柏で活躍するMFマテウス・サヴィオ【写真:小林 靖】

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【独占インタビュー】5月度「J1月間ベストゴール」受賞、マテウス・サヴィオのスーパーゴール

 Jリーグでは各月のリーグ戦において最も優れたゴールを選定するなか、5月のJ1月間ベストゴールには柏レイソルMFマテウス・サヴィオが受賞した。

 5月29日の第16節、清水戦(3-1)の前半13分、MF戸嶋祥郎の横パスを受けたマテウス・サヴィオは、足の裏でボールをコントロールして、右足でシュートフェイントを入れてDFをかわすと、そのまま切り返して左足を振り抜く。鋭いシュートが日本代表GK権田修一の守るゴールに決まった。今季から柏の10番を背負うアタッカーに、スーパーゴールを解説してもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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――マテウス・サヴィオ選手が挙げたゴールが、5月の月間ベストゴールを受賞しました。まずは心境を聞かせてください。

「非常に嬉しく思いますし、こうした活躍を継続できるように、これからも頑張っていきたいと思います。ただ、個人賞の受賞は、とても嬉しいのですが、チームワークのおかげで個人賞が生まれています。チームメイトがパスを出してくれたり、スペースを空けるための動きをしてくれたりした結果、最終的に私がゴールを挙げることができたことは、忘れてはいけません」

――ゴール後のパフォーマンスでは、みんなと喜びを分かち合っていましたが、そういう気持ちからだったのですか?

「この試合の前日が、息子の誕生日だったのです。それで、ハッピーバースデーの拍手をしてから、先発の選手たちだけではなく、ベンチの選手たちも含めて、みんなにゴールを祝ってもらえて、本当に良かったです」

――素晴らしいゴールでしたが、決まった時は、どんな感情でしたか?

「点を取った時の感情は、言葉で上手く表現できないくらい、いろいろなものがこみ上げてきます。特にあの試合は、得点になるまで、結構、拮抗したゲームでした。幸いにも私が点を取ることができましたし、ちょっと難しいように見えたプレーだったかもしれませんが、点を取れたことで、気持ちを爆発させることができました」

――今シーズンは、ドリブル、フリーキック、パス、すべてのパフォーマンスが高いですが、マテウス・サヴィオ選手の一番の武器は何ですか?

「ゲームのなかで、スペースは限られています。もし、自分より良い状況でシュートを打てる味方がいれば、そこにパスを選択します。私がゴールだけに執着してプレーしていたら、おそらく良いことはないでしょう。自分が本当に確信をもって、『打てる』『蹴れる』と思った時はシュートを打ちますが、確率的に低いと思った時は、チームメイトへのパスを選択します。個人のパフォーマンスも大事ですが、チーム全員の力を集結して、総合力で戦わないといけないと思っています」

ボールを受けた場所は「理想どおり」 相手のスライティングに合わせて瞬時に判断

――ゴールシーンを解説してもらいたいと思います。まずボールを受ける前、本当はもう少し前でもらいたかったのでしょうか?

「いいえ、受けた場所は、理想どおりでした。ボールを受ける前に、私が少し前に出ているように見えますが、マークしていた選手を見ると、私との距離が近かったのです。そこで、前に行くモーションをかけて、動きで相手を釣っておいて、逆を取ることを考えました」

――パスを受けてからは、どのような判断があったのでしょうか。

「ファーストタッチの時に相手のポジショニングを見て、ヒールで相手が届かないところにボールを動かせば、マークが間に合わないと判断して、右足でシュートを打とうと考えました。そのとおりにヒールでターンしてシュートをしようとしたのですが、相手が素早くスライディングをしてきたので、『このまま打てば彼に当たって、ゴールを阻止される』と思い、瞬時の判断で左足に切り返しました。次に、左足でボールを持ち直した時、別のDFの選手が対応してきて、強く寄せられてスペースがなくなりました。そこで、もうワンタッチして、スペースを確保しながら、シュートを打てる角度を探してシュートを打ちました。ベストな選択ができたと思います」

――リプレーを見ると、左足に切り替えた時は、パスコースがなかったと思います。この時は周囲の状況が見えていてパスを選択しなかったのか、初めからシュート以外は考えていなかったのか、どちらでしょうか。

「パスの選択肢は、考えられませんでした。左に切り替えた時、違うDFが寄せて来ていてスペースがあまりありませんでした。そこでもうワンタッチすることで、スペースを作ろうとしました」

――このワンタッチが、ゴールとDFから離れていく絶妙なものでしたね。このタッチで意識したことはありますか?

