建物は5つの構造体…なぜ木造は鉄骨よりコスパが最強なのか

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経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

RC造マンションは融資を受けやすい

次は、建物の構造について見てみよう。建物には主に次の5つの構造体がある。

〇SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

〇RC造(鉄筋コンクリート造)

〇重量鉄骨造

〇軽量鉄骨造

〇木造

構造体によって、建物の強度やコスト、税金などが異なり、賃貸経営の収益性にも大きく影響する。それぞれのメリット・デメリットについて知っておくことが重要だ。

〈SRC造・RC造のメリット〉

〇建物が強固

〇建物の使用可能期間を意味する「法定耐用年数」が長い

〇資産価値が高い

〇防音性が高い

賃貸住宅で個人が所有するマンションは、大抵RC造だ。

建物の中で最も強固な構造はSRC造で、その次に強固なのがRC造だ。「マンション」と呼ばれる建物は基本的に、この2つの構造となっている。建物は高層になればなるほど強度が必要となるため、タワーマンションなどの高層マンションはSRC造だ。賃貸住宅で個人が所有するマンションは、大抵RC造だ。

「法定耐用年数」も長い。法定耐用年数とは建物の使用可能期間で、SRC造・RC造は47年、重量鉄骨は34年、軽量鉄骨造は19年または27年、木造は22年だ(いずれも住宅使用の場合の期間)。耐用年数が長いほど金融機関から融資を受けられる期間も長くなるので、毎年の返済金額を抑えられる。また、長期間価値を維持できるということで、融資も受けやすくなる。その他、よほど築年数の古い建物でなければ基本的に二重床、二重天井になっているため、防音性能も高い。

〈SRC造・RC造のデメリット〉

〇価格が高い

〇工事期間が長い

RC造は、建物が強固という点で人気があり、外観のグレード感もまるで違うため、鉄骨造や木造より家賃を高く取れるものの、取得価格も高いため収益性は落ちる。

さらに土地から購入して新築を建てる場合、工事期間が長いため、家賃収入が発生するまでに時間がかかり、資金に余裕がないと財務的に厳しくなる。

重量鉄骨造は高層住宅にも対応できる

次に鉄骨造を見ていこう。鉄骨造は、鉄鋼材の厚さが6mm以上の「重量鉄骨」、6mm未満の「軽量鉄骨」に大別される。軽量鉄骨は、中規模なアパートや大きな戸建てに利用され、重量鉄骨は、低層住宅から高層ビルまで幅広い範囲で利用される。

〈重量鉄骨造・軽量鉄骨造のメリット〉

〇工事期間がSRC造・RC造よりも短い

〇重量鉄骨造は高層住宅も建築可能

〇木造と異なり、シロアリの不安はない

鉄骨造はグレード的には、RC造と木造との中間に位置する。木造は通常3階、高くても4階までだが、重量鉄骨造なら9階などの高層も建てられる。つまり、階層はRC造と同じ程度の高さが建てられ、工事期間が短くできる。また柱や梁に木材を使用しないため、シロアリの被害を受けることもない。

〈重量鉄骨造・軽量鉄骨造のデメリット〉

〇リフォームの選択肢が狭い

〇地震で揺れやすい

メリットだけ見ると、賃貸住宅として運営しやすいのは重量鉄骨造に見えるが、大掛かりなリフォームがしにくいというデメリットがある。鉄骨造は工場で製造したものを現場で組み上げる「ユニット工法」などが多いため、材料についてはほとんどが規格化されている。そのため、あとからリフォームをしようとしても、規格に合わない構造には変更ができないのだ。築年数が古い建物を購入する場合や、長期に持ち続けることを考えた場合は、時代のニーズによる間取り変更の選択肢が少なく、リフォームがしにくい構造だ。

木造は所得の多い人は高い節税効果が期待できる

最後に木造だ。かつては賃貸住宅といえば木造が主だったので、賃貸住宅は圧倒的に木造が多く、エリアも選びやすい。価格も安く買いやすい。

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

〈木造のメリット〉

〇価格が他の構造よりも安い

〇通気性が高い

〇リフォームがしやすい

〇節税効果が高い

木造は建築コストが安いため、売りに出ている物件も他の構造よりも安く、戸建てや木造アパートは、初めて不動産を買う人にはおすすめだ。築年数が古くてもリフォームがしやすいため、家賃を上げやすい。

また、木造は法定耐用年数が短いため、減価償却期間が短い。法定耐用年数の2年よりも古いア パートになると、購入代金を4年で経費計上(償却)できるので、所得の多い人は高い節税効果が期待できる。

〈木造のデメリット〉

〇隣接の住戸に音漏れしやすい

〇築年数の古い建物はシロアリ被害に注意が必要

〇築年数が古いと融資を受けにくい

木造は通気性が高い一方、壁が薄く気密性が低い。そのため音漏れがしやすく、騒音問題が発生する可能性が高くなる。また築年数が古いとシロアリ被害のリスクがある。購入するときは、その点もきちんと確認しないと、購入した後に「基礎がシロアリにやられていた」では、大変なことになる。また、法定耐用年数も比較的短く、築年数が長くなると融資を受けるのが厳しくなる。その点も認識して、自己資金を用意できるように事前に預貯金をしておくことも重要だ。

永井ゆかり
「家主と地主」編集長