「蒸し鮨」とはなんぞや??完璧に計算された温度と食感に驚愕せずにはいられない!
世は鮨バブルと言われて久しい。そんな今だからこそ、新しい発想の鮨店が生まれている。
表参道と西麻布の中間にある『鮨m(スシエム)』は、そんな存在の代表格といえるだろう。
果たして、どんな鮨を楽しめるのだろうか。



店が入るのはアパレル会社のような瀟洒なビルの2F
訪れる人が、口を揃えて「新体験」と絶賛する『鮨m』は、表参道の根津美術館のそばにある。
2階への階段を上り、扉を開ければ、そこには鮨店らしからぬ墨色を基調とした空間が広がる。

手前が鮨カウンター、奥にソムリエが立つ
樹齢200年の檜を使った鮨カウンターとお酒のサービスカウンターが前後に並び、席に着くと、客は美食のショーを観るがごとく、ふたりの所作を堪能できる。

ソムリエの木村好伸さん。「鮨は繊細な料理なので、その日のコースを食べてワインのラインナップを決めます」
出迎えてくれるのは『NARISAWA』でヘッドソムリエを10年務めたソムリエの木村好伸さんと、西麻布の名店『江戸前鮓 すし通』出身の橋本純也さん。
店名のmとは、このふたりによるmariageを意味しているのだ。

鮨職人の橋本純也さん
コースは握り10貫ほどと一品料理が5品ほど。
まず、一品料理からその完成度に驚かされる。
上等なフレンチのような一品料理に唸る!

仕上げに目の前でトリュフを削りかけていく
こちらは、トリュフのソースを合わせた「青森産わかさぎの素揚げ」。
熟成したトリュフは醤油や海苔のような香りが出てくるので魚介と相性がいいとか。
素揚げしたセリを添え、下には菊芋のピューレが敷かれている。仕上げに軽くスモークをかけ一体感を演出。
序盤から上等なフレンチ並みの料理に驚きが隠せないが、実は裏でシェフを勤めるのは銀座にあった『ティエリー・マルクス・サロン』の料理長を務めた人物。
鮨だけでなく、料理まで抜群なのが、評判を呼ぶポイントだ!
ボランジェから始まる1万円のペアリングが、とにかくお得!

店内に湿度90%のセラーがあり、幅広い年代のワインを最高の状態で常備
『鮨m』に来たら、必ずペアリングを試してもらいたい。木村さんがセレクトするペアリングが素晴らしく、しかも10,000円(7〜8杯)とあってお得!
一杯目の泡はアミューズに合わせた「ボランジェ」というから、気分も上がる!
先ほどのワカサギには店オリジナルのスペインのロゼ「Viña Pilar」、のどぐろの蒸し鮨には「ドン ペリニヨン」の元醸造最高責任者が造った日本酒「IWA」、マグロにはサン・テミリオンで買い付けたワイン等、稀少なお酒とのペアリングが常に木村さんがネタを口にしてから、銘柄や提供温度を決める。
いよいよ独創的と評される「蒸し鮨」の登場だ!
既視感のない鮨に高揚が止まらない!
そして、いよいよ鮨の登場!
ここでは、正統派の握りを華麗に崩した鮨の数々に驚かされる。
握りは10種類程度が出るが、熟成鮨や新たに開発したという鮨まで縦横無尽。

外周にお湯を張り、蓋をする。このパフォーマンスも楽しい。以下、料理はコース20,000円より
中でも出色が「蒸し鮨」。
のどぐろの鮨を、300度に熱した台に昆布を敷いて置き、湯をかけて蒸していく。
砂時計で30秒経ったら完成。ネタとシャリが同じ温かさになり、口に入れると、のどぐろがフワッと溶け、シャリはホロっと崩れていく。
噛む動作もいらないほどの優しさで、口中には脂の旨みがいっぱいに広がる。
ペアリングは、マイナス7度まで冷やした冷燗の「IWA」。
のどぐろの力強い脂に対抗できる旨味や、温冷のコントラストが相まって、長く余韻が残るのがポイントだ。

口の中でサッとほぐれるようにと、切り込みを多数入れている
また、こちらは丁寧に芯まで磨いた伊豆下田の「マグロ」。
3種のお酢をブレンドした酢飯は、熟成感と酸味のバランスが秀逸!

キリッとしたシャリと、口溶けのいい「うに」がよくあう
そして北海道浜中産の「うに」は、手渡しで登場。
うにの香りを生かすため、あえて風味が柔らかい海苔を使用するなど、こだわりが光る。

『鮨m』で、鮨の新たな可能性を楽しもう!
いわゆる静謐な鮨店もいいが、食べ慣れた人にこそ『鮨m』を訪れてもらいたい。
きっと、いい意味で予想だにしない料理の数々に驚くはず。
ぜひ、デートの切り札に使って欲しい。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、2021年3月26日時点の情報です。
