国内女子ツアー開幕まで2週間。今年も「ダイキンオーキッドレディス」を皮切りに38試合が行われる。通年の出場権を持つシード選手は賞金ランキング、およびメルセデスランキング上位50位までの52人。さらに前半戦の出場権を持つ昨季の賞金ランキング、およびメルセデスランキングの51〜55位までの5人。昨季のステップ・アップ・ツアー賞金ランキング上位2人など。そのほかQT上位者も前半戦出場権を保持している。今年ツアーを彩るシード選手やQTランキング38位までの主力選手100人(永久シード選手は除く)のデータをとことんチェック。今回は生まれ年や日本的な“年度”で探ってみた。
■前半戦に出場する16パーセントが黄金世代
最近の国内女子ツアーは1998年度生まれの黄金世代、2000年度生まれのプラチナ世代と、日本式の学年度で区分けされる。今回の100人調査で今季の出場権を持つ強い世代が顕著になった。
100人中もっとも多い年度は、渋野日向子や原英莉花ら黄金世代の98年度生まれで16人。うちシード選手9人も最多だ。まさにツアーを牽引する世代である。それに次ぐのが古江彩佳、西村優菜らプラチナ世代の2000度生まれで8人(シード選手は3人)。今年も黄金世代VSプラチナ世代の戦いが中心になりそうだ。
2つの年代を追うのは、7人いる3つの世代。まずは、青木瀬令奈、葭葉ルミら92年度生まれ。東浩子を団長とする“最強アズマ軍団”を名乗る一大勢力だ。ただ、かつては黄金世代のライバル年代でもあったが、シード選手は7人中、青木のみ。今年は巻き返しが期待される。
そして、95年度と96年度生まれ。95年度生まれは永峰咲希、堀琴音、柏原明日架らがいてシード選手は6人と黄金世代の次に多い。96年度生まれも昨季の最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」でツアー初優勝を遂げた三ヶ島かなや岡山絵里ら、プラチナ世代を上回る4人のシード選手がいる。これまであまり注目されていなかったが、95&96世代がツアーをにぎわすかも知れない。
■99年度生まれ以外にもあった“ハザマ”世代
シード選手の人数で見ると、98年度、95年度に次いで、96年度生まれと並ぶ4人を擁しているのが87年、88年、91年度の3つの世代。笠りつ子(87年)、穴井詩(87年)、菊池絵理香(88年)、若林舞衣子(88年)、酒井美紀(91年)ら30歳を超えたベテラン勢が名を連ねる。特に88年はイ・ボミやキム・ハヌル(ともに韓国)といった選手がシードから外れたにもかかわらずすごい世代だ。
プラチナ世代の1学年下にあたる2001年度生まれは、未勝利ながら賞金ランキング4位に入った西郷真央、初優勝を遂げた山下美夢有、メジャー覇者の笹生優花ら5人(シード選手は3人)。シード選手の人数はプラチナ世代と並ぶ。その下の佐久間朱莉ら02年度、佐藤心結の03年度を含めて新世紀の活躍に注目だ。
黄金世代とプラチナ世代に挟まれる99年度生まれは、賞金女王の稲見萌寧がいるが“ハザマの世代”と呼ばれるだけに4人(シード選手は2人)と少ない。他にも黄金世代の1学年上である97年度生まれは5人と少なく、シード選手は初シードを獲得した田辺ひかりのみ。年代によって選手層の厚さが違うことが分かる。
■シード選手の平均年齢は27.6歳