「切り返した直後に、相手選手とゴールマウスを見て、どういう状況になっているかを確実に把握できました。次の瞬間にもう一歩寄せてくるのが見えたので、ワンタッチすることでかわすことができる、違う局面を作れると思い、そこに賭けて、あのタッチをしました」

――攻撃的なブラジル人選手の多くは、狭いスペースや細かいところでのボールタッチがすごく上手いですが、なぜ、こうしたプレーが得意なのでしょうか?

「子供の頃から、サンダルをゴールにして、ストリートサッカーをやっていました。限られた狭いスペースでプレーしなければいけなかったため、ボールタッチが細かくなりました。また、ブラジル人ビッグネームのロナウジーニョ選手、ロビーニョ選手、ネイマール選手のプレー映像を見て、イメージをストリートサッカーで駆使していたので、小さい頃から特に何かを意識して取り組んでいたわけではありません」

――左足も右足と遜色なく使えますが、それも自然と身に付いたものでしょうか?

「右足が利き足ですが、子供の頃、スクールに通っていた時、監督から『今日は全員、左足のみでシュートしよう』という練習をするような日もありました。また、サッカーを続けていると、みんなが私は右利きであることを分かってきて、警戒するようになります。そこで意表を突いて左足で蹴る時のために、精度を高くすることが重要です」

――ゴールを守っていたのは日本代表GK権田修一選手でした。そうしたことも自信であったり、ゴールをより特別なものにしたりしますか?

「もちろん権田選手のクオリティーは、把握しています。相手が誰であっても、まずは自分がしっかりと点を取れる努力をして、精度を高めながら、ゴールを目指さないといけません。その時々の状況に応じたプレーの確率を上げていくことが大事だと思っています」

ゴール時はチームも勝利継続、「レイソルは、今、進化している最中」と手応え

――今シーズン、ここまで全試合にスタメン出場して、5得点3アシストを記録しています。好調の要因は何でしょうか?

「私、一人だけではなく、チーム全体が好調です。みんなが一丸になって戦えていることが一番大事だと思います。我々レイソルは、今、進化している最中だと思うので、今後も継続して成長できるように努力したい。前期が終わるまで、あと1試合あります。その1試合も良い状態で戦い、自分たちの今の歩みを続けられるように頑張って、最終的に自分たちのサポーターに喜びを与えてあげたいです」

――マテウス・サヴィオ選手が点を取ったすべての試合でチームは今季勝利していますね。

「私は、点を取っても試合に負けたら意味がないと思っています。勝利が一番大事であり、誰が点を取ってもいい。勝つことができれば、私だけでなく、チーム全員が喜べます。チームが勝つために、点を取っていきたいと思っています」

――今シーズン、チームを勝たせる活躍を見せていますが、加入後は途中出場も多くありました。ご自身のなかで、柏に所属しているなかで成長を感じられているのでしょうか。

「2019年途中に加入した時は、リーグ戦も途中の難しい状況で、日本のサッカーに順応しなければいけませんでした。それでも、J2優勝、J1昇格に、しっかりと貢献できたところもあったと思います。その翌シーズンからは、新型コロナウイルスによって、世の中が大きく変わり、私自身も2度、大きな負傷をして、手術もしました。なかなかチームで練習ができませんでしたが、昨年途中から復帰して、そこからは継続的に試合に出られるようになっていきました。昨年はあまり良いシーズンにはなりませんでしたが、今年はチームメイトとともにキャンプから良い準備ができたことが、今につながっていると思います」

――今シーズンからは背番号も10になりましたが、これは何かプレーに影響ありますか?

