28日、衆院議員会館で開かれた反対集会で演説する菅直人・民主党代表代行。(撮影:徳永裕介)

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共謀罪」新設を柱とする組織的犯罪処罰法などの改正案に反対する野党などが主催の緊急集会が28日夕、東京都千代田区の衆議院第2議員会館で相次いで開かれた。

 同法案の審議は、21日から衆院法務委員会で始まり、与党側は理事会で、28日中の採決を提案。民主・社民両党が反発したため、与党側は採決の提案を一旦取り下げたものの、反対派は強行採決の可能性を心配おり、法務委での審議が続く中で緊急集会が開催された。

 民主党が主催した集会には、同党議員のほか、市民団体関係者など約200人が出席。菅直人代表代行は「(政府が)普通の人への適用されることはないと言っていても、法律構成そのものはそうなっていない。無限の拡大解釈が可能だ」と批判。また、枝野幸男衆院議員は「今日、与党修正案の審議が始まったが、もともとの政府案にもある同じ言葉と、違う意味で使っているようだ。こんな矛盾だらけの法案を、審議が不十分のまま採決するのは国会の恥だ」と語った。

 また、社民党などが主催した集会にも、約200人が参加。同党の福島瑞穂党首は「右翼の人たちも“共謀罪反対”のキャンペーンをしていて、すごくうれしい。人権問題は右も左もみんなに共通する問題だ」と述べると、辻元清美衆院議員も「人の頭や心の中に権力が入ってくることを許してはならない」と訴えた。

 2つの集会が終了した午後6時過ぎ、主催者側の担当者が「今、法務委員会が終わり、今日の強行採決はなくなりました」と大声で知らせると、会場の廊下などでは参加者から歓喜の声が上がった。

 04年に東京都立川市の自衛隊官舎に反戦ビラを配ったとして、住居侵入の容疑で逮捕された反戦団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー大西章寛さんは、共謀罪の新設について「実行前の活動が罪になってしまうなんて、考えられない。ビラまきが違法とされてしまうのだから、我々も犯罪者集団に位置づけられてしまうのでしょうね」と話している。

 衆院法務委は連休明けの9日に、同法案の参考人質疑を行う予定。【了】

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