台湾の高級チョコメーカーが炎上、各社販売中止=福湾チョコレートのウェブサイトから

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(屏東中央社)南部・屏東県の高級チョコレートブランド「福湾チョコレート」に対し、台湾内で不買運動が起こっている。発端は、同ブランドの当時の董事長(会長)が2015年に起こしたわいせつ事件を問題視した台湾のインターネット掲示板の投稿だ。同ブランドと提携する食品メーカーや小売店など各社が関連商品の生産・販売を相次いで中止する事態にまで発展している。

▽チョコの世界大会で多数受賞 各社とコラボ

同ブランドは近年、国際的なチョコレート品評会「インターナショナル・チョコレート・アワード」(ICA)で多数の賞を受賞するなど高い評価を得ている。また、その人気に目を付け、台湾ミスタードーナツや食品メーカーの桂冠、菓子メーカーの乖乖など各社がコラボレーション商品を発売するほか、コンビニ大手ファミリーマート(全家便利商店)も先月からチョコレートフェアとして同ブランドの複数商品を販売していた。

▽ネット投稿 創業者親子の過去の事件を暴露

コラボ商品が続々と登場する中、先月中旬、ネット掲示板に「セクハラチョコレート・福湾をボイコット」と題した文章が投稿され、創業者親子が過去に起こした一連の事件の概要が紹介された。当時の判決書によると、2015年、同ブランドの許峰嘉董事長(当時)が実習に来ていた女性の体に無理やり触り、背後から抱きつくなどしたとして強制わいせつ罪で懲役6月の実刑判決を受けた。また2017年には、董事長の息子で同ブランド創業者の許華仁氏が父親のわいせつ事件の裁判期間中、被害者女性に対する誹謗中傷の投稿をSNS上で行ったとして、誹謗の罪で懲役40日または罰金4万台湾元(約15万円)に処された。

投稿者は文末で「台湾には応援に値するチョコレートブランドがほかにもたくさんある。私は福湾とのコラボ商品を買うのを避けるのを決めた」とつづり、議論を促した。この投稿には、当時の被害者を名乗るネットユーザーからのコメントも寄せられ、「今でも彼らの製品を見ると心底不快な気持ちになる。これらの事件はニュースにはなったけれど、どれほどの人が覚えているでしょうか」と心境を明かし、事件を再度明るみに出した投稿者に感謝した。

過去の事件を紹介したこの投稿には「全く知らなかった」「気持ち悪い」「これからは買わない」などのコメントが多数寄せられた。

▽福湾が謝罪するも騒動収まらず コラボ商品販売中止

騒ぎの拡大を受け、同ブランドは先月27日、声明を発表し、2015年の事件によって消費者にマイナスのイメージを与え、支持者らを失望させたことに謝罪した。だが、ネット上で批判の声は収まらず、コラボ商品を発売していた各社が8日までに相次いで関連商品の生産や販売を中止すると発表した。

同ブランドは8日、2度目の声明を発表。影響を受けた提携企業各社に謝罪し、コラボブランドの売り上げの損失を引き受ける方針を示した。

▽屏東県長「企業イメージ向上を」

屏東県の潘孟安県長は9日、福湾チョコレートの騒動が県内のカカオ産業に与える影響について報道陣から問われると、県は産業に指導を行うだけであり、個人の行為についてははっきりとは知らないと言及した上で、全ての業者が今回の件から教訓を得てほしいと促し、企業イメージの向上を図るよう呼び掛けた。

(楊舒晴、郭芷瑄/編集:名切千絵)