幼い頃からおもちゃの銃で遊んで射撃の腕を磨いてきた少年。おもちゃのパチンコで犯人の頭や胸に2発命中し、結果的に妹を救うことになった(画像は『CNN 2023年5月19日付「Michigan teen who used slingshot to protect his sister says he ‘grabbed anything’ to fend off kidnapper」(WPBN)』のスクリーンショット)

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米ミシガン州で今月10日、8歳女児の誘拐未遂事件が発生した。家の外でキノコ狩りをしていた女児は、突然現れた17歳の男にさらわれそうになった。当時、家の中でゲームをしていた13歳兄は叫び声を聞き、近くにあったおもちゃのパチンコ(スリングショット)で男を狙って撃つと2発命中し、男は逃げ出したという。妹を救った兄は、米ニュースメディア『CNN』などのインタビューに応じて「怖かったけど、何かしなければと思った」と振り返っている。

事件は米ミシガン州アルピーナ・タウンシップにある民家で発生した。当時、部屋でテレビゲームをしていたオーウェン・バーンズ君(Owen Burns、13)は、外でキノコ狩りをしていた8歳の妹の叫び声を耳にした。最初は妹がふざけているだけだと思ってゲームを続けていたが、再び妹の叫ぶ声が聞こえ、心配になったオーウェン君が窓から外を確認すると、衝撃の光景が目に飛び込んできた。

オーウェン君は「妹が誰かに誘拐されそうになっていたんです。パニックになりました。怖かったけれど、何かしなければこのまま妹は連れ去られてしまう、もっと悪いことになってしまうと思ったんだ」と当時を振り返る。そこで彼が思いついたのは、おもちゃのパチンコ(スリングショット)を使って犯人を追い払うというアイディアだった。

近くにあったパチンコを手にしたオーウェン君は、犯人に向かってビー玉や石を撃ち始めた。オーウェン君の攻撃は犯人の頭や胸に2発命中し、犯人がひるんだ隙に妹は犯人の腕からすり抜けて、家の中に逃げることができた。当時、仕事で外出していた母親のマーガレット・バーンズさん(Margaret Burns)は、仕事終わりに電話を受けて事件のことを知ったそうで、「息子はとても勇敢だったと思います」とオーウェン君の咄嗟の行動を褒めた。

その後、犯人は森の中へ逃げていったが、近くのガソリンスタンドに逃げ込もうとしたところを警察官が見つけ、頭や胸にあった傷がオーウェン君のパチンコから放たれたビー玉や石と一致したため、誘拐未遂の疑いで逮捕された。犯人は17歳の男で、取り調べ中に「女の子に暴行するつもりだった」と供述したという。

ミシガン州警察のジョン・グリムショーさん(John Grimshaw)は「オーウェン君の機転と並外れたショットの正確さは素晴らしく、彼は妹が深刻な事件に巻き込まれてしまうのを防いだのです」とオーウェン君の行動を称賛した。

またオーウェン君の父親であるアンドリュー・バーンズさん(Andrew Burns)は「息子はスポンジ状の弾やBB弾を発射する銃を用いて、射撃の腕を磨いて育ってきました。いつも上手に狙っていましたね」と明かしている。オーウェン君は5、6年前からパチンコに興味を持ち始めたそうで、マーガレットさんによると、オーウェン君が妹を救うために使用したパチンコは、クリアランスセールで3ドル(約414円)ほどで購入したものだったという。

オーウェン君は「今回はラッキーだっただけですよ。ペプシ缶のような小さな的ではなく、大きな的だったからね」と謙虚にコメントしつつ、「もし僕があの場にいなくて妹の叫び声を聞いていなかったら、妹はいなくなってしまった可能性もあるかもしれない」と事件の恐ろしさを語った。

ちなみに2020年には、6歳少年が90針を縫う大怪我を追いながらも、襲いかかる犬から妹を守り抜いたというケースが話題を呼んでいた。

画像は『CNN 2023年5月19日付「Michigan teen who used slingshot to protect his sister says he ‘grabbed anything’ to fend off kidnapper」(WPBN)』『The Guardian 2023年5月20日付「Boy who saved sister by hitting would-be kidnapper with slingshot speaks: ‘I had to’」(Photograph: Steve Schulwitz/The Alpena News, via AP)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)