“ドライバーパンチショット”を操る アマ蝉川泰果が単独首位(撮影:米山聡明)

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<関西オープン 2日目◇15日◇よみうりカントリークラブ(兵庫県)◇7180ヤード・パー71>
最高気温が15.6度と肌寒く感じたこの日、東北福祉大4年の蝉川泰果(たいが)が6バーディ・2ボギーの「67」をマークし、トータル11アンダーでフィニッシュ。2位以下に1打差ながら単独首位に躍り出た。
「後半の7番ホールで自分が2打リードの1位だと知りましたが、あえて何も考えず、気持ちがたかぶらないようにしました」と蝉川。得意クラブはドライバーと言うように、初日からガンガンドライバーを振りまくり、そこからグリーンをしっかりとらえるゴルフを展開。各選手が他のクラブで刻んだりする中、ドライバーを使わなかったのは6番ホールの一度だけだった。ただし、自分の中では一つのルールがあるという。
「通常はドライバーを目一杯に持ってスイングしますが、気持ち悪いと感じたら、コントロールショットを行います」。具体的には、クラブを2、3センチ短く持ち、その分、ボールに近づいて構える。バックスイングの大きさは変えないが、フォローを左腰の高さぐらいに止めるイメージで振り切るという。
「パンチショット気味に打つんですが、単に当てて終わりだとボールが右に飛ぶので、ヘッドを走らせるイメージですね」と蝉川。通常よりも方向性はアップするが、飛距離自体はそれほど落ちないらしい。ちなみに、通常のショットで飛距離は300ヤードを超えるとのこと。
ドライバーのヘッドはピンの『G425 LST』、シャフトは『ハザーダスSMOKE RDX』で6.5の70グラムを挿している。44.5インチと少し短めだが、硬めの仕様で、ハードヒッターの蝉川にも十分耐えられる。
プロのトーナメントでトップに立つのは初めての経験だが、今大会には中学3年生の頃から7回連続で出場している(19年は中止)、愛着のある大会だ。当然、大学の先輩である松山英樹や金谷拓実の後に続くアマチュア優勝は視界に入っている(国内男子ツアーでは過去5人達成)。
できれば、高校卒業後にプロ転向したかったという蝉川だが、まだ実力が足りないと判断。強い選手が数多くいる東北福祉大への進学を選んだ。蝉川と1打差の2位タイにつけている片岡尚之は当時、同大学の4年生だったが、「すごい1年生が入ってきたなと思いました」という。進学後はなかなか思うようなゴルフができずに苦しんだが、昨年の「日本オープン」で予選通過したことがきっかけになったという。「我慢してピンチをしのいでいけば、予選は通過できるんだなと思いました」と攻めるだけがゴルフではないことも知った。
今年は最終学年であり、QTを受験する予定だが、もちろん今大会で優勝すれば来年の出場権を得られる。
「実は金谷さんがアマチュア優勝を飾った試合では、18番グリーンのそばで見ていたんです。イーグルパットを決めた瞬間、自分がテレビにチラッと映ったんですよね」と笑う。アマチュアが単独首位で予選通過したのは、20年「日本オープン」での河本力以来。このまま最終日まで逃げ切れば、昨年の「パナソニックオープン」を制した中島啓太(日体大4年)以来のアマチュア優勝となる。そのときはもちろん、主役として蝉川の姿がテレビに映し出される。(文・山西英希)

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