JR・私鉄・地下鉄など6社が乗り入れるターミナル・横浜駅(神奈川県横浜市)。

年間乗降客数は世界4位を誇り、横浜市の中心地でもある。

そんな横浜駅は「常に工事している」ことで有名で、ツイッターでも

「何百年前から工事してるんだってぐらいいつも工事中」
「子どもの頃からずっと工事してるイメージ」

というような声が多く見られる。

あまりにも工事期間が長いため、着工から130年以上経った今でも完成していないスペインの教会になぞらえて、「日本のサグラダ・ファミリア」と呼ばれるほどだ。

その横浜駅が、ついに完成した――。そんな投稿が、ツイッターで話題になっている。


ビルが出来上がっている...!(画像は投稿者より提供)

この写真は2020年6月24日、

「ついに完成した日本のサグラダ・ファミリア」

というコメント付きで、とあるユーザーがツイッターに投稿したもの。堂々とそびえ立つビルには「横浜駅」の文字。周りを見ても、工事が続いている様子はない。

26日、Jタウンネットの取材に応じた投稿者によると、撮影したのは24日。その時の気持ちを聞いてみると、

「通学の際に毎日のように工事されている横浜駅を利用している中で、横浜駅の駅ビルがついに完成したことに感動し撮影いたしました」

と回答が。確かに、横浜市民で横浜駅ヘビーユーザーの筆者としては、その気持ちはとてもよく分かる。

この投稿にツイッターでは

「横浜駅の工事が終わるなんて信じられない」
「すごい!見たい!」
「やっと完成したんですね...」
「とうとう完成したのか・・。同じ神奈川県民として感無量になってしまう」

といった驚きや喜びの声が寄せられている。


ビルから駅が見える(画像は投稿者より提供、編集部で一部加工)

本当に、あの横浜駅の工事が終わったのだろうか......?

真相を探るべく、Jタウンネットは7月1日、横浜駅周辺地区を管理する横浜市都市整備局都心再生部都心再生課の担当者に話を聞いた。

横浜駅、完成してなかった

まず、横浜駅ではいつから工事が続いているのか。

担当者によると、横浜駅とその周辺地区は09年から「エキサイトよこはま22」という計画の元、開発・工事を進めている。だが、駅およびその周辺工事という点だけで考えれば、それより以前からずっと実施しているそうで、

「横浜駅がいつから工事している...というのは一概には言えません」

とのこと。駅が現在の場所に移転した1915年からずっと工事をしているのか聞いてみると、

「ずっとしていたかどうかは、市としては何とも言い切れませんが...」

と話した。もしかしたら、100年以上工事が続いている可能性もあるのかもしれない。

今回、「横浜駅が完成した」と話題になっていることについては、

「JR横浜タワーは完成しております。また、工事が終了している事業も多くあります」(担当者)

「JR横浜タワー」とは、話題になった写真に映っている駅ビルだ。

3月に竣工していたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、5月末に予定していた開業が延期となっていた。

それが、6月18日、商業施設「横浜CIAL」のオープンを皮切りに営業を開始。投稿があった24日には「ニュウマン横浜」、「T・ジョイ横浜」が無事にオープンし、賑わいを見せた。

一方で、きた西口駅前広場や中央西口駅前広場、駅周辺の鶴屋町地区などでは、現在も工事が行われているそう。

今後の横浜駅について、担当者は

「横浜駅は、周辺地域や老朽化の修復なども含め、まだ開発の余地があるかと思います。また、市では把握していない部分で民間企業様が進めている企画もあるかもしれません。これからも様々な事業を展開していければと考えております」

とした。

JR横浜タワーが完成したことで、横浜駅が新たな姿になったことは確かだが、やはりまだ「完成」はしていなかった。

いざ完成した、といわれてしまうと横浜市民としては少し寂しくもあったので何だか安心してしまった。

これからも日本のサグラダ・ファミリアとして進化し続けていく横浜駅を見守りたい。そしていつか、本当に完成した横浜駅を拝みたいものだ。