TikTokの米国での運命はまだ不透明なままだが、そのあいだに同社はより多くのパフォーマンスマーケティング広告費を広告主たちから獲得しようと競っている。

マーケターや広告代理店の幹部によると、TikTokはパフォーマンス志向の広告提供を増やし、とくにスマートパフォーマンスキャンペーンに力を入れる取り組みを始めたという。

TikTokへの広告予算増加が見込まれる



TikTokが米国で存続できるか不確実な状況にあるなか(先週、モンタナ州の議員たちは州内での同アプリの使用を禁止することを投票した)、TikTokは「パフォーマンスマーケティングを優先する方向に大きく進化している」と、メカニズム(Mekanism)の最高ソーシャル責任者兼パートナーのブレンダン・ガハン氏が述べた。

同氏によると、TikTokはショッピング機能、セルフサービスダッシュボード、検索広告を立ち上げるだけでなく、AIによるスマートパフォーマンスキャンペーンも開始したという。

TikTokについて「傾向としてパフォーマンスキャンペーンを増やしているものの、まだテストと学習の段階だ。プラットフォーム内で基準を確立し、ほかのチャンネルやパートナーとのパフォーマンスを比較する方法を見つける必要がある」と、メディアハブ(Mediahub)のシニア・バイスプレジデント兼有料ソーシャル広告ディレクターのエリカ・パトリック氏は説明した。

実際にTikTokでのパフォーマンスマーケティング支出をマーケターたちがどれだけ増やしているかはまだ不明である。ただし、マーケターや広告代理店の幹部は、ソーシャル支出においてTikTokが占めるシェアが、昨年のソーシャル広告予算の約15%から、今年は25%ほどに増加したと述べている。スマートパフォーマンスキャンペーンについては、その影響がどの程度あるのか、まだ支出やパフォーマンスに関する数字を共有できる段階ではないという。

AI駆動のマーケティングツールこそ未来か



「スマートパフォーマンスキャンペーンは通常のキャンペーンと同様に機能するが、ユーザーの行動に基づいて最適化を行うAIが活用される」とノー・フィックスド・アドレス(No Fixed Address)のメディア投資・プラットフォーム担当ディレクターであるダン・イップ氏は言う。そして同広告プロダクトは現在、プラットフォームたちがメディアバイイング自動化オプションを推進する大きなトレンドの一環であると付け加えた。

「バイヤーから手動での購入を取り除き、自動化を推進することで、メディアバイイングはよりよくなる」と同氏は説明する。「そして、バイヤーはデータが示す内容に注力し、どのように体験を最適化できるかを考えることができる」。

パフォーマンスマーケティングを担当する代理店デジショップガール(DigiShopGirl)のCEOであるカティア・コンスタンティン氏は、TikTokがスマートパフォーマンス キャンペーンを推進している点を、GoogleのAIベースのソリューション「パフォーマンス・マックス(Performance Max)」と類似していると指摘した。

メタ(Meta)も2月に発表した独自のAIメディアバイイングオプションであるアドバンテージ+(Advantage+)を押している。「この次世代のブラックボックス型、AI駆動のマーケティングツールこそが未来だ」と同氏は指摘した。

広告のコントロールが不確かに



広告主やメディアバイヤーにとって自動化が増えるにつれて、広告展開におけるコントロールに関する疑問や将来の不確実性が浮上している。それらの疑問に対する答えはまだ見えていない。

「スマートパフォーマンスのような自動化へのシフトが全体的に見られる」とパトリック氏は言い、「これによってセットアップが簡素化される一方で、広告主にとってはコントロールしにくくなる可能性があるため、一概にすべてに対応するソリューションではない」と続ける。「それでも、業界全体を横断して購入する方法としてはこれが唯一の手段になると予想している」。

[原文:Marketing Briefing: TikTok’s Smart Performance Campaigns show platform’s automation push]

Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)