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下肢切断者向けのパワード義足を開発する東大発のハードウェアスタートアップ「BionicM株式会社」(バイオニックエム)が資金調達と経営体制の強化を発表した。
第三者割当増資の引受先は株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(以下「UTEC」)、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(以下「東大IPC」)、国立研究開発法人科学技術振興機構(以下「JST」)の3社で合計5.5億円の資金調達を実施。
経営体制としては社外取締役にプロジェクター付きシーリングライト「popIn Aladdin」を開発したpopIn株式会社の代表取締役 程 涛氏が就任。新たに深センに設立した中国の現地法人のCOOにシャープ、リコーの研究所を歴任し、サービスロボット、メディカルロボットを開発する中国ベンチャー企業FN Roboticsの副総経理(副社長)を経てBioniMに参画した王寧氏が就くことが発表された。
[video width="854" height="480" mp4="https://robotstart.info/wp-content/uploads/2020/09/BionicM_movie2.mp4"][/video]開発中の「POWERED FOOT」ロボット工学を応用し、様々なセンサーによって姿勢や動作を認識。
生体工学に基づいた制御を行い、ユーザーの動きをアシストする。※BionicM社ホームページより転載

●パワード義足開発に向けて進む調達
BionicMは、自身も義足ユーザーである代表取締役の孫小軍氏が東京大学博士課程において研究していたヒューマノイド・ロボット技術を応用して発明したパワード義足を開発するために設立されたスタートアップ企業だ。
すべての人々のモビリティに力を与えること「Powering Mobility for All」をミッションとして、下肢切断者のモビリティ・QOLを向上させるパワード義足の開発を行っている。

現状の実績や開発の進捗としては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発型スタートアップ支援事業、課題解決型福祉用具実用化開発支援事業や、厚生労働省の障害者自立支援機器等開発促進事業へ採択されており、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究により、パワード義足の実用化に向けて試作機の完成度を高めている。
さらに、日本貿易振興機構(JETRO)による日本発知的財産活用ビジネス化支援事業、および特許庁による知財アクセラレーションプログラム(IPAS)への採択を通じて知財戦略を強化し、国際出願を含む特許出願を行っており、2019年10月に技術発表をした国際義肢装具協会世界大会(ISPO2019)では世界中の義肢装具関係者から実用化に向け期待の声をうけたという。

●【投資家からのコメント】

●UTEC 井出 啓介氏
UTECはBionicMが東京大学大学院の研究プロジェクトだった2015年から支援を開始し、19年2月のシード、今回のシリーズA共にリード投資家として継続支援を行っています。 日本が世界をリードするヒューマノイド・ロボット技術と人間工学を融合させることで、全ての人々のモビリティ向上に寄与することを期待しています。
●東大IPC 古川 圭祐氏
2018年に弊社主催の起業支援プログラム「1st Round」でBionicMチームを採択させて頂き、法人設立前から弊社の水本が支援して参りました。孫社長とBionicM社のビジョン、そして事業推進力には、当時から「世界で戦えるモノづくりベンチャー」として大いに期待しており、この度、株主として改めてご一緒できることを非常に嬉しく思います。今後、BionicM社と共にパワード義足のグローバル展開を進めていきます。
●JST 原口 智全氏
JSTのSTARTプログラムから誕生した東京大学発ベンチャーとして、義足製品・市場のイノベーションを牽引し、今後世界で活躍するベンチャーとして、すべての人々のモビリティに力を与えること、「Powering Mobility for All」のミッションを実現していくことを期待しています。

●IoT技術領域・アジア地域ビジネスの強化に向けた経営体制の強化

今回新たに役員として名を連ねた 程涛氏、王寧氏ともに、アジア地域でのビジネスや技術領域に明るいスペシャリストだ。
東京大学情報理工学研究科で同窓でもありIoTシーリングライトpopIn Aladdinを開発、販売までこぎつけた程氏、中国本土でビジネスイノベーションのエキスパートとして活躍していた王氏はともにこれから製品開発、一般販売を控えたBionicMにとって欠かせない人材になるだろう。

程 涛(てい とう)氏
1982年中国・河南省生まれ。東京工業大学卒業後に、東京大学情報理工学研究科に進む。
2008年修士在学中に東大発ベンチャーpopIn株式会社を創業し、大手ニュースメディアに対し、ネイティブ広告に対応したコンテンツ発見プラットフォームなどを提供。2015年、中国百度の日本法人バイドゥ株式会社と経営統合し、2017年より世界初のプロジェクター付きシーリングライト「popIn Aladdin」の開発、販売など全てを担当。


王 寧(おう ねい)氏
北京大学 光華管理学院/MBA。中国電子工業省直轄中国大手電機メーカーにおいてエンジニアとして開発業務に携わった後、中国超大型中央企業:中国電子信息産業集団公司(CEC中国電子)グループにて高級管理として従事。その後シャープ中国OEM責任者としてデジタル製品の海外市場開拓に従事。シャープ中国研究所転任後、オープンイノベーションを担当。清華大学傘下の投資資産管理会社である啓迪控股(Tus-Holdings)・啓迪クリーンエナジー研究院・副院長としてインキュベーションを牽引、クリーンエネルギー関連事業投資をリード。リコーソフトウェア研究所(北京)において、医療機器を対象に中国における事業開発に従事。サービスロボットおよびメディカルロボットを開発する中国ベンチャーの副総経理を経て、BionicMに参画。


今回の資金調達により、1)パワード義足の実用化に向けた研究開発・臨床評価試験・生産・販売、2)日本・中国両国における事業活動の加速、3)知財戦略実行の強化、4)人材採用を積極的に推進し、2021年の実用化に向けトライアルユーザーを募集、製品化に向けたブラッシュアップを進めていくという。
掲載された動画を見る限り、開発は順調に進んでいるようなので、BionicMが参加を表明しているサイバスロン2020チューリッヒ大会(会期:2020年11月13日〜 14日※新型肺炎の感染拡大防止の為2020年5月より延期)でその姿を見ることもできそうだ。
今後もBionicMの開発動向に興味を持っている方はぜひ注目して見てほしい。
(梅田 正人)