●イベントでヒーローを実感

ウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』(2021〜2022年放送)の劇場版となる『ウルトラマントリガー エピソードZ』(監督:武居正能)が2022年3月18日より、劇場公開&有料配信(TSUBURAYA IMAGINATION)される。

寺坂頼我(てらさか・らいが) 1999年生まれ、岐阜県出身。2014年、名古屋を拠点に活動するボーイズグループ「BOYS AND MEN」の研究生メンバーとしてデビュー。2017年、研究生から選抜されたユニット「祭nine.」が発足し、リーダーを務める。ライブ、舞台、テレビで活躍を続ける中、2021年『ウルトラマントリガー』の主人公マナカ ケンゴ役で主演し、各種イベントにも出演した。 撮影:大塚素久(SYASYA)


本作はテレビシリーズの最終回から2年後、ウルトラマントリガー/マナカ ケンゴ(演:寺坂頼我)とGUTS-SELECTの活躍によって平和を取り戻した地球に、ふたたび危機が到来するというストーリー。2年前にエタニティコアの暴走を鎮めるため、仲間と別れて旅立ったケンゴが、どのようにして“帰ってくる”のか、そしてトリガーの頼もしい味方として「別の宇宙」から駆けつけたウルトラマンゼット/ナツカワ ハルキ(演:平野宏周)やトリガーダーク/イグニス(演:細貝圭)がどのような活躍を見せるのか、さらには映画に初登場する、影を継ぐ最悪の巨人「イーヴィルトリガー」の“目的”とは何か――。テレビよりもスケールアップした世界観や、ウルトラヒーローと怪獣たちの迫力満点のバトルシーンなど、多くの魅力が込められた極上のエンターテインメント作品に仕上がっている。

ここでは、主演のマナカ ケンゴを演じた寺坂頼我に単独インタビューを行い、テレビシリーズが最終回(第25話)を迎えたときの率直な感想や、劇場版ならではのスペシャルな見どころの数々、そして『ウルトラマントリガー』という作品を愛してくれた多くのウルトラマンファンの方々へ向けた、熱い感謝のメッセージを、さわやかなスマイルをたたえながら語ってもらった。

――『ウルトラマントリガー』テレビシリーズが完結を迎え、最終回をご覧になったファンのみなさんから、どんなリアクションがありましたか。

うれしい反響がたくさんありました。『ウルトラマントリガー』にふさわしい、いいラストでしたとか、クライマックスでの、ケンゴとGUTS-SELECTのみんなとの言葉のやりとりに感動しましたとか、みんなが笑顔になった未来が作れて、ケンゴよかったねとか……。『トリガー』って『ウルトラマンティガ』(1996年)の系譜を受け継ぐ作品として作られましたけれど、終わり方は独自の方向を目指していたと思います。放送されていた時は、テレビを観終わった人たちが毎週いろんな考察をしてくれるのが楽しかったですし、ウルトラマンシリーズに深い愛情を持って接してくださる方が多いんだなあと、ずっと印象に残っています。

――寺坂さんをはじめ、キャストのみなさんは昨年の秋ごろクランクアップ(撮影終了)されたと思います。あれから数ヶ月後、テレビで最終回を観たときのご感想はいかがでしたか。

ちょっと懐かしい気持ちになりました。僕たちキャストは特撮パートがどんな風に撮影されているか知らないので、オンエアを観て初めて「ここはこうなっていたのか」とエピソードの全容を知ることが多かったんです。演じていた側だと、ミニチュア撮影や合成画面がどうなっているかわかりませんから、純粋に楽しんでいました。

――昨年12月25日から今年の1月4日にかけ、「ウルトラヒーローズEXPO2022」が開催され、寺坂さんはイグニス役の細貝圭さんと共に連日出演されていました。その際、子どもたちと直接交流されて、どんなお気持ちになりましたか。

それはもう、うれしかったですよ! 今の「コロナ禍」のご時世で子どもたちは声を出せないので、拍手してくれたり、「ウルトラチャージ」っていう応援ポーズをやってくれたり、ステージの上の僕たちに「がんばれ!」って気持ちを伝えようとする思いが伝わりました。

