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声優の諏訪ななかによる初ワンマンライブ“諏訪ななか 1st LIVE 〜My prologue〜”が、11月22日、東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催された。ファンはもちろん、きっと諏訪本人もこの日を待ち焦がれていたことだろう。なにしろ、今春にアーティストデビューした彼女が、観客の前で自身の楽曲を歌うのは、これが初めてのことなのだから。新型コロナウイルスの影響によるイベントの延期・中止を経て、ようやく迎えることができたアーティストとしてのプロローグ。ここでは昼夜2公演のうち、昼公演の模様をレポートする。

この日のライブは昼夜2公演とも観客を入れて行われたが、昨今の状況を受けて、感染症対策を徹底した環境で実施。定員は会場収容人数の50%以下とのことで、客席もしっかりとソーシャルディスタンスが保たれている。最近は有観客と配信のハイブリッド公演も増えているが、今回、配信はなし。会場に足を運んだ人だけが、彼女の晴れ舞台を体験することができたわけだ。

ライブは流麗なSEと共に開幕。ステージは2段組みになっており、その上段には宮廷を彷彿させるゴージャスな幕が右・左・中央の3列、並んで下りている。その真ん中に諏訪のシルエットが浮かび上がったかと思うと、デビューアルバム『So Sweet Dolce』の収録曲「Wonderland!!」からスタート。イントロ部分の“トキメキのWonderland!! どこまでも行こう!”という歌い出しそのままに、すわわが登場するとステージは一気にメルヘンチックなワンダーランドの雰囲気に様変わりする。彼女が着ているのは、『So Sweet Dolce』のジャケットなどでお馴染みの薄いパープルカラーのメイド風ドレス衣装。後ろにふわふわの大きなリボンがついた甘めのコーデが、彼女のキュートさを一層強調する。



続いて『So Sweet Dolce』のリード曲でもあるダンサブルなエレクトロポップチューン「So Sweet」へ。この衣装は同曲のMVでも着用していたので、流れはバッチリ。2段組みセットに備え付けられたステップを下り、下段中央の一段高いステージに降り立った彼女は、コケティッシュなポージングを交えながら「So Sweet」を歌う。その姿はドールと見まごうばかりの愛らしさだ。そこから爽やかなギターロック「ポップコーンの雲」で、ステージの下手や上手へと移動しながら、客席との交流を楽しむ諏訪。サビ終わりの「ナーナーナー♪」と歌う箇所は、本来であれば観客も声を上げて合唱したいところだろうが、そこはグッと我慢。代わりにペンライトを左右に振って彼女の声に応える。それを受けてにこやかに手を振るすわわの笑顔は、まさに“太陽が笑ってる”ようだ。彼女が“さぁ、JUMP!”の箇所で元気よく右手を上げると、ファンも同じアクションをしたりと、声を出すことは出来なくとも、心で繋がっていることが実感できる。

MCで「アーティストとして初めてのライブだからこそ、最近よくあるオンライン(ライブ)ではなく、みんながここに来てくれる状況でライブをやりたいなと思っていました」「今日は何が何でもやってやるぞ!という思いでここにきたので」と、このライブにかける気持ちを言葉にした彼女は、続いてモータウンビートの楽しい「溶けるみたい」を披露。カラフルに光る照明が楽曲のポップ感をさらに後押しする。“今日に名前をつけて 特別な記念日にしたい”という歌詞も、今日この日に彼女が歌うことで、特別な響きを持っていたように感じた。



そこから最新ミニアルバム『Color me PURPLE』収録のナンバー「揺れていたい」に繋げたのも、実に意味深い。この曲は「溶けるみたい」で描かれた恋模様の続きが歌詞のテーマになっており、どちらも作詞家の鶴崎輝一が歌詞を書いた、いわば続編曲のようなもの。2曲を続けて聴くことによって、女の子が恋していることに気づいて心が揺れ動く、甘酸っぱい恋愛ストーリーを、さらに深く楽しむことができるわけだ。彼女の楽曲には女の子の恋心をテーマにしたものが多いが、それを本人の生歌で聴くことによって、少女漫画的な胸キュン感をさらに強く感じられるのは、この日のライブの個人的な発見だった。

その後、2段組みセットの上段に上がった諏訪は、スウィートなダンスポップ「マカロンラブ」を歌唱。この曲で見ものだったのが、後方の大きなスクリーンを使った演出。ライブ中の彼女がリアルタイムで映し出されたほか、その右と左に、あらかじめ撮影されたすわわ×2の映像が登場し、楽曲の掛け合い部分で合いの手を入れたり、サビで本人と一緒に踊ってバックダンサー的な役割を担ったりと、本人のパフォーマンスと見事に連動していた。ステージ上の生のすわわ、モニターに映る3人のすわわ、計4人のすわわを目で追うのは、忙しくも幸せこのうえない。さらに間奏で生すわわが一旦退場すると、モニターのすわわが、赤と白のチェック柄のポップなスーツ+ショートパンツ衣装に変身。そのポップな映像を観ながら楽しんでいると、間奏明けに再登場した生すわわも、モニターのすわわと同じ衣装にチェンジ。マジシャンさながらの早着替えで、ファンを楽しませた。



