AIによって1枚のイラストを色や明るさに応じて自動でレイヤーにわけてくれるツール「layerdivider」を、抹茶もなかさんが無償で公開しています。ブラウザのUIにイラストを読み込ませてボタンをクリックするだけでレイヤー分けしてくれるだけでなく、Adobe PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTで読み込めるPSD形式のデータにも出力してくれるとのことで、実際にローカルPCにインストールして使う方法をまとめてみました。

GitHub - mattyamonaca/layerdivider: A tool to divide a single illustration into a layered structure.

https://github.com/mattyamonaca/layerdivider

・目次

◆1:Pythonのインストール

◆2:Gitのインストール

◆3:Microsoft C++ Build Toolsの導入

◆4:Gradioのインストール

◆5:PowerShellの実行ポリシーの切り替え

◆6:layerdividerのインストール

◆7:layerdividerを起動して使ってみる

◆1:Pythonのインストール

layerdividerは、Python 3.10.8以降が推奨されています。Python 3.10の記事作成時点で最新版であるPython 3.10.11のインストーラーは以下からダウンロード可能です。

Python Release Python 3.10.11 | Python.org

https://www.python.org/downloads/release/python-31011/

上記ページの「Files」にインストーラーのダウンロードリンクがまとめられています。今回はWindowsにインストールするため、「Windows installer (64-bit)」をクリック。インストーラーはEXE形式で、ファイルサイズは27.6MBです。



ダウンロードしたインストーラーを起動するとこんな感じ。「Add python.exe to PATH」にチェックを入れてから、「Install Now」をクリックすると、インストールが始まります。



インストールが終わったら「Close」を押してインストーラーを閉じます。



◆2:Gitのインストール

次にGitをインストールします。Windows版のインストーラーは以下のページで入手可能。

Git - Downloading Package

https://git-scm.com/download/win

「Click here to download」をクリックし、EXE形式のインストーラーをダウンロードします。ファイルサイズは51.4MB。



インストーラーを起動したら、「Install」をクリック。



インストールが終了したら「Finish」をクリックします。



◆3:Microsoft C++ Build Toolsの導入

次に、Microsoft C++ Build Toolsを導入します。Microsoft C++ Build Toolsは以下のページでダウンロードできます。

Microsoft C++ Build Tools - Visual Studio

https://visualstudio.microsoft.com/ja/visual-cpp-build-tools/

「Build Toolsのダウンロード」をクリックすると、EXE形式インストーラーがダウンロードできます。ファイルサイズは3.53MB。



ダウンロードしたインストーラーを起動します。「続行」をクリック。



インストーラーの準備が進みます。



インストーラーの準備が終了するとこんな感じ。左上にある「C++によるデスクトップ開発」にチェックを入れ、右下にある「インストール」をクリックします。これでMicrosoft C++ Build Toolsの導入はOK。



◆4:Gradioのインストール

Gradioは機械学習モデルのウェブアプリを構築するためのPythonライブラリです。コマンドプロンプトから「pip install gradio」と入力すればOK。



◆5:PowerShellの実行ポリシーの切り替え

Windowsクライアントの場合、PowerShellの実行ポリシーがデフォルトで「Restricted」になっているため、layerdividerを実行するためにはPowerShellの実行ポリシーを切り替える必要があります。スタートキーを押して「PowerShell」と入力し、Windows Powershellの「管理者として実行する」をクリックします。



「set-executionpolicy remotesigned」と入力して実行し、実行ポリシーを「RemoteSigned」に切り替えておきます。



◆6:layerdividerのインストール

PowerShellで「git clone https://github.com/mattyamonaca/layerdivider」と入力して実行すると、リポジトリをローカルにクローンできます。



次に、PowerShellでlayerdividerのディレクトリに移動して、「./install.ps1」を実行すると、インストールが始まります。



インストールが終わるとこんな感じ。



◆7:layerdividerを起動して使ってみる

Powershellで、layerdividerのディレクトリで「./run_gui.ps1」を実行すると、少し時間を置いてURLが表示されます。



このURLをウェブブラウザで開くと、layerdividerにアクセスできます。



左上に、レイヤー分割したいイラストをドラッグ&ドロップで読み込ませます。今回は「姫とゲーマー」のイラストを読み込ませてみました。下にある設定を調整し、「送信」をクリックすればOK。



設定の各項目についてはGitHubにまとめられており、以下の通り。



Powershell上で処理が進んでいることが確認できます。



レイヤー分割が終わると、右側にイラストが表示されます。



レイヤーは「base」「bright」「shadow」の3種類にグループ分けされており、表示部分の上にあるタブで切り替えることができます。以下は「base」を表示させたところ。baseのレイヤーもさらに細かく色ごとに分割されており、スクロールで確認できます。



「bright」



「shadow」はこんな感じ。さらに、イラストの表示部分の下にはAdobe PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTで読み込めるPSD形式でレイヤーデータのダウンロードリンクが表示されています。「Download」をクリックして保存可能。



実際に生成したレイヤーデータをAdobe Photoshopで開いて確認したところを以下のムービーで見ることができます。layerdividerはローカルで簡単にイラストをレイヤー分けできるので、レイヤーデータがないイラストから簡単に線画や色を抽出できるので、さまざまな創作活動に応用できそうです。

【レビュー】「layerdivider」で色別レイヤーに分割したイラストをPhotoshopに読み込ませてレイヤー表示を切り替えてみた - YouTube

なお、AUTOMATIC1111版Stable Diffusion web UIの拡張機能としてもリリースされているので、AUTOMATIC1111版Stable Diffusion web UIを導入済みの場合はもっと簡単にインストールできます。



また、layerdividerはGoogle Colaboratoryのノートも公開されており、スペックの低いPCでも動作させることが可能です。

layerdivider_launch.ipynb - Colaboratory

https://colab.research.google.com/github/mattyamonaca/layerdivider/blob/main/layerdivider_launch.ipynb