9日、「共謀罪法案」についてインタビューに答えた自民党・早川忠孝衆院議員。(撮影:徳永裕介)

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衆院法務委員会で審議中の「共謀罪法案」について、自民党の早川忠孝衆院議員(同委員会所属)は9日、東京都千代田区の衆院第2議員会館でライブドア・ニュースのインタビューに応じた。早川議員は、共謀罪制定の根拠とされている国際組織犯罪防止条約の対象犯罪は「越境性、国際性を(犯罪成立の)要件にしていない」と指摘。国内の「組織犯罪集団」が、国内で重大な犯罪を共謀した場合も摘発対象になるとの考えを示した。


──共謀罪を新設する理由は、テロを防止するための国連の条約(国際組織犯罪防止条約)の批准に伴う国内法整備と伺っています。

 そうです。

──そうであれば、共謀罪が619もの犯罪を対象にする必要があるのですか。消費税法違反なども含まれています。

 国際組織犯罪防止条約では、長期4年以上の法定刑を持つ罪が重大な犯罪と定義しているので、“右ならえ”しているだけ。日本の場合、たまたま長期法定刑4年以上が619になるだけであって、組織犯罪集団が行う犯罪かどうかというのはまた別の話です。外形的に適用されるようにみえても、現実には適用されません。組織犯罪集団というのは、あくまでもその団体の共同の目的が重大犯罪を実行するとある団体です。しかも、犯罪を実行する組織があるということが大事。その両方の要件を絞っていったら、ほとんど(の人は)関係ないことになります。

──法律上は消費税法も該当するようになっても、実際には適用されないのですか。

 組織犯罪集団でなければ、関係ないですね。

──犯罪をする団体かどうかは、どこが判断するのですか。

 最終的に最高裁判所がしなければいけませんね。ただ、途中経過の判断は行政庁、弁護士、下級裁判所、一般の有権者などいろいろな人がしますが、解釈でしかない。また、令状がないと逮捕できないという意味では、裁判所のチェックも入ります。

──国際組織犯罪防止条約では、適用対象を越境犯罪に限定していると聞いていますが。

 違います。国際的な組織犯罪に対処するために各国が協議して、できあがった国際組織犯罪防止条約は「越境性、国際性を要件にしてはならない」と決まりました。(そうでないと)有効な取り締まりができなくなります。テロ集団が日本国内でテロ行為を共謀して実行した場合、摘発対象にならないということでは、テロが行われると甚大な被害が発生します。国をまたがないと摘発の対象にならないとなると、とてもではありませんが国際的な組織犯罪に対処できなくなってしまいます。

──条約上は、国内の団体が国内で共謀した場合にも適用対象になるのですか。

 それが組織犯罪集団であって、重大犯罪を実行する組織があって、その共謀を行ったならば、摘発対象にしないと国民の安心・安全は守れません。
 
──犯罪実行前に共謀の会議に出てきた人が警察に密告すれば刑を減免するという規定がありますが、密告社会につながるという批判があります。

 テロ行為(の共謀)は密室で行われます。いったん行われてしまえば、その被害はあまりにも甚大です。未然に防ぐために自首すれば刑を減免するとすれば、抑止力が働きます。国際的な組織犯罪について有効に抑止するために考えられた一つの制度だと私は思います。

──この規定のデメリットはありませんか。

 国際組織犯罪集団に加入しなければ、デメリットはありません。

──付帯決議などで、消費税法などは共謀罪の対象にならないようにできませんか。

 むしろ法案でそうしてあります。思想・良心の自由を侵したり、団体の政党の活動を侵害するようになってはいけないと法案に留意事項として明記してあります。

──そうすると、実際には619の犯罪のうち、いくつの犯罪が共謀罪に該当するようになるのですか。

 組織犯罪集団がどういう罪を犯すかによるので、なんとも言えません。一般の人は関係ありませんけれどね。

──消費税法違反などを法案から除外することはできませんか。

 条約上はできませんね。約束した以上は国家として守らないといけないでしょう。しかし、そんな犯罪への適用は考えにくいですね。【了】

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■関連リンク
国際組織犯罪防止条約(外務省HP、条約第3条に適用範囲規定)