宇宙開発企業のSpaceXが提供する衛星インターネット「Starlink」は、人工衛星を用いることでインフラ整備が不十分な地域でもインターネット利用を可能とするサービスであり、戦争中のウクライナにもアンテナが配備されたことで話題となりました。そんな中、SpaceXを率いるイーロン・マスク氏が「次世代のStarlink衛星」について語る動画が公開されました。

SpaceX CEO Elon Musk Talks Next Generation Starlink Satellites

https://gizmodo.com/spacex-elon-musk-starlink-satellites-starlink-2-0-1848995490

SpaceX CEO Elon Musk reveals next-generation Starlink satellite details

https://www.teslarati.com/spacex-elon-musk-next-gen-starlink-satellite-details/

マスク氏が次世代のStarlink衛星について語っているのは、100万人以上の登録者を抱えるYouTubeチャンネル「Everyday Astronaut」がマスク氏に行った対面インタビューです。以下の埋め込み動画の9分30秒頃から、マスク氏が次世代Starlink衛星の「Starlink 2.0」について語る様子を見ることができます。

(1) Go up SpaceX's Starship-catching robotic launch tower with Elon Musk! - YouTube

マスク氏によると、SpaceXはすでに最初のStarlink 2.0衛星を製造しているとのこと。



Starlink 2.0衛星1つの重量は約1.25トン、長さは約7メートルだそうで、従来のStarlink 1.0衛星の約260kgを大幅に上回っています。



重量が増えるため、これまでStarlink衛星の打ち上げに使われてきた商業用打ち上げロケット・ファルコン9ではStarlink 2.0衛星を打ち上げることができないことから、再使用型の超大型ロケット・Starshipを使って打ち上げる必要があるとのこと。マスク氏は、「Starshipが動作して頻繁に飛行してくれないと、Starlink 2.0は地上から動けなくなります」と述べています。



マスク氏は、Starlinkの衛星コンステレーションにおいて重要なのは衛星を打ち上げる回数ではなく、提供できるデータビットの総量だと指摘。Starlink 2.0衛星はStarlink 1.0より有用なデータビットが1桁大きく、同じ打ち上げた衛星の質量に対して提供できるデータビットの総量が大きいとのことです。



テクノロジー系メディアのTeslaratiは、マスク氏の発言が事実だとするとStarlink 2.0衛星は前世代と比較して、同じ衛星の質量で約2倍の帯域幅を提供できるとしています。また、Starshipはファルコン9の約10倍もの質量を地球低軌道に運べることを考えると、理論的には1回の打ち上げで拡張できるネットワーク容量が従来の約20倍になると述べています。

記事作成時点ではStarshipは開発遅延に苦しめられているほか、NASAがStarlink衛星の増加に懸念を示す書簡を連邦通信委員会に送付するなど、Starlink 2.0衛星の打ち上げには多くの障害があります。それでも、Starlink 2.0衛星による帯域幅増加による恩恵は大きく、うまくいけば数千万人〜数億人に衛星インターネットを提供可能になるとTeslaratiは考察しました。