ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“クラゲ銀河”のひとつ「JO201」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河「JO201」(Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Gullieuszik)】
こちらは「くじら座」の方向約7億8000万光年先にある銀河「JO201」の姿。JO201は銀河団「A85」を構成する銀河のひとつです。
明るい中心部分を取り囲む青い渦巻腕(渦状腕)や渦巻腕を彩るように分布する星形成領域の斑点がみられるJO201は、一見すると普通の渦巻銀河のように思えますが、よく見れば画像の下方向へと流れていくような筋状の構造も幾つか写っていることがわかります。触手を伸ばしたクラゲの姿にも見えることから、このような銀河は「Jellyfish Galaxy(クラゲ銀河)」と呼ばれています。
欧州宇宙機関(ESA)によると、この“触手”は移動するJO201からガスがゆっくりと剥ぎ取られたことで形成されたようです。銀河の集合体である銀河団では、銀河団ガスと呼ばれるガスが銀河と銀河の間を満たしています。銀河団の中を移動する銀河は、銀河団ガスから動圧(ラム圧)を受けることでガスが少しずつ剥ぎ取られていくと考えられています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(近紫外線・可視光線・近赤外線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されました。ESAによれば、ハッブル宇宙望遠鏡によるJO201の観測はクラゲ銀河の“触手”にみられる星形成領域の大きさ・質量・年齢に関する研究の一環として行われており、“触手”を形成するガスの剥ぎ取りと星形成の関係性を理解する上での突破口を開くことが期待されています。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年2月27日付で公開されています。
Source
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, M. GullieuszikESA/Hubble - Galactic Seascape
文/sorae編集部