ついにプロデビュー 大型プレーヤー・河本力は“大人のゴルフ”でV狙う(撮影:上山敬太)

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<東建ホームメイトカップ 初日◇31日◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重県)◇7062ヤード・パー71>
昨年12月にプロ転向した長距離砲。世界基準の飛距離を誇る河本力が国内開幕戦「東建ホームメイトカップ」でプロデビューを果たした。第1ラウンドは4バーディ・ボギーなしの「67」をマークして、首位と2打差の4アンダー・7位。日本勢としてツアー史上3人目のプロデビュー戦Vへ好発進を見せた。
実績十分の大型プレイヤーだ。アマチュアとして出場した2020年の「日本オープン」は単独首位で予選を通過し、5位タイでローアマ獲得。21年の「パナソニックオープン」は結果的には20位タイだったが、3日目に「63」をマークして優勝争いを演じるなど、ツアーでの上位争いを経験している。そして何よりも平均310ヤード越えの飛距離が魅力だ。
昨年のQTは74位に終わったが、12月3日にプロ転向。今大会は主催者推薦での出場だ。プロデビュー戦を迎え「お仕事になったので、ちゃんと生きていくために稼がないといけない。最近は大人の攻め方ができていたけど、さらにリスクマネジメントができるように心がけています」。1打で賞金が大きく変わるプロの世界に入り、賞金を稼ぐためのゴルフを心掛けている。
今大会は「毎日3アンダーが目標」とする河本。インの10番から出たこの日は、11ホール目の2番までパーを重ね、3番パー3で7メートルを沈めてこの日初バーディを奪った。5番からは3連続バーディで目標を1つ上回る4アンダー。
ボギーを回避する“大人のゴルフ”だった。一つの例が4番パー5だ。ティショットを左に曲げると、ピンまで残り200ヤード。グリーンが狙えないワケではない。「6番アイアンでドローを打てば狙えたのですが、グリーン右に池があって、池に向かって打ち出さないといけなかったのでリスクがある。ウェッジで刻みました」。2打目は刻んで、結果的にはパーだったが、無理に狙って池に落とせばダブルボギーの可能性もあっただけに危険を回避した。その他のホールでもリスクを避けてボギーを防いだ。
姉である河本結、コーチの目澤秀憲らとオフに合宿を行い、考えが変わった。「昨年の反省をしたときに、気持ちでスコアを崩しているのが大きかった。気持ちが前のめりになりすぎと。例えば優勝争いで攻めすぎたり…」。アマチュア時代は少しでも狙えるチャンスがあれば危険をかえりみずにチャレンジしていたが、スコア的に痛みを感じることが多かったという。
それが色濃く出たのが、首位と1打差の4位タイで最終日を迎えた昨年のパナソニックオープンだった。河本は終盤に2つのダブルボギーをたたくなど「78」と崩れて、20位タイで終戦。優勝したのは最終日に「68」をマークした日本体育大学の1学年後輩で、同組でラウンドした中島啓太だった。「啓太はいいプレーをしていました。僕より大人でしたね」と振り返る。
爆発的なスコアを出せるポテンシャルを持ちながら、大人なゴルフを身に着ける河本。「どんなコンディションでも今週は毎日3アンダーで回るのが目標です。大人な感じでいけば、絶対いけるくらい練習はしてきたので」と自信を見せた。(文・小高拓)
【プロとしてツアーデビュー戦優勝者】
・重信秀人(1979年 中四国オープン)
・渋谷稔也(1984年 九州オープン)
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