ベストスコアタイの「68」をマークした岡田絃希(撮影:米山聡明)

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<関西オープン 3日目◇16日◇よみうりカントリークラブ(兵庫県)◇7180ヤード・パー71>
「関西オープンゴルフ選手権」3日目は風との戦いだった。さっきまで強く吹いていた風が急に止んだかと思えば、いきなり風向きが逆になる。スイング中やストローク中に風が急に強く吹くことでスイングを乱す選手もいれば、思わぬ方向にボールが流され、ラフやOBゾーンにまで持って行かれる選手もいた。最も多かったのは、アイアンショットの縦距離を合わせるのが難しかったという声だったが、そんな悪条件の下、ベストスコアタイの「68」をマークしたのが岡田絃希だ。
「自分ではイーブンぐらいで回れたら合格点だろうなと思ってスタートしたんですけど、ところどころ長いロングパットが入ってくれたり、バンカーショットからのチップインもあったりして、運も味方につけられたかなと思っています」と岡田。25位タイから、一気に4位タイにまで順位を上げてきた。首位とは7打差と少し離されたが、最終日は1つでも順位を上げるつもりだ。
そんな岡田だが、面白い経歴を持つ。97年、東京ディズニーランドで有名な千葉県浦安市で生まれると、中2のときに岡山へ引っ越す。その後作陽高校へ進学したが、高2のときに父親の仕事の都合でマレーシアへ移り、その後、マレーシアの高校、大学へ通っていた。20年にビザの関係で日本へ一時帰国したが、その際、友人たちとゴルフでもやろうかとたまたまキャディバッグとクラブを担いできた。6歳から始めたゴルフはメキメキと腕を上げ、マレーシアではサウジャナゴルフクラブのヘッドプロとして働き、アジアン下部ツアーのADTツアーなどに参戦していた。
「日本には祖母がいる実家もあるので、2、3週間ほど滞在するつもりでしたが、コロナの影響でマレーシアに戻れなくなったんです」と岡田。どうせならと受けたPGA資格認定プロテストに合格すると、昨年のQTでは7位となり、今季前半戦の出場権を獲得した。ちなみに、両親は今でもマレーシアに在住しているとのこと。
「経歴を聞かれる取材を受ける度に思いますが、一時帰国からもう2年半が経つんですね……」と感慨深げな岡田だが、誠実な人柄が気に入られるのか、その間、いろんな人にお世話になってきたという。「特に所属先である日本植生さんに“住み込みでやってみないか?”と声を掛けて頂いたのは大きいですね」。同社のグループ会社である備中高原北房カントリー倶楽部で練習させてもらうだけでなく、コースの敷地内にあるロッジでこの2年半暮らしてきた。
将来的には日本に留まらず、川村昌弘のようにいろんな国を転戦したい気持ちはあるが、まずは国内ツアーで結果を出し、「お世話になった皆さんにスコアで恩返しをしたいですね」と、最終日は上位フィニッシュを目標に全力を尽くす。(文・山西英希)
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