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マツダ説明会での消化不良 CX-5/CX-8の今後

text:Kenji Momota(桃田健史)editor:Taro Ueno(上野太朗)

CX-5とCX-8は今後どうなるのか……。

【画像】変わるマツダのCX【CXモデルどんなモデルがある?】 全181枚

マツダ幹部のプレゼンや、プレゼン後の記者との質疑応答を聞いて気になった。


マツダCX-8

「スモール商品群では、FF(横置き・前輪駆動車)でパワートレインがこれとこれ……」

「ラージ商品群ではFR(縦置き/後輪駆動車)となって……」
 
「さらにEV専用プラットフォームで新しい展開があり…」

こうしたマツダの描く近未来の図式の中で、CX-5とCX-8はどうなるのか?

やはり、ディスコン(生産中止)になるのだろうか?

それとも、地域最適化という企業理念のうえで、併売化する地域があるのか?

そうした疑問について、マツダに対するこれまでの取材も含めて考えてみたい。 

マツダは2021年6月17日、オンライン会議システムを使い報道陣向けに「マツダ中期技術・商品方針説明会」を実施した。

丸本明社長が決算報告の際、記者からカーボンニュートラルやEVシフトなどに対する質問があったが、回答は一般論にとどめたうえで「近いうちに技術に関する詳しい説明の場を設ける」としてきたが、それがこのオンライン説明会にあたる。

その中では、これまで公開されてきた内容を振り返り、さらに近未来に向けたマツダの戦略が明らかになった。

「スカイアクティブ」フェイズ1で活躍のCX-5

今回のプレゼンテーションをおこなったのは、研究開発/コスト革新統括を担当する専務執行役員の廣瀬一郎氏。

また、プレゼン後の記者との質疑応答では、R&D管理・商品戦略・技術研究所・カーボンニュートラル担当の常務執行役員の小島岳二氏が加わった。


マツダCX-5

まず、廣瀬氏はマツダのこれからの事業戦略の基盤としてあらためて紹介したのは、「サスティナブルZOOM-ZOOM宣言2030」だった。

これは2017年8月にマツダの技術開発の長期ビジョンを示したもの。

サスティナブル(持続的な)という枕詞が示すように、発表から約4年経ったいま(2021年6月)でもマツダの技術開発の方向性は変わっていないことを、あらためて主張した。

振り返ってみると、「サスティナブルZOOM-ZOOM宣言2030」でいう、マツダのスカイアクティブ・テクノロジー・フェイズ1は、2012年のCX-5市場導入を皮切りに、エンジンではガソリンのスカイアクティブG、ディーゼルのスカイアクティブD、またトランスミッションや車体でもスカイアクティブの理論を組み込んだものである。

その後、アテンザ、アクセラ、CX-3、CX-8、ロードスターなど3年間で合計9モデルを商品化した。

ボディカラーはソウルレッドを訴求色とし、世界各地のモーターショーでマツダは存在感を一気に増した。その中で販売面ではCX-5の果たす役割が大きかった。

「スカイアクティブ」フェイズ2 マツダ3を皮切りに

スカイアクティブ・テクノロジー・フェイズ2は、2018年のマツダ3から始まり、マツダがスモール商品群と呼ぶ、スカイアクティブ・マルチソルーション・スケーラブルアーキテクチャーによるモデル拡充を進めた。

パワートレインでは、過給器とマイルドハイブリッドを併用するマツダ独自技術のスカイアクティブXを量産した。さらに、新しい商品思想としてMX-30を導入し、パワートレインではマイルドハイブリッドをベースとして、2021年にEV、そして2022年に待望のロータリーエンジンを発電機として使うレンジエクステンダーの登場が決まっている。


マツダ3ファストバック

スモール商品群のハードウエアについて「基本的な開発は完了している」(廣瀬氏)として、現在はフェイズ2でのラージ商品群の商品化を目指す段階だ。

ラージ商品群の特長は、直列エンジンによるFR(後輪駆動車)がベースであることだ。

今回、具体的なエンジンラインナップが明らかになった。それによると直列6気筒ではスカイアクティブG/D/Xの3種類。また、直列4気筒はスカイアクティブGのみ。

電動化では、スカイアクティブXのほかに48Vマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドがある。

さらに、バイオ燃料や合成燃料、そして水素を燃料として活用する開発を進める。

次世代CXモデル どう生まれ変わる?

フェイズ2では、2025年までにグローバルでEVを3モデル、プラグインハイブリッドを5モデル、ハイブリッドを5モデルと合計13モデルを導入するとしている。

仮に横置きFF車であるCX-5とCX-8とスモール商品群としてモデルチェンジすると、スモールという名称からも違和感を持つ人が多いはずだ。


マツダCX-8

となれば、CX-5とCX-8はラージ商品群の中で縦置きFR車として生まれ変わることになり、CX-50とCX-80いうモデル名の変更を伴う刷新になる可能性が高い。

CX-5の開発担当者は直近での商品改良における報道陣向け試乗会の際、「現世代の改良をやり切る」との表現を使った時点で、筆者としてはCX-50とCX-80への完全移行が濃厚というイメージを持った。

さらに言えば、スカイアクティブ・テクノロジー・フェイズ3ではトヨタとの協業によるEVモデルが2025年以降に複数登場する。

それらの中には、MX-50 EVやMX-80 EVを名乗るモデルが含まれているのかもしれない。今回のプレゼンの最後は、マツダのコーポレートビジョンを示した。

「わたし達はクルマをこよなく愛しています。人々とともに、クルマを通じて豊かな人生を過ごしていきたい。未来においても地球や社会とクルマが共存している姿を思い描き、どんな困難にも独創的な発想で挑戦し続けています」

次世代CXモデルたちの登場が、いまからとても待ち遠しい。