット540円(筆者撮影)

メイン、サイドメニュー、Mサイズドリンクを組み合わせた「バリューセット」は13種類。

・ソーセージマフィンセット 税込420円
・チキンクリスプマフィンセット 税込430円
・マックグリドルソーセージセット 税込480円
・エッグマックマフィンセット 税込490円
・ベーコンエッグマックサンドセット 税込500円
・ソーセージエッグマフィンセット 税込540円
・マックグリドルベーコンエッグセット 税込580円
・ホットケーキセット 税込600円
・マックグリドルソーセージエッグセット 税込600円
・フィレオフィッシュセット 税込630円
・ビッグブレックファスト ドリンクセット 税込640円
・メガマフィンセット 税込650円
・ビッグブレックファスト デラックス ドリンクセット 税込860円


利用店舗では、ソフトドリンクには紙ストローが付属(筆者撮影)

通常店舗では「ソーセージマフィンコンビ」が税込240円で、筆者が訪れた店舗(都心店)との差額は30円。最高値の「ビッグブレックファスト デラックス ドリンクセット」が税込780円で、都心店との差額は80円でした。だいたい、1割程度高い値段設定になっていることがわかります。


スマートフォンのアプリの値引きクーポンを利用すれば、さらにお得に購入できます(筆者撮影)

ベーコンエッグマックサンドセット500円


ベーコンエッグマックサンドセット500円。バーガーはピンクの包み紙でした(筆者撮影)

「ベーコンエッグマックサンドセット」は税込500円。

たとえば単品価格が税込170円の「ハッシュポテト」をサイドメニューに選ぶと、「ベーコンエッグマックサンド」は税込280円、ソフトドリンクMサイズ(税込180〜290円)なので、単品で購入した場合との差額は最大240円、約35%の値引きです。


バンズはスチーマーで蒸してあり、しっとりとした食感です(筆者撮影)

度重なる値上げや、通常店舗との価格差を考えると「なんか損してる気がするし、多めに支払わされている気がする」と、ネガティブな思考に陥りそうになりますが、バーガーにサイドメニューとドリンクがついて、ワンコインで収まっているという風に考えると、まだまだお手頃だなと思えてきます。

喫茶店モーニングをそのままハンバーガーにしたベーコンエッグマックサンド

「ベーコンエッグマックサンド」は、5年ほど前に朝のレギュラーメニューに仲間入りした、比較的新しめのメニューです。挟んでいるのは目玉焼きとスモークベーコンとスライスチーズ。これ1つで、喫茶店モーニングとして成り立つようなバーガーです。


ベーコンエッグマックサンドをサイドから撮影。ベーコン、スライスチーズ、目玉焼きをバンズでサンド(筆者撮影)

バンズはフィレオフィッシュと同じものが使用され、しっとりと蒸してあるので、口溶けが良くふわふわ。ただし、食べるまでの時間が長いと、表面がシワシワになってしまうのがたまにキズ。このバンズをおいしく食べるには、店内飲食がおすすめです。


クラウンをめくった状態。グリルしたスモークベーコンはちょうど良い焼き加減です(筆者撮影)

エッグリングで焼いた目玉焼きは肉厚で、家の目玉焼きでは出せないリッチな食感です。白身はプリプリで、黄身はしっかり火が通っているのに芯の部分はしっとり。ベーコンはカリカリすぎず、ベタベタすぎず、ほどよくジューシー。どちらも、絶妙な状態で提供されています。


ベーコンエッグマックサンドの断面。円形の型にはめて焼いたたまごの白身はぷるぷるです(筆者撮影)

チェダーチーズをブレンドしたとろりと濃厚なスライスチーズが、塩気とコクをプラス。ケチャップやドレッシングなどのソースが使用されていないので、素材そのものの味を楽しめます。

セットドリンクは「プレミアムローストコーヒー」を選びました。「マクドナルド」のホットコーヒーは、いつの間にこんなにおいしくなったのか。以前はただただ苦いだけの印象だったのですが、酸味と雑味の少ない、飲みやすいクセのない味に仕上がっていました。


ハッシュポテトも熱々で提供されました(筆者撮影)

外はカリッ、中はホクッ。きつね色に上がった小判型のハッシュポテトは香ばしく、ホットコーヒーとの相性も上々です。

リッチな立地のマクドナルドで贅沢な朝ごはん

今回、筆者が利用したのは、東京都港区の一等地にある、複合施設内の店舗です。高級ブランドが並ぶショッピングモールと、オフィス、住宅が共存する、所得の高そうな人たちが集うスポットになっています。

リッチな立地だけあって、「マクドナルド」もなんだかラグジュアリーです。天井が高く開放感のある店内に、ゆったり間隔を開けて250席以上の客席が配置され、壁は2面がガラス張りになっており、内装はおしゃれなカフェのよう。

平日朝9時の店内は、近所に住んでいるであろう子連れママや、出勤前のビジネスマンなどが朝食を取っていました。窓際のカウンター席に腰掛けて、ノートパソコンを開いて作業をしているノマドワーカーもチラホラ。

とにかく居心地が良く、長居できる雰囲気で、都心店のさらに上の「金持ち向け店」を設定して、通常店の倍ぐらいの価格で販売してもいいんじゃないか……というのは冗談として、都心店舗で提供される「朝マック」は、価格を多少(いや、そこそこ?)引き上げつつも、依然としてコスパは良好で、相対的なお得感は保たれていると感じました。

実際、メニュー表の値段を見ていくと、商品によってばらつきがあるものの、都心店は通常店舗より10%程度価格を高めに設定しているようです。しかし、もともとの価格設定が安いため、まだまだお得な印象を持ちました。

つまりは、今の「マクドナルド」が高くなったというよりは、今までの「マクドナルド」が安すぎた、ということなのかもしれません(なお、あくまで筆者は、です。異論は認めます)。

3000店舗ある巨大チェーン、同一価格もそろそろ難しい?


お得さはまだ残っているものの、日本のビッグマックが安すぎる…と物議を醸したのが懐かしいくらいの価格にはなりつつあるマクドナルドです(筆者撮影)

1985年に「マクドナルド」が開始した、「朝マック」と銘打った朝限定メニューは、日本のモーニング文化に一石を投じました。

日本各地に約3000店舗ある「マクドナルド」、郊外にある店舗でも、同じメニューで同じ味を提供していくために、価格差をつけることが不可欠ならば、それはいたしかたないのかもしれません。ガストやバーミヤン、ジョナサンなどを持つ外食大手・すかいらーくグループも2022年10月から、都心型価格を導入していますよね。

もっとも、それでもお財布と相談することを常に要求されるのが庶民というもの。本連載では「バーガーキング」「モスバーガー」のモーニングを紹介していますが、味の好みを考えなければ、お得さではバーガーキングに軍配が上がる可能性が高いでしょうし、「どうせ500〜600円支払うのなら、マクドナルドではなくモスにしよう」と考える人もいそうです。

マクドナルドの都心型価格は、長い目で見た時に吉と出るのか凶と出るのか。外食チェーンをこよなく愛する者として、行方を見守っていきたいですね。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)