お次は優雅かつスピーディーな「ショコラフレーズ」。ステージにはいつの間にか、お茶会でよく見るケーキスタンドやティーセット、お洒落なチェアーやテーブルが用意され、彼女は曲間でお菓子を物色したり、ベンチに座りながら歌ったりと、様々な振る舞いを見せてくれる。最後はステージ下段のチェアーに腰かけ、テーブルに置かれたイチゴを手に持ちほほ笑んで終了。かと思ったら、彼女の持ち曲の中でもひときわハードなロックチューン「Strawberry Egoist」を投下。ステージからスモークが噴出されるなか、この日初めてとなるマイクスタンドを使ったパフォーマンスで、いつになくクールな表情を見せる彼女。オーディエンスもペンライトの色を赤に変えて、情熱的なすわわに光の声援を送る。

彼女らしいマイペースで微笑ましいMCを挿み、ライブは早くも後半戦に突入。色鮮やかに煌めくライト演出が楽曲の雰囲気にピッタリだったキラキラのシンセポップ「Donut Ring World」、渋谷系を思わせるお洒落で賑やかなサニーサイドポップ「Morning glow」で会場のみんなにラブリーな“ハートをおすそ分け”すると、ここでライブ本編最後の曲に。「今日は私のためにここに集まってくれて本当にありがとうございます!」「みんながくれた景色を胸に、心を込めて歌います」と前置きして、すわわが歌ったのは、アルバム『So Sweet Dolce』の最後を飾っていたエモーショナルなミディアム「Storytelling」。まだら模様のライトがステージを照らすなか、彼女はこれまで歩んできた物語の大切さと、これから紡いでいく物語の希望について、優しさに満ちた声で歌う。ラスサビでは銀紙が“シャーベット・スノー”にように降り注ぎ、最後は“あなたに会えたこと”の喜びをしっかりと声にしてステージを去った。

拍手が鳴りやまぬ会場に、前置きなく突如ステージに表れた諏訪は、本公演のタイトルにもなったナンバー「My Prologue」でアンコールを開始。またも新しい衣装で、今度はかわいくアレンジされたライブグッズのTシャツにチェック柄のスカートを合わせた、色味は薄いパープルで統一したコーデだ。大きなリボンの髪飾りも可愛らしいアクセントとなっている。少し歌謡曲の雰囲気を感じさせる情熱的なメロディに合わせてか、すわわもクールな歌い口で迫り、オーディエンスもクラップを入れたりして盛り上がる。

その後のMCで、会場に来てくれた人の体調を気遣う優しい言葉をかけた彼女は、「本当に最後の最後の曲です」と宣言し、初ワンマンライブ(昼公演)のラストナンバーへ。その楽曲とは、ミニアルバム『Color me PURPLE』のラストに置かれていたリードトラック「Lilac」。客席のペンライトは当然、すわわの好きな色でもあるパープル一色に。軽快なロックサウンドに乗せて愛らしい歌声を紡ぎながら、ステージの左右へと行きかう彼女。念願の初ワンマンライブを、元気いっぱいなパフォーマンスと共に締め括った。

デビューアルバム『So Sweet Dolce』は“スイーツ”、続くミニアルバム『Color me PURPLE』では“パープル”と、自身が好きなものをコンセプトに作品や楽曲を作り上げてきた諏訪。今回のライブは、そんな彼女が大好きな“可愛い”が溢れんばかりに詰まっていたと思うし、衣装や舞台美術、照明などの演出を含め、彼女の好きな世界観がそのまま再現されたステージだったように思う。このキュート極まりないプロローグを経て、彼女がこの先、どんなストーリーを紡いでくれるのか。すわわのワンダーランドは、まだまだ広がり続けることだろう。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!) PHOTOGRAPHY BY 中原 幸

“諏訪ななか 1st LIVE 〜My prologue〜”

11月22日(日)【東京】LINE CUBE SHIBUYA

<昼公演セットリスト>

1. Wonderland!!

2. So Sweet

3. ポップコーンの雲

4. 溶けるみたい

5. 揺れていたい

6. マカロンラブ

7. ショコラフレーズ

8. Strawberry Egoist

9. Donut Ring World

10. Morning glow

11. Storytelling

EN1. My Prologue

EN2. Lilac

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諏訪ななか日本コロムビアオフィシャルサイト