緊急事態宣言が30日の期限で全面解除されることが決まったことについて最前線で新型コロナ患者の対応にあたる医師はどのように見ているのでしょうか。

新型コロナウイルスの重症患者を受け入れる自治医科大学附属病院・感染制御部の森澤雄司部長です。 

栃木県内では3度目、過去最長の40日に以上に及ぶ緊急事態宣言が解除されることについて森澤部長は宣言による制限が新規感染者の減少に一定の効果があったとしながらも、なぜここまで急速に減ったのか検証する必要があると指摘します。

森澤部長:「どうして急激に収まってきたのかきちんと説明できる人いない。自粛による行動制限は一定の効果はあった。長い期間かかってやっと減った。その後、急激に減った。新型コロナウイルスについて分からないこと多い」

感染状況の警戒度を判断する7つの指標を見てみますと県内では27日の時点で、4指標が上から2番目の重点措置の範囲、残り3つは真ん中の県版ステージ2.5の範囲となっています。

7月の末から爆発的な感染者の増加で県内では1日当たりの発表数で273人、重症者は21人、自宅療養者1495人と、いずれも最多を更新しましたが、これらと比べると現在はどの数値も落ち着いてきました。

これに伴い医療現場はひっ迫した状況から改善しつつあります。

森澤部長:「宣言は解除でいい。県内の重症例が10例ほどに減った。先週は新規重症者はいなかった。一般診療に完全に支障はないとまで言わないが、かなり従来の体制に近づいている」

ではなぜ感染の第5派はここまで爆発的に広がったのか、理由は明らかで感染力が強いとされるデルタ株の存在です。

県のスクリーニング検査の直近の結果を見てみますと97%がデルタ株に置き換わっています。

一方で、県内でもワクチン接種が進み26日時点のすべての年代を合わせた接種率はおよそ46%となっています。

森澤部長:「デルタ株になってワクチン接種により重症化抑えられるが感染は抑えられなかった。ワクチン接種でデルタ株でも重症化防げることは間違いない。今のところデルタ株上回る強い変異株でていない。接種を進めて日常生活戻す方向性見えてくる」

森澤部長は今後の見通しについて、医師でさえ予想は難しいと前置きしたうえで次のように話します。

森澤部長:「デルタ株まだくすぶっている。急激に規制緩和してクラスター発生すると大変なことになる。まだ大手を振って『元に』とは言えない。インフルエンザの同時流行はないのか、この冬くらいまでは何が起こるか分からない対応をせざるを得ない」