イ・ボミは今大会で一区切りを迎える(撮影:米山聡明)

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<ヤマハレディースオープン葛城 事前情報◇30日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6590ヤード・パー72>
2022年の開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」から入国制限保障制度により5試合連続でツアーに出場しているイ・ボミ(韓国)が、今大会でその出場資格を失う。入国制限保障制度とは、コロナ禍のなかで日本へ入国できず、約束された試合数をこなせなかった海外選手への救済装置だ。
ボミは15、16年と2年連続で賞金女王となり、人気も実力も日本ツアーのトップで輝いていたが、その後は不振に陥り、20-21年シーズンは賞金ランキング82位。シード権を逃して「心が折れちゃうかと思った」と、出場権を争うQTへの不参加を表明するほどだった。今シーズンは主催者推薦の8試合と、救済制度による5試合のみの出場となっている。
「この試合で保障制度は終わりますが、次の試合はまだ決まっていません。一度韓国に戻って5月に2試合ほど、韓国ツアーで出場する予定です」と話したが、本人は日本の試合に出たい気持ちが強い。「日本ツアーで試合に出たいけど、推薦待ちの状態です。もし今大会で優勝できたら、もちろん予定は変わります」と、考えているほどだ。
「調子はいろんなことを試している途中です。ドローボールを打ちたいけど、意識しすぎて左に引っ張ってしまうとか、それを嫌がって右に出てしまうとか。でもしっかりドローを打ちたいから、明日もチャレンジです。フェースが開いてアウトサイドから下りてくる。それをスクエアに戻したいんです」。まだ迷いのある状態であることを明かした。
今大会については「このコースは難しいです。プロアマ大会だった今日も10回以上パーオンしていません。調子はまだまだです。でも最後の試合だと思って頑張ります。今は少しスッキリした感じもあるけど、もっと頑張れたかなという気持ちもあります」と、話した。
長い不調のトンネルに入ってしまうと、やることすべてがうまくいかないことがある。かつて調子がよかったころの自分と比較してしまい、迷路に入り込んでしまうのだ。いったんゼロ状態に戻すことができれば簡単なのだが、なかなかそうはいかない。しかし、もがき続けている状態でも、会見でのボミの表情は決して暗いものではなかった。
大好きな日本ツアーに出られていることをよろこび、これからもそれを続けていきたいという決心がボミを前進させているからだろう。「毎日、スイングのことを考えています」と笑顔で話したことからも、それがうかがえる。
「日本で続けたい」という気持ちを持ち続けている限り、ボミは成長しかつてのような姿をわれわれに見せてくれることを確信した。変化の先に進化あり。ボミのいまのもがきは、決して無駄にはならない。(文・河合昌浩)
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