『風間公親―教場0―』(フジテレビ)公式サイトより

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木村拓哉主演のフジテレビ『風間公親 教場0』、福山雅治主演のTBS『ラストマンー全盲の捜査官ー』など話題作が多い4月クールのテレビドラマ。既に5月に突入したが、まだまだ追いつけるタイミングなので、連休の間にイッキ見したという人も多いことだろう。

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出演している俳優が好きだから観る、脚本家が好きだから観る、原作が好きだから観る…など、ドラマを観るきっかけは様々だと思うが、今回は「主題歌」に注目したい。というのも、今クールはここ最近の中でも、特に豪華アーティストが集結しており、しかも、作品のために書き下ろされた楽曲だったりするケースも多い。ドラマの視聴率も気になるが、主題歌の再生回数やチャートでの順位争いも気になるところだ。

例えば、今期は、あいみょん、GReeeeN、RADWIMPS、SEKAI NO OWARI、Official髭男dismといったヒット曲連発の国民的アーティスト達が、同タイミングでドラマ主題歌を手掛けている。このアーティストのラインナップを見ると、今期のドラマ主題歌の中から、2023年を代表するヒット曲が生まれそうな予感さえするのだが、まずは、ヒゲダンとラッドの楽曲を紹介しよう。

これまでにも、ドラマや映画主題歌で大ヒットを連発してきたOfficial髭男dismだが、今クールでは、TBSドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』の主題歌『TATOO』を担当。今回も書き下ろし曲である。同じ電車に乗り合わせた乗客が突然、未来の荒廃した世界へワープする…という金子ありさのオリジナル脚本。その設定と山田裕貴をはじめとした個性派俳優達の演技が話題となる中、もはや反則な気もするが、ヒゲダンの主題歌が彩りを添えている。

過去には『コンフィデンスマンJP』シリーズや『恋はつづくよどこまでも』、記憶に新しいところでは『silent』の主題歌を担当してきたヒゲダン。ここ数年は、どんなジャンルの作品であれ、ヒゲダンに主題歌を任せておけば間違いない…といった感じの無双状態なのだが、今回もイントロはもちろんのこと、歌い出しのフレーズからドラマファンの心をグッと掴んでいる。

一方、RADWIMPSは盟友・新海誠監督のアニメ作品では大ヒットを連発してきたが、テレビドラマ主題歌として印象に残っているのは、昨年7月クールのドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』の主題歌『人間ごっこ』くらいではないだろうか。やはり、映画『君の名は。』での『前前前世』のインパクトには到底及ばないわけなのだが…果たして、今回はどうだろうか。高畑充希と田中圭がダブル主演を務めるテレビ朝日ドラマ『unknown』に『KANASHIBARI feat.ao』という主題歌を書き下ろした。

秘密を抱えた夫婦の究極の愛を描く本格ラブ・サスペンス。ドラマ制作チームから「絶望的なラブソングを作って欲しい」とのオファーを受け、ボーカル野田洋次郎が作詞作曲を手掛け、16歳のシンガーソングライターaoがフィーチャリングされている。ドラマ主題歌においても新たなチャレンジをするあたりが何ともラッドらしい。しかも、1コーラス目を野田が歌い、2コーラス目をaoが歌い、さらに、後半で大きく曲が展開していく約5分の壮大な楽曲だ。今後ストーリーが進むにつれて、確実にドラマを盛り上がる重要なピースとなっていくことだろう。曲のどの部分が、どのように劇中で使われるのかも気になるところだ。

続いては、前述したアーティスト達に続いて、これから国民的アーティストになっていくと思われるグループにも注目したい。もちろん、それはエンタメ界での当然の流れではあるのだが、今期は、ポストヒゲダンになり得るような次世代グループが何組も主題歌に起用されている。例えば、マカロニえんぴつやMrs.GREEN APPLE、Da-iCEといったグループだ。そんな中から、ここではマカロニえんぴつに注目したい。

マカえんは、今年1月クールで、佐藤健と井上真央主演のTBSドラマ『100万回言えばよかった』の主題歌『リンジュー・ラヴ』を担当。今期は、小芝風花主演のテレビ朝日ドラマ『波よ聞いてくれ』の主題歌『愛の波』を担当している。

どちらもタイトル含め、ドラマに寄せて書き下ろされた主題歌となっている。2期連続で主題歌を担当、しかも書き下ろし。まさに、ヒゲダンが歩んできたような国民的バンドへの道を進んでいる最中だと言ってもいいのかもしれない。2021年にはレコード大賞の最優秀新人賞も獲得しているだけに、今年のドラマ主題歌のヒット次第では、大晦日の紅白歌合戦初出場もグッと近付くのではないだろうか。

最後に、深夜ドラマに起用されている新人クラスにも注目したい。今クールでは、TOMOO、ヤングスキニー、上野大樹、Ayumu Imazuといった次世代を担う若手アーティスト達がドラマの主題歌やテーマ曲に起用されている。

彼らの名前はすべて覚えておいて欲しいくらいなのだが、特にTOMOOに注目したい。女性シンガーソングライターのTOMOOは、今期、江口のりこ主演のテレビ東京ドラマ『ソロ活女子のススメ 3』のオープニングテーマ『夢はさめても』を担当している。

さらに、『夜明けの君へ』という楽曲が、6月に公開となる森七菜と奥平大兼ダブル主演の映画『君は放課後インソムニア』の主題歌に決定。こちらは、書き下ろし曲だ。今回のテレ東の人気ドラマシリーズへの起用が、今年のブレイクへと向けた第一歩となるのか、是非注目しておいて欲しい。

ちなみに、冒頭で触れた『風間公親 教場0』の主題歌『心得』を歌うのはUru。ヒット作『テセウスの船』や『マイファミリー』などの主題歌を経て、得意のバラードで、今回『教場』シリーズ初の主題歌に起用された。彼女もまた着実にステップアップを遂げている。果たして、このドラマと共に大ブレイクとなるか。

そして、一方の『ラストマンー全盲の捜査官ー』には主題歌はなく、ロックバンド・神はサイコロを振らないの『修羅の巷』が挿入歌として、ドラマの重要なポイントで流れている。有名アーティストに頼ることなく、作品の世界観を重要視しての起用なのだろう。この今期注目の両ドラマについても、今後の展開と共に、主題歌・挿入歌の盛り上がりに注目していきたい。

今回はごく一部しか深掘りできなかったのだが、是非改めて、今期は主題歌にも注目して作品を楽しんでもらいたい。

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