by Anthony Quintano

バーチャルレストラン「MrBeast Burgers」を展開しているアメリカのYouTuberのMrBeastが、客にあまりにも品質が低い食事を提供しブランドを傷つけたとして、展開に際して提携したVirtual Dining Conceptsを訴えました。

MrBeast is suing his ghost kitchen partner over ‘inedible’ MrBeast Burgers - The Verge

https://www.theverge.com/2023/7/31/23814558/mrbeast-sues-ghost-kitchen-partner-burger-virtual-dining-concepts

MrBeast Sues His Food Delivery Partner Over ‘Inedible’ Burgers - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-07-31/mrbeast-sues-his-food-delivery-partner-over-inedible-burgers

MrBeast Burgersは、MrBeastとして活動するYouTuberで慈善家でもあるジェームス・ドナルドソン氏が、デリバリー専門レストランの設立支援事業を手がけるVirtual Dining Conceptsと提携して開始したバーチャルレストランです。メニューにはさまざまなハンバーガーやフライドポテト、デザート、缶飲料がラインナップされていますが、MrBeast Burgersは実店舗を持たないため、料理は既存の契約店舗で作られてからフードデリバリーサービスで客に届けられます。

2020年に唯一の実店舗である1号店がニュージャージー州でグランドオープンした際は1万人以上が詰めかけ、サービス開始から3カ月で100万個のハンバーガーを販売し、2022年までに1700のレストランと契約を結ぶなど、MrBeast Burgersは順調に数字を伸ばしてきました。また、サービス提供エリアもアメリカを越えてオーストラリア・カナダ・アイルランド・メキシコ・フィリピン・スウェーデン・アラブ首長国連邦・イギリスに広がっています。



ところが、サービスが始まってからしばらくすると、利用者から料理が「気持ち悪い」「不快な味」「とても食べられない」という否定的な苦情が相次ぐようになりました。例えば、ある人は「MrBeast Burgersのハンバーガーに生肉が入っているのは日常茶飯事で、とても大きな問題です。この写真は1時間前に食べようとしていたハンバーガーです。お金が無駄になったし、とても残念です」とSNSに投稿しています。



この問題からドナルドソン氏は、品質管理よりサービス拡大を重視しブランドの評判を落とすほどまずい料理を出したとして、Virtual Dining Conceptsに対して取引関係の終了を求める裁判を起こしました。

訴状の中でドナルドソン氏は、「MrBeast BurgerはMrBeastブランドを誤解させるような低品質の製品を提供しており、その商品は配達が遅れたり、ブランド名が記載されていない包装で配達されたり、注文した商品が入っていなかったりしたほか、場合によっては食べられないことすらあった」と述べました。ドナルドソン氏と同氏のチームは食事の質に関してたびたび懸念を伝えていましたが、Virtual Dining Conceptsは耳を貸さなかったとのこと。

また、ドナルドソン氏はVirtual Dining Conceptsが許可なく自分の画像をソーシャルメディアに投稿し、勝手に商標登録した上に、自分の会社はVirtual Dining Conceptsから金銭を一切受け取れなかったとも述べています。



by Fidias

一方Virtual Dining Conceptsは、「ドナルドソン氏の訴えは虚偽の記述と不正確な情報に満ちています」とした上で、ドナルドソン氏が金銭的利益のために新たな取引を交渉しようとしました」と反論。広報担当エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントであるエイミー・サドウスキー氏は「当社が、多くの譲歩を迫るドナルドソン氏の弱い者いじめ戦略を拒否した時、彼はMrBeast Burgerブランドをおとしめて、理由もなく契約上の義務を終了させようと、今回の不利で実りのない訴訟を起こしました」と、IT系ニュースサイトのThe Vergeに送ったプレスリリースの中で主張しました。

MrBeast Burgerのようなゴーストキッチンは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに見舞われた外食産業が店舗や厨房(ちゅうぼう)を活用する方法として爆発的に広まりましたが、その後さまざまな問題が表面化するようになりました。例えば、Uber Eatsは2023年に入り多数のゴーストキッチンをサービス上から削除しており、実態のない店舗の登録を削減するためのルール厳格化に踏み切っています。

Uber Eatsが同じ商品を複数ブランドで売りまくるゴーストレストランの規制を強化 - GIGAZINE