笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。5月28日(土)の放送は、前回 https://tfm-plus.gsj.mobi/news/T2WG2ybegT.htmlに引き続き、デジタル大臣、行政改革担当、内閣府特命担当大臣(規制改革)の牧島かれんさんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)牧島かれん大臣、笹川友里


◆デジタル庁への並々ならぬ思い

デジタル庁の大きな強みは「官民でそれぞれ多様な環境から参画していること」と牧島大臣。現在、約700人規模の体制のうち約250人が民間人材で組織されているのも大きな特徴です。

そのため、議論する際、官民のなかには霞が関用語を初めて聞くという方もいるため「バックグラウンドがさまざまだからこそ、一つひとつの言葉の意味をみんなが同じように捉えることができるように、みんながその言葉の意味の範囲を共有することができるように、他の省庁以上に丁寧にコミュニケーションを取らなければならない。今まで霞が関の常識と民間の常識はかけ離れていると言われてきた現状を“なんとか変えたい”という気持ちでおこなっている」と力を込めます。

デジタル庁が掲げている“誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化”というミッションについては、「取り残されないの“れ”が入っているところに大きなこだわりを持っています。私たちが描いている世界は“こうなったらいいな”と思っている社会、誰も置いてけぼりになっていない世界であって、国民一人ひとりが“誰一人取り残されていない”と感じることができる社会をつくるんだ、ということを伝えたくて、あえて“れ”を加えさせていただいた」と語ります。

その言葉通り、デジタル庁では、スマートフォンを使いこなせていないお年寄りやデジタルに不慣れな人に対して、寄り添うことができる制度としてデジタル推進委員を順次委嘱していくそう。

また、牧島大臣がデジタル大臣に任命される前に、自由民主党 デジタル社会推進本部 事務局長を務めていた当時、平井卓也氏(前デジタル大臣)とともに「オンライン会議も含め、有識者や現場にいる方たちから、デジタル政策についてほぼ毎日ヒアリングをおこない、それをもとに政策提言をしてきた」と振り返ります。

その当時は“デジタル庁を立ち上げるべき”という提言を取りまとめた側でもあったと言い、「私たちが提言したことが実現して、提言した側が提言された組織のほうに入っていくような感覚でいます」と感慨深げに語ります。

◆デジタル大臣としての使命

政府では、社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて“デジ臨”ことデジタル臨時行政調査会を立ち上げ、さまざまな議論を重ねています。さらには、デジタル実装を通じた地方活性化を推進するべく、“デジ田(でん)”こと「デジタル田園都市国家構想」の実現にも邁進。

2024年度末までに、デジタルを活用して地域の課題解決に取り組む自治体数を1,000とする目標を掲げており、「既に700ヵ所ぐらい“デジ田”として認められるだろうというところが出てきている」と実感を語ります。

コロナ禍となって、二地域居住をはじめとした地方暮らしへの関心やニーズが高まっており、「新しい生活様式やライフスタイルが位置づけられていき、皆さんが見直してみたり、新しいことに挑戦したりするような土台は作られたのかもしれない。以前から課題となっていた東京一極集中が少しずつ変わっていくのではないか」と期待を寄せます。

そして、“デジ臨”“デジ田”とともに覚えてほしい言葉として牧島大臣が挙げたのは「アジャイル」。アジャイルとは“素早い”“俊敏な”という意味で、システムやソフトウェア開発における領域ではよく使われている言葉ですが、「(デジタル庁を)“霞が関のアジャイル”として位置づけようと。そのためには、無謬性神話(むびゅうせいしんわ)から脱却しなければならない」と主張します。

「例えば、新型コロナのように、これまで経験したことのないようなパンデミックと向き合ったときに、前例踏襲主義では駄目だと思う。前例の踏襲を第一とする凝り固まったやり方ではなく、よりアジャイルに無謬性神話から脱却した政策を新たにつくらなければならないし、転換しなければならない。そうしたことをちゃんと向き合いながらおこなっていきましょう、ということを“アジャイル”という表現に込めて発信している」と声を大にします。

あらためて牧島大臣は、「世の中が複雑性を増しているし、5年後、10年後の未来予測が大変難しいなかでも長期ビジョンを持たなければならない。早く決断して、その決断した結果を国民に届けなければならない。そのスピード感が求められているというところは意識している」と明かします。

そして、「行政官と言われる霞が関人材の皆さんも、いろいろな夢や希望、高い志を持って集ってきてくれていて、専門性を持ったメンバーもいる。そうした方たちの横の勉強会や政策のアイデアをお互いに出し合って、練っていくような時間も貴重だと思うので、いわゆる若手の行政官からのアイデアを、その上に立つ先輩たちが『いいね!』と採用してくれるような、霞が関の新しい文化をつくっていきたい」と展望を語ります。

今後も新しい風を吹き込むべく「デジタル庁が今までにない霞が関として常にアップデートされていく、ブラッシュアップされている役所として見ていただけたらうれしい」と前を見据えていました。

次回6月4日(土)の放送は、グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行(ひらて・ともゆき)さんをゲストに迎えてお届けします。同社が提供するサービスについてや、日本のビジネスシーンにおける「クラウド化」など、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2022年6月5日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/