「私自身は、あまり背番号を重要視していません。重要なのは、胸に付けているクラブのエンブレムです。どこに所属していても、そのチームのために戦わないといけません。戦うことで、チームメイトのためにもなりますし、サポーターの喜びにもつながります。何が一番大事かというと、付ける背番号ではなく、日常の努力です。もともと『今シーズンは絶対に有意義なシーズンにする』と思っていましたし、その自信もあったので、背番号の変更でモチベーションが変わることもありませんでした」

日本語も勉強、ピッチ内で充実の日々「妻も日本での生活を満喫しています」

――日本では4シーズン目。日本での生活はいかがですか?

「日本での生活は、とても幸せです。日本の日常生活に順応できていますし、今年に関しては、波がなく、一貫したパフォーマンスが出せています。ここ2年を振り返ると、怪我に悩まされたりもしました。今年は、チームに対して貢献できているので、本当に良かったです。ピッチ外でいうと、今、息子が1歳になりました。妻も日本での生活を満喫しています。本当に充実した生活を送っています」

――日本語も積極的に学んでいるそうですね?

「特にピッチで使う言葉を学ぼうとしています。試合のなかで、私が相手を背負ってチームメイトからコーチングをしてもらった時に、何を言われたかを理解できるかどうかで、プレーが成功するかが変わってきます。コミュニケーションの1つの道具として、上手く連係を図りながら、それに適した動きができるように、言葉を学んでいます」

――先日は、日本代表とブラジル代表の試合も観戦に行かれました。フラメンゴ時代のチームメイトもいたと思いますが、刺激は受けましたか?

「以前、一緒にプレーし、同じ釜の飯を食べていたヴィニシウス選手、ルーカス・パケタ選手、リシャルリソン選手が成功していることは、私にとっても、嬉しく、ありがたく思うことです。彼らがすごく高いところまで上り詰めていることは、すごく喜ばしいことですが、彼らは彼らです。もちろん刺激にはなりましたが、私は日本で活躍して、さらに進化していくことが重要です」

――Jリーグで活躍して、ブラジル代表に選ばれた選手や欧州へ行った選手もいます。今回のようなゴールや好プレーが世界的に配信されることで、マテウス・サヴィオ選手にもそういう話が出てくるかもしれません。この先、日本でプレーを続けたいのか、それとも欧州に行ってみたいのか、どういうキャリアを歩みたいと考えていますか?

「私は地に足をつけて、一歩一歩やっていかないといけない人間です。今、私は日本で、柏レイソルでプレーしています。そのことをとても嬉しく思っていますし、考えているのは、どれだけチームメイトたちと助け合い、チームに貢献するかです。Jリーグは非常に難しいリーグであり、1つの試合が終わったら、もう次の試合に向けて準備をしないと勝てません。そこにだけ集中して、日常を過ごしていきたいと思っています」

――最後に、このベストゴールの賞金は20万円です。その使い道は、決めていますか?

「賞金の話は、初耳です。いただけるなら、間違いなく息子のために使わせてもらいます。よく近くの公園にボールを持って行き、一緒に遊んでいるのですが、一番好きなオモチャがボールです。彼に、何か1つ買ってあげるとしたら、次はゴールマウスですね。目的をもって蹴れるようなものを与えてあげたいと思います。彼はボール遊びがとても好きですし、もし将来サッカー選手になりたいと思うことがあれば、サポートしたいですね。選手として私が熟するまで、いろいろな失敗をしてきました。苦労しないためにも、自分が培ってきた経験を伝えていきたいです」

[プロフィール]
マテウス・サヴィオ/1997年4月15日生まれ、ブラジル出身。フラメンゴ(ブラジル)――エストリル(ポルトガル)―フラメンゴ(ブラジル)―CSA(ブラジル)――柏レイソル。
2019年夏から柏に加入してJ2優勝&J1昇格に貢献し、22年から背番号10番を背負う。シュート、パス、ドリブルはいずれも一級品で高い攻撃性能を誇る。(FOOTBALL ZONE編集部)