「有料で売ってるパブリックドメインの画像」をウィキメディア・コモンズに登録する遊び
アメリカのワシントン州シアトルに本社を構える写真画像代理店・Getty Imagesは、宣伝や広告、報道に使える画像や映像などの素材を3億点提供している大手デジタルコンテンツカンパニーです。そんなGetty Imagesが500ドル(約6万6000円)で売っている画像の中には、無料でダウンロードしたり使用したりできるパブリックドメインの画像もあると、作家でジャーナリストのコーリー・ドクトロー氏が明かしました。
My new hobby: finding public domain images that Getty sells for $500, locating hi-rez scans of their original publications, cropping and cleaning them up, adding metadata, and uploading them to Wikimedia Commons.
First one: https://t.co/GUpgJs6ea0 pic.twitter.com/rIS1B1PH53— Cory Doctorow (@pluralistic@mamot.fr) (@doctorow) March 19, 2023
ドクトロー氏がツイートに添付した糸電話の絵は、Getty Imagesで販売されている「String Telephone.」という作品です。販売ページのキャプションによると、描いたのは19世紀のフランスの物理学者でアーティストでもあったThéodose du Moncelとのこと。画像は有料で、小さいものは1万円、中サイズのものは1万8000円、大きいものは3万5000円しますが、ドクトロー氏はこれをパブリックドメインの作品としてウィキメディア・コモンズに登録しています。
A string telephone. Engraving from ''Le Telephone'' by T. De Moncel,... Photo d'actualité - Getty Images
https://www.gettyimages.ca/detail/news-photo/string-telephone-engraving-from-le-telephone-by-t-de-moncel-news-photo/506027675
ドクトロー氏は、どうやって元の絵を見つけたのかという質問に対し、「載っている本が分かればあとは簡単です。Getty ImagesやAlamyは、画像の販売ページで大本のソースを教えてくれることがよくあります。掲載されている本が分かったら、Google Books、Internet Archive library scans、Hathi Trust、NYPLなどでその本のタイトルを検索し、高解像度のPDFスキャンを見つけてダウンロードして、画像編集ソフトのGimpでそれを開いてホワイトバランスをいじったり向きを調整したりして完成です」と答えました。
ドクトロー氏はもともと、有料で販売されているパブリックドメインの画像を自分で探して使用し、使ったら削除していたとのこと。例えば、前述の糸電話の画像は、ドクトロー氏が3月20日に公開したコラムで使用されています。
Culture War Bullshit Stole Your Broadband | by Cory Doctorow | Mar, 2023 | Medium
https://doctorow.medium.com/culture-war-bullshit-stole-your-broadband-4ce1ffb16dc5
こうしたことを繰り返していたドクトロー氏は、せっかく見つけてきれいに加工した画像を他の人も使えるように、ウィキメディア・コモンズに登録することにしたとのことです。
ドクトロー氏のツイートを話題にしたソーシャルニュースサイト・Hacker Newsのスレッドには、「趣味で撮った自分の写真を使ってもいいか生物学者に尋ねられたので、快諾して高解像度のものを提供したら、その写真がパブリックドメインで配布されてしまった」と嘆く体験談や、「Getty Imagesの商売を擁護するわけではありませんが、Getty Imagesは利便性と法的保護のセットを売りにしているので、契約条件に従う限り、その画像の使用が法的に許可されていることを書面で保証してくれます」といった意見が寄せられていました。