葭葉ルミは自然体で上位発進(撮影:米山聡明)

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<ヤマハレディースオープン葛城 初日◇31日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6590ヤード・パー72>
原点回帰を宣言して飛距離を取り戻すと決意していた葭葉ルミが、ボギーなしの4バーディで回り、ストレスフリーのラウンドを笑顔で終えた。4アンダーは午前組がホールアウトした時点で暫定3位タイの好位置だ。
「飛距離に関しては、スコアをつくる上ではよかったです。フェアウェイを外したのは2回だけでした。春先のラフなのであまり気にしないで振っていたのが、いい結果につながりました。しっかり置くべきところにボールを置けています」
葛城ゴルフ倶楽部は、強く吹く気まぐれな風がハザードとなって選手たちを苦しめる。この日も午前組がハーフターンするころには、旗竿がしなるほどの風が吹いていた。だが葭葉は「風がなくても難しいコースですが、風があったほうが集中できます。目の前のボールに集中して、流れに身を任せながらパーをセーブ。ある意味、自然体で難コースに立ち向かっています」と、ほどよい緊張感を楽しみながら、チャンスのときにバーディを獲るゴルフで初日を締めくくった。
葭葉はこれまで4試合に出場して2試合で予選落ちを喫しているが、「明治安田生命レディスヨコハマタイヤ」では7位タイ、「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメントで2位タイとまずまずのゴルフを展開してきた。
「今シーズンはボギーが少ない印象があります。実は昨シーズン、グリーンを外すことが多く、アプローチの回数が相当増えていました。それが積み重なって、アプローチがよくなったんです。特に昨年末に葛城ゴルフ倶楽部で行われたQTではアプローチに助けられました。原点回帰で飛距離を求めるなんて言ってましたけど、ショートゲームでスコアをつくっています」と、笑う。
この日もボギーを打ちそうなピンチが4回あったが、すべてアプローチとパターでしのいだという。とはいえドライバーの飛距離は「270〜280ヤードは飛んでいます」というから、原点回帰も忘れてはいない。
試合でアプローチをすることが増えてよくなったのもあるが、グリーンを外すことが多くショット練習に励んだのだという。そのときにフェース面の管理を強く意識したことで、アプローチのときのフェース使いも向上したのではないかと自己分析をする。小さな振りを極めれば、大きな振りも自ずとよくなるということだ。
葭葉の昨シーズンの賞金ランキングは67位。6年間続けて保持していたシード権を逃すこととなった。思うようにいかないゴルフに苛立ちながらシーズンを過ごしたことが、大きな成長を葭葉にうながしたともいえる。目の前のボールに集中し、やれることをやる。決して無理はしない。難コースであるからこそ、その自然体がスコアをつくっていく。心にゆとりを持ってコースに挑んだ葭葉を見ていたら、ゴルフの基本的な心構えを思い出した。
2日目以降、自然体の気楽なプレーを貫くことができるのか。6年ぶりのツアー優勝に向け、驚くようなスコアを出してほしいと願うばかりだ。(文・河合昌浩)
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