中には、思わず声がもれちゃう子なんていたりして(笑)。以前から「ウルトラヒーローズEXPO」などのイベントに出演すると、ヒーローをやってるんだという実感がわくし、今まで以上に覚悟が増えるよ、といろいろな方から聞いていましたが、実際に出演してみて、ほんとうにそうだな……としみじみ思いました。

子どもたちの応援を受けると、どんなに疲れていても力がわいてくるのを感じました。毎日4回公演、全11日間やりましたが、まったく苦ではなくて、ウルトラマントリガーが大好きな子どもたちに会いたい!と本心から思っていました。

ウルトラマンって子どもたちだけじゃなくて、大人のファンの方たちもキラキラした目で見てくださって、このイベントを通して人の持つエネルギーの強さみたいなものを肌で感じましたね。僕も誰かを応援するときは、イベントでの子どもたちを思い出して、精一杯応援したい。そうすれば、絶対に伝わると信じられるようになりました。

いつだったか「ウルトラヒーローズEXPO」を観終わって、お帰りになる方たちの声を聞いていたことがありました。お母さんと息子さんでしたけど、お母さんが「ケンゴ、足長かったねえ〜」なんて言われてて(笑)。他にもみなさん、楽しかったと口々に話されていました。応援のパワーは絶大だし、それだからこそヒーローは負けないんだと思いました。

――テレビシリーズの後には、映画『ウルトラマントリガー エピソードZ』でケンゴが“帰ってくる”そうですね。テレビと映画とで、ケンゴはどんな変化があるのでしょうか。

どんな雰囲気で帰ってくるのか、これは実際に映画をご覧になって確かめていただきたいんです。テレビの最終回でケンゴはGUTS-SELECTのみんなの前からいなくなったけど、映画の予告編にケンゴがいるから大丈夫でしょって、思っている方がいるかもしれませんが、ただ普通に帰ってくるだけなのかどうかも、まだわかりませんからね。ぜんぜん違う時空のケンゴかもしれないじゃないですか。映画では、ケンゴがどうやって戻ってくるのかがまず注目ポイントだと思います。映画のケンゴは、テレビシリーズから月日を重ねて、さらに成長した部分を強調していますので、ぜひお楽しみいただきたいです。ケンゴの喜怒哀楽の描き方も含め、人として成長したところをお見せできればと思います。

――映画の中で、寺坂さんがケンゴを演じる上で特に気をつけたこととは。

物語のクライマックスでの熱量は、いちばん説得力のあるものじゃないといけないと思っていたので、そこに向けて感情の積み上げを大事にしつつ演じました。ウルトラマンの撮影は常に「想像力」が重要だと思っていたので、ここはこんな(特撮)シーンなんだと状況を頭に浮かべながら演じていましたね。ここ一番に出すケンゴのパワーみたいな部分が、観ている人たちに伝わったらいいなと思って、力の込め方に気をつけました。ケンゴの感情表現については、繊細にニュアンスを変えた部分を受け取ってくださるとうれしいです。

●映画の見どころは…



――映画では、GUTS-SELECTのタツミ隊長(演:高木勝也)に代わり、中村優一さん演じるトキオカ隊長が登場するようです。隊長が交代したことで、チーム内の雰囲気が変わったりしましたか。

タツミ隊長はいろいろなことについて柔軟に対応してくれる、厳しくて優しい隊長だと思います。気さくではあるんですけど、怒ると怖い……『サザエさん』でいうと波平さんのような(笑)。僕にとっても最高の隊長なんです。映画のトキオカさんは、冷静さの中に優しさをまとっているような隊長像で、タツミ隊長とは僕たちへの接し方も少し違う感じでしたね。GUTS-SELECTのみんなはすでに成長をしていて、トキオカ隊長もひとりひとりに信頼を置いている。トキオカ隊長の新生GUTS-SELECTは、タツミ隊長のときより「まろやかさ」が増した感じがします。ケンゴが帰ってきてすぐチームになじめたのも、トキオカ隊長が人に合わせるとか、フランクな会話がうまいとか、ケンゴにわりと近い雰囲気を備えた隊長だったからかもしれません。映画の新生GUTS-SELECTもいいチームだなって思いますよ。

――テレビシリーズ第7、8話でも共演を果たした『ウルトラマンZ』(2020年)のウルトラマンゼット/ナツカワ ハルキを演じる平野宏周さんとも、映画でひさびさにタッグを組まれるとうかがっています。劇中での再会のようす、そして実際の寺坂さんと平野さんが撮影合間にどんなお話をされていたのか、教えてください。