今季のシード選手の平均年齢は27.6歳。近年の女子ツアーは若返りが著しいと言われているが、昨季の26.3歳より1.3歳増した。平均27.1歳だった2018年シーズン以来の27歳台となった。今年の最年長選手は通算18勝で06年に賞金女王を獲得した大山志保(1977年生まれ)。昨年の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」で優勝争いを演じて3位に入るなど、44歳はまだまだ健在だ。大山に次ぐ年長者は通算23勝で20シーズン連続シードを保持する李知姫(79年生まれ、韓国)。1970年代生まれはこの二人だけとなっている。
1980年代生まれは21人で、そのうちシード選手は13人。通算25勝で16シーズン連続シードを保持する全美貞(82年生まれ、韓国)や上田桃子(86年生まれ)、申ジエ(88年生まれ、韓国)ら常連組に加えて、藤田さいき(85年生まれ)のように復帰組もいる。QTランキング1位の下川めぐみ(83年生まれ)をはじめ、横峯さくら(85年生まれ)、岩橋里衣(86年生まれ)らも前半戦の出場権を獲得。肉体的には厳しくなる年齢だが、若さに勝る経験で存在感を示してくれるだろう。
90年代生まれは60人とツアーの中心となる年代。2000年代は17人と前年より増えている。最年少は2003年生まれの佐藤心結。昨年11月のプロテストに合格したばかりのルーキーだが、ファイナルQTで11位に入り前半戦の出場権を獲得した。アマチュアだった昨年10月の「スタンレーレディス」では、54ホールを首位タイでホールアウトし、4人によるプレーオフに進んだ。最後は渋野日向子の前に屈したが、実力は折り紙付き。
今年もベテラン、中堅、若手とさまざまな年代の選手が華やかな戦いを見せてくれそうだ。
【年代一覧】
1977年 ※大山志保
1978年 ※李知姫(79年2月)
1982年 ※全美貞
1983年 下川めぐみ
1985年 ※藤田さいき、横峯さくら
1986年 ※上田桃子、※ユン・チェヨン(87年3月)、岩橋里衣
1987年 ※笠りつ子、※穴井詩、※テレサ・ルー、※有村智恵、アン・ソンジュ、黄アルム、川満陽香理
1988年 ※申ジエ、※菊池絵理香、※若林舞衣子、※イ・ナリ、イ・ボミ
1989年 ※宮里美香、大城さつき
1990年 藤本麻子
1991年 ※イ・ミニョン(92年3月)、※酒井美紀、※仲宗根澄香(92年1月)、※サイ・ペイイン、西木裕紀子
1992年 ※青木瀬令奈(93年2月)、福山恵梨(93年2月)、福田真未、東浩子、葭葉ルミ(93年3月)、工藤遥加、沖せいら
1993年 ※渡邉彩香、※ぺ・ソンウ(94年3月)、※比嘉真美子、岸部桃子
1994年 ※鈴木愛、大西葵、川岸史果、松森彩夏、
1995年 ※永峰咲希、※堀琴音、※金澤志奈、※木村彩子、※濱田茉優、※柏原明日架(96年1月)、竹内美雪
1996年 ※三ヶ島かな、※岡山絵里、※野澤真央(97年3月)、※森田遥、ささきしょうこ、竹山佳林、高木萌衣
1997年 ※田辺ひかり、林菜乃子、小野祐夢、石川明日香、大出瑞月
1998年 ※小祝さくら、※勝みなみ、※原英莉花(99年2月)、※高橋彩華、※大里桃子、※渋野日向子、※植竹希望、※臼井麗香、※山路晶、淺井咲希、河本結、木下彩(99年1月)、新垣比菜、吉川桃、天本ハルカ、吉本ひかる(99年2月)(16人)
1999年 ※稲見萌寧、※菅沼菜々(2000年2月)、鶴岡果恋、石井理緒(2000年1月)
2000年 ※古江彩佳、※西村優菜、※吉田優利、小倉彩愛、後藤未有、安田祐香、阿部未悠、上野菜々子
2001年 ※西郷真央、※山下美夢有、※笹生優花、リ・ハナ、永嶋花音
2002年 佐久間朱莉、桑木志帆、内田ことこ
2003年 佐藤心結
※は前年の賞金ランキングおよびメルセデスランキング上位50位で通年の出場資格を持つシード選手
<ゴルフ情報ALBA.Net>