時松隆光のシンデレラ・ストーリーは2016年7月に始まった(撮影:ALBA)

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常に真剣勝負に身を置き、戦いを続けるゴルファーたち。過酷な環境でクラブを振っているからこそ出る力強い名言、ウィットに富んだジョーク、そしてちょっぴり天然な迷言がある。そんな“ゴルファーのことば”を紹介する。ツアー3勝を誇り、お茶の間でも人気者となった時松隆光。ツアー初優勝を遂げた大会でこぼれた本音だ。
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「これでQT行かなくていいんだ」
昨年まで選手会長を務めた時松。ツアー3勝を挙げ、今ではお茶の間の人気者になっているが、2012年にプロ転向してからなかなか芽が出なかった。しかし、転機は2016年7月に訪れた。
15年までは賞金シードに手が届かず、翌年の出場権をかけたファイナルQTも75位とレギュラーツアーに出場できる順位ではなかった。下部のチャレンジツアーを主戦場として、7月1日に開幕した「ジャパンクリエイトチャレンジin福岡雷山」でプロ初優勝を遂げた。この優勝でレギュラーツアーの「ダンロップ・スリクソン福島オープン」の出場権を獲得。
7月21日開幕の「ダンロップー」は、後続に5打差をつけて最終日を迎えると、そのまま2位の岩本高志に3打をつけて初優勝を遂げた。
初めての勝利に「まだ実感がない」と本音をこぼすと、今後についても「2勝目」と意気込むより「これでQTに行かなくていいんだ」という安どの方が大きかった。
時松は高校時代ナショナルチームのメンバーで、11年には九州アマを制していた。ショットの精度が持ち味でパット巧者で有名だった。少ないチャンスをモノにすると、その後は毎年優勝を重ね、トップ選手の仲間入りを果たした。才能がある選手でも翌年の出場権をかけたQTで上位に入るのは難しいもの。チャンスをものにできるか、できないか。プロの世界には必要と感じさせてくれた。
ちなみに、ツアー初優勝を遂げたことでツアー外競技のマッチプレー競技「ネスレインビテーショナル 日本プロゴルフマッチプレー選手権 レクサス杯」の出場が叶った。藤田寛之、谷口徹、小田孔明ら歴代賞金王を撃破して見事に優勝。優勝賞金1億円を手にした。決勝は7月31日。チャレンジツアーでプロ初優勝を遂げてから、わずか1カ月の間で1億1180万円(3大会合計)を手にしたシンデレラボーイでもあった。
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