映画での再会シーンは、いかにもハルキさんらしい雰囲気ですので、もう思いっきり楽しんでほしいです。撮影の合間では、平野さんから「常にヒーローであり続けること」の大切さを教わりました。雑誌の取材のとき、たとえ写真を撮らないときであっても、変身アイテムを持っていつでもどこでも変身できるようにしておく、とかですね。平野さんもリクくん先輩(ウルトラマンジード/朝倉リク)役の濱田龍臣さんから教わったそうで、じゃあ僕もぜひ、次にやってくる後輩ウルトラマンにこのことを伝えよう!と思いました。55年も続いたウルトラマンを、さらに未来へつなげていくために、ぜったい僕も先輩ウルトラマンになりたいです! 先輩ウルトラマンの平野さんを見て、本当にそう思いました。

――映画を手がけた武居正能監督はテレビシリーズでも第4、5、6、11、12話と節目のエピソードを演出されていました。

武居監督のテレビエピソードは、アキト(演:金子隼也)の感情がすごく動いて、それと向き合うケンゴや、トリガーダークと戦うケンゴの気持ちなどを描いてくださり、けっこう全体の「核」になりうる、個々の感情をゆさぶるシーンを演出してくださったんです。今回の映画でも、武居監督は「ケンゴがまた成長するために、あえてケンゴの喜怒哀楽をさらけだす」と、意識的にケンゴの感情表現を打ち出すことを宣言されていました。

撮影で強く印象に残っているのは、大事なシーンを撮り終わったあと「ケンゴ、めっちゃよかったよ!」と褒めてもらえたことです。テレビシリーズでは褒められた記憶がないんですけど(笑)、映画で初めて褒めてもらえたのが、もううれしくてうれしくて……。僕自身も、自分のハードルを越えられたと思える瞬間がありました。そのときから、撮影って楽しいなあ、と思うようになっていましたね。

――ほぼ半年間にわたる『トリガー』の撮影で、レザー製のGUTS-SELECT隊員服が寺坂さんたちの身体になじんで、映画でもいい雰囲気になっているようです。隊員服についての思いを聞かせてもらえますか。

テレビの撮影を始めたころから比べても、ぜんぜん動きやすさが違いますね。体になじんで味わいが出て、それも楽しいと思える要素のひとつです。装具、ヒザ当て、手袋、時計とかはだんだん汚れたり壊れたりしますけど、それらも僕にとっての「勲章」だと思い、誇らしく思っています。ただ、夏場の撮影のときは暑くて、汗をダラダラかきながら着ていましたね。でも、現場では一切「暑い」とは言いませんでした。周りからも「ぜんぜん暑がらないよね」と言われましたが、実は暑かったんです。それでも「暑い」とはわざと口にしないよう心がけていました。なにしろケンゴは「光」ですからね(笑)。

――ファンのみなさんに映画のこういうところを観てほしい、というシーンは?

最後のシーンでの、ある人物のセリフをお聞きください。映画でいちばん伝えたいことが、ワンシーンに集約されています。ケンゴのセリフではないんですが、あのメッセージを受け取っていただくためにこそ、映画をご覧になってくださいと言いたいですね。注目ポイントはいっぱいあるんですけど、公開前だといろいろ話してはいけないことがあって(笑)。

トキオカ隊長を迎えた新生GUTS-SELECTのこととか、ケンゴがどうやって帰ってくるかとか……。ぜひ、映画公開が終わった後にもインタビュー取材しに来てください! もうちょっと見どころを話しますと、映画ではトリガーへの変身シーンがぜんぶ異なっているので、そこは必見だと思います。すごい体勢でGUTSスパークレンスを構えたり。さらに進化するウルトラマントリガーにご期待ください。

――最後に『ウルトラマントリガー』を愛し、映画を楽しみにされているみなさんにメッセージをいただけますか。

僕がマナカ ケンゴとして、ウルトラマントリガーとして日々を駆け抜けることができたのも、応援してくださった多くのファンのみなさんがいてくれたからです。今この記事を読んでくださっているみなさん、ウルトラマンが素敵な未来に向かっていくため、これからも応援をしてください。よろしくお願いします!

(C)円谷プロ