近年、高速道路への歩行者や自転車、原付バイクの誤進入が目立っているようです。

以前から”排気量125cc以下”のバイクが誤って高速道路に進入しているのが問題視されていますが、なぜこうしたトラブルが相次いでいるのでしょうか。

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首都高では年間400件程度の歩行者・自転車・原付による“立ち入り”が発生

首都高速道路株式会社(以下:首都高)によれば、首都高速では、年間で400件程度の自動車以外の立ち入りが発生しています。2021年は、年間件数の4分の1にあたる100件程度が「歩行者による高速道路への立ち入り」でした。

出典:首都高速道路株式会社

歩行者によって引き起こされた道路への誤進入例としては、次のようなものが挙げられています。

一般道と勘違いし、出入口直近の歩道などから侵入してしまう 認知症・酒酔いなどが原因で正常な判断ができず高速道路へ進入してしまう 外国人など、交通ルールを理解できていない人が誤って進入してしまう 道を尋ねるため料金所へ向かってしまう 未払いとなっていた通行料を支払うため、料金所へ進入

誤進入のニュースが流れると、高齢ドライバーによる判断ミスを連想する人も多いかもしれません。たしかにそれも事例のひとつに挙げられます。

しかし他にも、飲酒で周辺の状況判断ができなくなったり、道を尋ねるあるいは通行料の未払い分を支払うために料金所へ向かうなど、困った事例がピックアップされています。

さらには、「自転車や原付バイクによる高速道路への誤進入」も相次いでいます。

出典:首都高速道路株式会社
出典:首都高速道路株式会社

首都高が確認している首都高速の立ち入り件数の詳細を見てみると、年間400件程度のうち300件程度と、半数近くが自転車・原付バイクを使った誤進入によるものだそうです。

フードデリバリー自転車や原付バイクの”誤進入”も多い

近年はCOVID-19(新型コロナウイルス)が流行している影響で、自宅で食事を楽しむ”中食”がブームです。中食ブームと同時に、「Uber Eats」や「出前館」をはじめとした個人での「フードデリバリー」(食事配達)をする人が急増しています。

フードデリバリーで使われる車両で見かける機会が多いのが、50ccのエンジンを搭載した2輪や3輪の原付バイク、ロードバイクタイプの自転車です。

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配達スタッフは、スマートフォンでダウンロードしたマップアプリを使っていることも多いようですが、こうしたアプリを使用していると、車両の種類を問わずに高速道路への進入を促すケースがあるとのこと。

「地図アプリの指示通りに自転車や原付バイクを走らせて、気が付いたら高速道路に進入にしていた」ということも珍しくないようです。

また、首都高が公表しているデータを見てみると、原付バイクに関してはCOVID-19の流行以前から誤進入は存在していました。

フードデリバリーを行う人々の増加だけが原因ではなく、アプリの案内に従ったまま運転していた、あるいはドライバーが「125cc以下のバイク、軽車両(自転車)は高速道路を利用できない」の交通ルールを認識していないことも要因と考えられるでしょう。

首都高では、「自動車専用道路」「車両進入禁止」をはじめとした通常の交通標識に加えて、独自の看板を設置したり、路面を色で区別して進行方向をわかりやすくしたりする対策を行っています。

出典:首都高速道路株式会社

加えて近年では、自動車や原付バイクのドライバー向けに誤進入の注意喚起を行うため、チラシやポスター、動画を作成し、配布や配信をおこなっているそうです。

歩行者ならお酒を飲みすぎない、自転車や原付バイクならマップアプリを使う際でも”高速道路・有料道路を利用しない”などの設定にするなど、高速道路へうっかり入ってしまわないように対策を行いましょう。