テスラは新車購入時に車両充電用のモバイルコネクターを標準で提供してきたのですが、これを付属品から削除し、別売りとすることを同社のイーロン・マスクCEOが発表しました。

Tesla will no longer include mobile connectors with every car - The Verge

https://www.theverge.com/2022/4/17/23029094/tesla-no-longer-include-mobile-chargers-every-car-purchase

テスラは車両充電用のアクセサリとして、「ウォールコネクター」と「モバイルコネクター」の2種類を提供しています。ウォールコネクターは固定型の車両充電装置ですが、これを設置するのが難しい環境向けに、コンセントからテスラ車両を充電することができるモバイルコネクターが提供されています。

GEN II モバイルコネクター

https://shop.tesla.com/ja_jp/product/gen-2-mobile-connector-bundle-jp



そんなモバイルコネクターがテスラ車両の付属品から削除されたことに気づいたのは、テスラユーザーの@tesla_adriさん。同氏はテスラのウェブサイトが更新され、付属品からモバイルコネクターが削除されていることに気づき、ツイートしています。なお、この時点ではモバイルコネクターは第1世代が400ドル(約5万1000円)、第2世代が275ドル(約3万5000円)で販売されていました。





このツイートを受け、マスクCEOは「統計的に使用率が非常に低かったため、モバイルコネクターを付属品に含めることは無駄に思えました」とツイートし、モバイルコネクターを付属品から削除したことを明かしています。





しかしその後、「寄せられたフィードバックに基づき、モバイルコネクターの価格を200ドル(約2万5000円)に引き下げます」という、モバイルコネクターが付属品から消えたことに対する反響の大きさがうかがえるツイートも投稿しています。加えて、マスクCEOは「モバイルコネクターではなくウォールコネクターを取り付けることを推奨しています」ともつぶやいており、テスラ的にはモバイルコネクターよりもウォールコネクターの使用を推奨しているとしました。なお、報道によると値下げされるのは第2世代モバイルコネクターの可能性が高いとのこと。





ただし、テスラのモバイルコネクターは第1世代のものも第2世代のものも記事作成時点で日本および海外で在庫切れとなっており、購入することができません。海外メディアのThe Vergeは「どちらのモバイルコネクターも在庫切れとなっており、それぞれの在庫切れ期間が今回のテスラの決定に何かしらの影響を与えているか否かは不明です」としています。

テスラのモバイルコネクターを付属品から外す決断に対する反応はまちまちです。モバイルコネクターは必須ではありませんが、ウォールコネクターを設置することができないユーザーや、旅行先で車両を充電したいユーザーにとっては「快適なアクセサリー」であることは明らか。

今回の発表を受け、「おそらくモバイルコネクターは『不安に対する保険』のようなものです。任意のコンセントに挿して使うことができるため、例えば最寄りのスーパーチャージャーの位置を気にせずに、離れた場所に移動することもできます。つまり、基本的にはテスラの車両価格が400ドル上昇したようなものです」とツイートし、モバイルコネクターが必需品であるとするユーザーもいます。





また、別のユーザーは「まったく同じことができる無料のモバイルコネクターがあるのに、設置に追加費用のかかる500ドル(約6万3000円)のウォールコネクターを使用することを推奨するのはなぜでしょう?」と、ウォールコネクターの使用が推奨されることに疑問を呈しています。





さらに別のユーザーは、「電気技師に『設置に3600ドル(約46万円)かかる』と言われたため、ウォールコネクターを設置せずに1年以上テスラ車両を使用してきました。今、私は2台のテスラ車を所有していますが、いまだに1台はモバイルコネクターで充電しています」とツイートし、ウォールコネクターの設置にかかる追加費用が高額すぎるという問題を提起しています。





ただし、ユーザーの中には「2015年からテスラ車を使用しており、これまで6台のテスラ車を購入しましたが、一度もモバイルコネクターを使用したことがありません。私は年間平均4万マイル(約6万4000km)の距離を運転しています。個人的にはモバイルコネクターはお金の無駄です」とツイートし、テスラ車のヘビーユーザーであるもののモバイルコネクターは一度も使ったことがないとする人もいます。





テスラ車の競合となる電気自動車では、日産のリーフやフォードのマスタング マッハE、Chevy Boltといった車両には充電用のコネクターが車両購入時の付属品として提供されていますが、起亜自動車のEV6には充電用のコネクターが付属していません。

The Vergeは「2020年にAppleはiPhoneに充電用のLightningケーブルと電源アダプタを含めることをやめ、SamsungとGoogleがこれに続きました。この状況とテスラの状況が類似していると考えることは簡単ですが、テスラによる判断が電気自動車メーカーの間でも波及するか否かは不明です」としています。